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「発展途上国向け市場対策の研究」の報告書

 事業名 発展途上国向け市場対策の研究
 団体名 日本船舶輸出組合  


■事業の内容

(1) 対象国
 アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、パラグァイ、ペルー、トリニダード・トバゴ、ウルグァイ、ヴェネズエラの9カ国
(2) 研究事項
[1] 各国における船舶需要
a. 品目別輸出入貿易量の推移
b. 貨物種類別海上荷動量
c. 船種・船型別必要建造需要量
[2] 各国カントリーリスクの研究
a. カントリーリスク諸要因の現状分析(政治・経済リスク)
b. カントリーリスクの将来動向(外貨獲得、債務返済動向)
[3] 各国の総合的市場評価とわが国の市場対策の研究
a. 新造船需要顕在化の動向(船腹拡充計画の動向)
b. 新造船対外発注の可能性(自国建造能力)
c. 対日発注の可能性
d. わが国の市場対策
(3) 各国の総合的評価等
[1] アルゼンチン
 同国のリスケジュールについては、85年に第1次、87年に第2次のリスケがパリ・クラブで合意されており、わが国との2国間合意は第1次については85年11月に、第2次については未定となっている。このため、同国向け貿易保険は短期案件のみ引受が行われており、中長期案件は引受停止の状況にある。
 また、円借款については、1人当りGNPが高いため、供与対象としては認められていない。
 しかし、わが国の黒字還流策の一現として、石油精製・ガス開発プロジェクトに対し、輸銀3.37億ドル、世銀4.96億ドルの協調融資が認められている。
 いずれにせよ、同国の対外債務の現状からして、同国向け船舶輸出を実現するためには、オフショア取引ないしはTop Heavyの現金払などの方法により、リスクを軽減するのが有効な対策と思われる。
[2] ブラジル
 わが国は、これまで同国の対外発注船舶の大半を、制度金融による延払ないしはコマーシャル・ベースで建造してきたが、85年の第1次リスケジュール実施後は、貿易保険の引受停止により、own risk/ownfinanceによる舶用機器輸出を除き、船舶輸出商談は完全にストップしている。
 しかしながら、貿易保険の引受弾力化の一環として、近々、条件付きながら長期案件についても引受が再開される見通しである。
 また、円借款については、Dredger等作業船の輸出実績があるものの、リスケ実施後は円借款供与が停止状態にあったが、円借款返済繰り延べ交渉が決着する見通しになったため、近々、円借款供与を再開する方針である。
 従って、今後の商談については、関係当局と前広に連係を取りながら商談を進めて行くことが肝要である。
[3] チリ
 現在、チリは、第5次リスケジュールを実施しているが、同国の主要輸出品である銅の価格が好調であるため、貿易収支の黒字も定着し、中南米諸国にあっては、債務返済は順調である。
 わが国の貿易保険は、同国向けには、短期及び中長期とも案件毎に国枠等の条件付で引受けを行っている。
 なお、同国では、ODAベースの場合であっても政府保証を出さないため、現在、円借款については望めない。
 同国向け経済協力ベースでの実績は、無償援助で、79年に320GTの漁業訓練船1隻、82年に漁船が1隻がある。
[4] コロンビア
 従来、同国はスペイン、西独、ポーランド等とコーヒー・バーターで船舶を建造してきており、特に旧宗主国スペインとの結び付きが強く、わが国からは水産無償による漁業訓練船12隻(200GT×1、FRP製14型×11)、16m型漁船4隻の輸出実績がある。
 現在、わが国の同国向け貿易保険は条件付きながら中長期案件の引受けを行なっており、円借の適格国でもあるので、今後の船舶商談では輸銀及び基金による対応も可能である。また、わが国は黒字還流の一環として、輸銀は88年に世銀との協調融資により、国家金融電力公社の電力セクター調節計画に必要な資金として3億ドルをコミットしているが、船舶案件についても同国政府のプライオリティーを高めることによって、このスキームでの資金活用も1つの有力な方策と思われる。
