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「発展途上国向け市場対策の研究」の報告書

 事業名 発展途上国向け市場対策の研究
 団体名 日本船舶輸出組合  


■事業の内容

(1) 対象国
 バングラデシュ、中国、インド、インドネシア、マレーシア、パキスタン、フィリピン、スリランカ、タイのアジア9カ国
(2) 研究事項
[1] 各国における船舶需要
a. 品目別輸出入貿易量の推移
b. 貨物種類別海上荷動量
c. 船種・船型別必要建造需要量
[2] 各国カントリーリスクの研究
a. カントリーリスク諸要因の現状分析(政治・経済リスク)
b. カントリーリスクの将来動向(外貨獲得、債務返済動向)
[3] 各国の総合的市場評価とわが国の市場対策の研究
a. 新造船需要顕在化の動向(船腹拡充計画の動向)
b. 新造船対外発注の可能性(自国建造能力)
c. 対日発注の可能性
d. わが国の市場対策
(3) 各国の総合的評価等
[1] バングラデシュ
 バングラデシュは、政治的には軍政から民主政権へ移管してきているが、安定性を欠く点が懸念される。経済的には、輸出の中心であるジュートの生産が低迷しているが、政府はこれに重点を置いていく方針である。船舶需要についても、現在継続中の商談もあるが、船主側は制度金融を希望しており、日本政府も弾力的に対応しているが、その他にわが国からの経済協力を考える必要がある。
[2] 中国
 中国の将来動向の予側については非常に困難であるが、政治的には、自由化政策に不満を持つ保守派を中心とした混乱も考えられるが、80年代に入ってからの経済自由化政策は定着しており、経済政策の変更を伴うほどの政治混乱は極めて考えにくい。経済的にも、その基盤は脆弱であるが、安定成長を実現するものと思われる。船舶需要については、現行第7次5カ年計画における代替需要が中心と考えられ、80年代後半には大いに期待される。また、現在商談中の案件については、西欧諸国が同国向けにソフトローンでオファーしているので、わが国としては、これらに対抗できるようマッチングの弾力的運用を検討すべきである。なお、中国では雇用機会の創出等の観点から船舶解撤を促進しているので、わが国としても過剰船腹の解消のためにも積極的に協力する必要がある。
[3] インド
 70年代まで、インド船主は対外発注の大半を日本へ行ってきたが、80年代に入り同国のカントリーリスクから輸出信用供与が大幅な制限を受けたため成果が上がらなかった。しかし、船舶需要はあるものの自国建造能力の不足のため、どうしても対外発注に頼らざるをえない状況である。また、わが国の造船業に対する技術的評価も高いため、将来の受注は期待できるが、一般商船については量的にも経済協力より制度金融による輸出信用供与が効果的であり、かつわが国の同国向け輸出信用供与枠も緩和されているので外貨建ファイナンス並びに同国の船舶抵当権の適用などが有効な対策と考えられる。
[4] インドネシア
 わが国のインドネシア向け輸出信用供与は、政府関係機関が買主である限りなんら制限はない。外航船の調達に当たっては、延払いが主流であるが、コンテナ船、貨客船等については西独がソフトローンで相当量を受注しており、この点では、わが国のミックストローンやマッチングなどの迅速かつ弾力的運用が望まれる。また、同国では原油価格の急落による深刻な経済状況から、各種プロジェクトが見直されており、カウンターパーチェスの要求も強くなっているので、これへの対応策を多角的に検討する必要がある。
[5] マレーシア
 マレーシアは、政治的に安定しているばかりでなく、経済的にも、同国の主要輸出品目である原油、LNG、錫、ゴム、パームオイル、木材などの国際価格の低迷により苦しい状況であるが、90年代には輸出構成に占める工業製品のウェイトが高まり、着実な輸出拡大が予想されるため、カントリーリスクは低いと考えられる。同国の新造船購入に際しては、自己資金または延払いで購入しており、今後ともこの方針は変らないと考えられるが、わが国としては外貨建延払いや、船舶抵当権の適用などの対策が有効と思われる。
[6] パキスタン
 パキスタンは、一部の反政府運動などがあるため、政治的には不安定である。また、経済的には農業国としての基盤を転換し、工業化路線を推進しており、その一環として商船隊拡充計画等もあるが、船舶の購入に際しては、他の途上国同様にソフトローンを希望している。同国の工業化転換政策に応じるためにも、造船分野におけるわが国の経済・技術協力の推進が必要である。
[7] フィリピン
 フィリピンは、現在リスケジュールを実施しており、コマーシャルベースでの船舶輸出は困難であるので、同国向け船舶輸出のためには国際金融機関や経済協力による方法しかない。わが国としては、ハードとソフトを組合せた総合的経済協力を積極的に推進する必要がある。
[8] スリランカ
 スリランカは、船腹拡充計画に基づいて、過去に同国の国営海運会社が数隻の新造船を購入し、自国船積取比率を40%以上にまで高めた。しかし、それらの船舶も船令15年以上の老朽船が多く、今後はこれらの代替需要がでてくるものと期待される。政治的には、民族抗争が深刻化しており、安定政権に影を落している点が懸念される。
[9] タイ
 タイは時折クーデター騒ぎがあるものの、さほど深刻ではなく、政治的には安定している。経済的にも、基本的な生活物資の自給率が高く、特に不安な点はない。また、農業から軽工業へと緩かな工業化政策をとっているので、他の途上国と違い安定した状況にある。海運業については、インフラ部門優先のため、自国海運の育成は遅れているが、港湾開発は、積極的に行われている。また、同国では、雇用促進対策として、船舶の解撤を考えているが、資金的問題があるので、わが国としては経済協力ベースでの対応を積極的に検討すべきである。
(4) 報告書の印刷・配布
[1] 体裁    B4判 151頁  オフセット印刷
[2] 作成部数  300部
[3] 配布先   組合員(全メンバー及び委員)   110部
官庁              27部
関係団体            71部
運輸関係(資料提供謝礼)     15部
海外業務連絡会         27部
金融機関            14部
保存活用            36部
■事業の成果

本事業は発展途上国の船舶需要とカントリーリスクとを科学的に究明し、これまでややもすれば過大視もしくは過少視されがちであった発展途上国の評価を適正なものとし、当該国市場の問題点と対策とを見出そうとするものであり、今日の厳しい国際海運マーケットの下において、長期にわたる不況を余儀なくされているわが国造船業にとって極めて有効な資料となり、今後、発展途上国の船舶需要を喚起せしめ、日本船舶の輸出振興に寄与するところ大なるものがある。





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更新日: 2020年9月26日

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