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「超高速船用荷役システムの研究開発」の報告書

 事業名 超高速船用荷役システムの研究開発
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


■事業の内容

〔コンテナサイズに関する調査〕

(1) コンテナ規格及びその利用実態
 現在利用されているコンテナ規格及びその利用実態や端末輸送機関とのジョイントにおける問題点等を把握するため以下の調査を行った。
[1] 全国・全輸送機関で利用されているコンテナの規格
[2] サイズ別にみた利用コンテナ個数の概要
[3] 各輸送機関別のコンテナサイズ選定の利用
[4] 端末輸送機関とのジョイントにおける問題点の把握

(2) 貨物輸送の現状
 既存統計により輸送機関別の数量及び出荷ロットの現状を調査し、時系列分析により将来動向についても検討を行った。
[1] 輸送機関別にみた出荷量及び出荷ロット
[2] 輸送品目別にみた出荷量及び出荷ロット
[3] 出荷ロットの現状と今後の動向(時系列分析)
[4] モーダルシフトの現状及び今後の動向

(3) 港湾運送事業者におけるコンテナ輸送の実態(ヒアリング調査)
 港湾運送事業者のヒアリング調査は、主に現状のコンテナ取扱状況及び利用コンテナの選定基準について調査することを目的としているため、現在内航コンテナ輸送の実績のある事業所を選定した。選定にあたっては、これらの条件を満たし、かつ現在の取扱航路がTSLの航路として検討されている関東-北海道、関東-九州に限定した。
・北海道地区 4社、  東京地区 6社、  九州地区 4社
(主な調査項目)
[1] 使用しているコンテナのサイズ及び車両について
[2] 使用しているコンテナの選定理由について
[3] コンテナ航路、集荷及び配達地域について
[4] 主要取扱品目及び出荷ロット、荷主ニーズ(運賃、輸送時間等)について
[5] 現状のコンテナ利用における問題点について  他

(4) 特別積み合わせ運送事業者における長距離輸送の実態(ヒアリング調査)
 特別積み合わせ運送事業者のヒアリング調査は主に利用運送の実態について調査する事を目的としているため、平成2年度取扱量及び運賃収入上位10社の中から、北海道・東京・大阪の3地区に立地している事業所を選定し、実施した。
・北海道地区 3社、  東京地区 4社、  大阪地区 4社
(主な調査項目)
[1] 長距離輸送の実態(数量/日、ロット、品目、方面、所要時間等)について
[2] 利用運送の実態(モーダルシフトの現状)について
[3] コンテナ輸送の実態、荷主ニーズ、現状の輸送経路等における問題点について  他
 また、トラック輸送からの転換を考えた場合の問題を把握するため、「鉄道への転換」との比較、及び「内航(フェリー、RORO船等)への転換」との比較について検討を行った。

(5) 超高速船におけるコンテナサイズの検討
 上記(1)〜(4)までの調査検討結果を踏まえ超高速船における荷主効率の向上や、端末輸送機関(陸上輸送)への接続の効率化を目指した最適な荷姿(コンテナサイズ)について検討を行った。
想定区間  :関東-北海道、関東-九州
想定運賃  :フェリー運賃の1.5倍(トン当たり運賃は2.8万円程度)
サービス水準:超高速船の性能を考慮した想定ダイヤ程度
(港湾の設定は貨物の集積度の高い地域に対して最も近い港湾)
適合貨物  :特積貨物を中心としたトラック貨物及び航空貨物、農水産品
 これまでの結果から判断すると、超高速船で使用するコンテナの基本となる大きさは、一般積み合わせ貨物、農水産品、航空貨物などに幅広く対応できる20フィートコンテナが最も適しているとの結果となった。しかしながら、特積貨物で考えれば、将来的に荷役作業の改善は当然予想される事であり、併せて陸上輸送部分の総重量規制などの緩和などを考慮すると、30フィートコンテナも非常に有効な大きさであると思われる。したがって、現状からみた適合貨物の取扱い状況、荷役作業体制、輸送機器、車両、法的規制などから判断すると20フートコンテナを基本とし、徐々にその利用が増えている30フィートコンテナについてもフレキシブルな対応が出来ることが望ましいとの結果となった。