[5] パラグァイ
同国向けには、基金と輸銀との混合借款により、83年から84年にかけて貨物船3隻(6,000WT×1、1,500DWT×2)、Tug Boat 5隻(2,400PS×2、1,200PS×2、300PS×1)、2,000m3型Oil Barge 4隻(現地建造)、Barge 30隻(800DWT×10、360DWT×20)が輸出された実績がある。
 現在、同国向け貿易保険は条件付き引受を行なっているが、同国の対外債務の状況からみて自己資金での建造の可能性は少ないので、制度金融ないしは円借款での対応が最も現実的な方策である。
[6] ペルー
 一向に解消されないインフレ、増大する累積債務、更に、クーデターの発生が懸念される政情不安等により、現在、同国向けわが国の貿易保険の取扱いは停止している。また、IMF等の国際金融機関に対する非協調のため、円借款等の経済協力も望めない。よって、第三国の銀行L/Gなどの保証がない限りコマーシャル・ベースでの商談には不安がある。
[7] トリニダード・トバゴ
 最近、同国は西独のKFWのソフトローンによって、LPG船及びフェリーを購入しているが、わが国は84年に13,000DWT型メタノール・キャリア2隻を輸銀ベースで輸出している。
 同国は新造船購入に際しては、政府保証を出すのが困難な状況から、長期のソフトローンを希望している。
 これに対応するためには、貿易保険が長期案件について引受停止の現状からして、円借款ないし国際金融機関のローンに依存するしか方法はないと思われる。
[8] ウルグアイ
 同国向けには、62年に28,000DWT型Tanker 1隻、79年に3,200DWT型Tanker 1隻が輸出された実績がある。
 現在、同国向け貿易保険の取扱いは、案件毎にケース・バイ・ケースで引受けを行っているが、輸出不振と外貨準備不足による、対外債務累積額の増加を鑑みると、自己資金での建造は無理であるので、円借款等の経済協力での対応が有効と思われる。
[9] ヴェネズエラ
 わが国はこれまで同国向けに多数の船舶輸出実績があり、ほとんどが現金払であるが、石油公団の系列会社は原則として自己資金による現金決済であり、その他の会社の場合は、ファイナンス付き購入を希望している。
 一方、わが国の貿易保険の引受状況は、国枠の関係で短・長期案件とも条件付きとなっている。また、円借款は、所得水準との兼合から適用は困難であり、世銀融資も74年以降行われていない。
 従って、同国から延払条件の要求が出された場合、関係当局に事前にプロジェクトを説明し、優先度を高めてもらうことが必要である。
(4) 報告書の印刷・配布
[1] 規格   B5判 115頁 オフセット印刷
[2] 部数   300部
[3] 配布先  組合員(全メンバー及び委員)  90部
官庁             28部
関係団体           26部
海運関係(資料提供謝礼)    15部
海外業務連絡会        27部
金融機関           14部
保存活用           100部
■事業の成果

本組合は、昭和60年度から発展途上国向け船舶輸出の可能性を探るために、発展途上各国における船舶需要を把握し、その顕在化とわが国からの輸出促進の方策とを国毎に研究する本事業を実施してきたが、本年度は南米9カ国を対象として実施した。
 今回の対象国は、旧宗主国である西欧諸国の影響が強く残っており、一部の国を除き、わが国からの船舶輸出実績も少ないが、研究の結果、程度の差はあれ船舶の潜在需要は底堅いものがあり、それをわが国の受注に結び付けるためには、大半の国が累積債務を抱えリスケジュールを実施している現在の経済状態からして、経済協力、ソフト・ローン、マッチング等を弾力的に運用してもらうのが有効との結論に達した。
 本組合としては、今後とも本研究を継続実施して可能な限り全ての発展途上国をカバーするよう努めるとともに、本研究の成果が一層有効活用されるよう、本研究により指摘された各種市場対策の実現に向かって最大の努力を尽くす所存である。





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