〔船上荷役装置の研究開発〕

(1) 既存荷役システム及び関連要素機器の調査
 国内既存荷役システム及び関連要素機器について航空機分野、船舶分野及び陸上分野の各分野における技術の現状、運用実態及び将来の動向に主眼をおいて調査を行った。
[1] 荷役システム現地調査
 北海道地区:航空分野  新千歳空港
鉄道分野  札幌貨物ターミナル、苫小牧貨物駅
 関東地区 :航空分野  日本航空成田貨物支店
鉄道分野  神奈川臨海鉄道(株)
船舶分野  国際コンテナターミナル(株)
 関西地区 :航空分野  大阪エアカーゴターミナル
物流分野  南港航空貨物センター
船舶分野  神戸ポートアイランド
 九州地区 :陸上分野  日本通運(株)九州支店
船舶分野  苅田フェリー埠頭
[2] 荷役装置要素機器調査
 船上荷役装置の試設計に反映させることを目的に現在活用されている要素機器を調整した。

(2) 船上荷役装置の研究開発に関する考え方の検討
 設定条件の検討、概念計画及び評価を実施するにあたり、荷役時間・コンテナサイズ・重量・船型・ターミナルにおけるコンテナフロー等を検討した。

(3) 設定条件
 概念計画及び評価、試設計を実施するにあたって、要求仕様、貨物仕様、想定船仕様及び荷役装置等の設計条件について検討を行った。要求仕様のうち荷役時間については、
[1] 超高速船が入港して出港するまでの時間は2時間とする。
[2] 荷役を開始してから終了するまでの時間として1時間を目標とする。
以上を基本に検討を行った。
 また、コンテナ寸法としては当面20フィートとしたが、最終的にはコンテナサイズに関する調査の結果としては、現在研究がなされているA船型・F船型の2種類の船型について、それらの諸元を参考とした。

(4) 概念計画及び評価
 数種の高速荷役方式について概念計画を実施し、それらについて将来ドック方式による両舷荷役方式への移行の可能性も考慮しつつ、評価を実施した。その結果「台車方式」が荷役速度が船本体に与える影響の少なさの点から優れていたため、この方式について試設計を実施することとした。

(5) 試設計
 「台車方式」は台車本体、受渡し装置、船上荷役装置及び操縦装置の各装置にて構成されているが、これら各装置について試設計を実施すると共に、技術研究課題の抽出を行った。
[1] 全体システムの試設計
[2] 各構成装置の試設計
 なお、本年度事業では20フィートコンテナを対象に試設計を実施したが、コンテナサイズに関する調査により、複数のサイズのコンテナを取り扱うことの出来るシステムとすることも今後は検討に加える必要があることが判明した。

〔係留・離接岸システムの研究開発〕

(1) 既存システムの調査
 超高速船の係留・離接岸システムの概念検討の参考とするため国内外の船舶、港湾、鉄道、航空の各分野において適用されている既存の装置、設備について文献及びヒアリング調査等を行い、その装置や設備の適用方法、機能等を把握した。
国内ヒアリング調査:船舶・航空・鉄道分野  9件
港湾分野     九州5港
海外ヒアリング調査:シーバスターミナル(バンクーバ(加))、ゴールデンゲートフェリーターミナル(サンフランシスコ(米))、スタッテンアイランドフェリーターミナル(ニューヨーク(米))香港-マカオフェリーターミナル(香港、マカオ)、香港・九龍地区チャイナフェリーターミナル(香港)、鉄道フェリー(ヘルシンボルグ-ヘルシンガー、リンハム-ドレイガー(スウェーデン、デンマーク)、双胴型高速カーフェリー(ホークストン(英)、ブローニュ(仏))
[1] 船舶分野
 超高速船用の効率的な入出港支援、係留・離接岸システムの検討及び超高速船における離接岸、係留時間等に推定のため内・外貿コンテナ船、カーフェリー、RORO船、高速艇等を対象として従来の船舶のオペレーションを調査した。
[2] 港湾分野
 係留・離接岸用の岸壁形状や支援設備の前提条件等の設定の参考とするため、九州主要各港及び海外の主要ターミナルにおける係留設備、補給設備、メインテナンス設備/配員、入出航時間/操作/支援設備関係、ターミナル概要等について調査を行った。
[3] 航空・鉄道分野
 船舶・港湾分野では得られない設備、システム等について把握し、超高速船用の係留・離接岸システムを検討する上で参考とするため、JR貨物ターミナル、成田空港及び新千歳空港貨物ターミナル、他における運航スケジュール、乗降システム、貨物搬出入等について調査した。

(2) 係留・離接岸システムの必要条件の検討
 既存システムの調査結果及び超高速船の特性等を考慮して、超高速船用の係留・離接岸システムの要件の検討を行った。検討にあたっては、現時点では、超高速船の操船性能や運航形態等が明確ではないため、超高速船の諸元、港湾岸壁の想定、入出港・係留・離接岸の定義及び超高速の許容係留・離接岸時間の想定等、前提条件を設定した。
[1] 係留・離接岸等時間の試算
 前提条件と実船の調査より把握した各オペレーションの速度、時間等のデータをもとに係留・離接岸等の時間を試算した。
[2] 超高速船の動揺の推定
 超高速船の港湾内における係留中の船体動揺と船上荷役装置との関連を検討するため、超高速船の波浪中動揺を推定した。ここでは、空気圧力式複合船型を対象に短波頂不規則波中の船体動揺を計算した。
[3] 各種設備の必要条件
 これまでの調査結果をもとに、超高速船の入出港、係留・離接岸の時間短縮を図るとともに、視界不良時、荒天時においても平常時と同様の作業効率が得られるシステムの検討を行うための各種設備に対する必要を決定した。
 対象設備:接岸設備、離岸設備、入出港支援設備、係留設備

(3) 係留・離接岸システムの概念検討
[1] 各種方式の抽出
 入出港支援システム及び係留・離接岸システムについて上記必要条件を満足する方式の抽出を行った。
a. 入出港支援システム
(a) DGDSによる入出港支援システム
(b) 航路表示ブイ
(c) 接岸位置表示装置
(d) レーザービーム航路表示
b. 係留・離接岸システム
(a) 船首尾部伸縮アーム式
(b) 船首部伸縮アーム式
(c) 陸側ウィンチ式
(d) 可動ローラー引込み式
(e) 浮体ヘッド式
(f) 引込み台車方式
[2] 比較・評価
 抽出された各種方式について3段階の評価を行い適正な方式を選定した。評価項目としては、経済性、汎用性、時間短縮と省人化の効果、技術的難易度の4項目について比較を行い、各項目の評価点により総合点を求めた。最終的には、総合点の高い数種類の方式を選定し、評価点だけでは判断できない要素も考慮して総合評価を行った。比較・評価の結果、超高速船用係留・離接岸システムに適した方式として船首部伸縮アーム式と陸側ウインチ式が同じ高い総合点を得たが、今後の検討対象としては種々の理由から船首部伸縮アーム式を選定した。
■事業の成果

本開発研究は超高速船を利用した高速物流システムの実現にあたって、まず問題となる荷役システムについて、超高速船に搭載するコンテナのサイズとこれを扱うための船上荷役装置、並びに荷役中を含めた係留・離接岸システムのあり方について調査・研究開発を行ったものである。
 今年度事業の実施の結果、コンテナサイズについては前年度まで当財団にて実施していた「超高速船の導入の円滑化に関する調査」において仮定されていた20フィートコンテナが当面は最も現実的であるものの、国内において陸上輸送からのシフトや将来の動向を考えれば、より大型の30フィートコンテナも可能性としては高いことが判明した。一方、船上荷役装置としては、将来ドック方式による両舷荷役方式への移行の可能性も考慮しつつ、様々な方式について検討した結果、台車方式が荷役速度や船本体に与える影響の少なさの点から優れているため、これについて試設計を行ったところ、走行制御や船位変化に対する技術開発が必要であるが、目標とする「コンテナの積卸しを含めた荷役時間が1時間以内」の達成について見直しを得ることが出来た。しかし、コンテナサイズに関する調査により複数のサイズのコンテナを取り扱うことの出来るシステムとすることも今後の研究課題に加える必要があることが判明した。また、係留・離接岸システムについては、従来必ずしも明確でなかった港湾内における各種作業に要する時間を、既存船舶からの予想とはいうものの、明らかにすることができたことから、多方面で進められている超高速船の研究開発に対して、大きく寄与するとともに、当該システムとしては船首部伸縮アーム方式が自然環境等の条件の変化に対しても有効と考えられることが明確になった。
 これらの調査結果は荷役システムの完成に大きく貢献するものであり、造船関係産業の発展に資するものと思われる。





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更新日: 2020年4月4日

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