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「乗り心地のよい低動揺型船体形状の調査研究」の報告書

 事業名 乗り心地のよい低動揺型船体形状の調査研究
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


■事業の内容

(1) 船酔いの生理的限界の解明
[1] 乗り物酔い、乗り心地に関する実績、実態の調査
 国内で公表された論文について検索を行い、1980年以降の論文について本研究で密接に関係ある約200件の論文、解説等を検索・抽出し、さらに医学的見地から検討を加え、最終的に29編について内容を調査した。国外の研究についてはアブストラクトによる内容の概要について調査を行った。
[2] 乗り物酔いのメカニズム解明に関する基礎研究
 本研究のために生体計測装置一式及び解析ソフトを整備し、本装置類及び大阪府立大学に設置されている船体動揺模擬装置を使用して、船体動揺状態をシミュレートにより陸上において再現し、人間が乗り物酔いに至るまでの課程における生理学的現象の変化を計測した。
 刺激入力としての船体動揺模擬装置の動揺量(変位、加速度、角加速度)の計測や、生理的反応としての体温、血圧、心拍数、脳波、心電図等について計測を実施し、スペクトル解析、ウェーブレット解析、マッピングなどによる脳波解析、心電図解析を行った。また、実験前後にアンケート調査を行い、ファジー理論をべースとした新方法による乗り心地に対する心理学的反応評価の解析を実施した。
[3] 乗り物(実機)を用いた計測
 堺港、七類-隠岐諸島、鹿児島-屋久島、東京-八丈島の3航路でフェリー、または貨客船に各航路2回乗船し、実際の船体動揺と乗船者の生理的反応を計測した。計測には本実験用に整備した簡易ポリグラフ及び(ポータブル型)船体動揺計測装置を使用し、上記[2]の船体動揺模擬装置で行われた計測方法に準じて実施した。同時に一般乗船客へのアンケート調査を行った。
(2) 動揺の少ない船型の開発
 動揺の少ない乗り心地のよい船型を求めるにあたり、各種の船型を表す数値パラメーター(船型要素)を系統的に変化させて、理論計算により波浪中船体の応答量を求めた。計算の対象となった原型の船型には臼杵〜八幡浜航路に就航しているフェリー「ニュウ九州」(全長109.9m、幅16m、満載排水量3.826t)とした。船型のパラメーターとしてL/B、1cb、フレーム・ラインの3要素を選択し、船型の評価には船酔いにも最も関連の強い応答量である上下加速度を選択した。
 計算では規則波中と不規則波中の応答を求めた。不規則波の波浪には3海域(北大西洋、北太平洋、日本海)の年間平均海象を用い、さらに波浪中推進性能を左右する波浪中抵抗増加量も計算して評価した。
■事業の成果

本事業は、他の交通機関に対して乗り心地の改善が遅々としている船舶において、その理由の一つたる低周派数の動揺による船酔いの現象を解明し、船酔いを避ける動揺限界の把握を行い、これを満足させるための経済的な船型の開発を行う目的で実施された。本事業では、船酔いや乗り心地に関する内外の関連文献を調査し、その実績・実態を明にするとともに、乗り物酔いのメカニズム解明に関する基礎研究として船酔い現象を解明するための生理学的要因と動揺刺激(物理量)を総合的に計測できる生体計測装置や船体動揺計測装備等を整備し、これらを用いた船体動揺模擬装備による実験及び実船実験を実施した。その結果、脳波や心電図等の生理学的要素計測法、及び計測値の解析手法を確実なものにすることができ、今後の船酔いに関する計測や解析の指針が得られた。また、実験前後に乗り心地に関するアンケート調査を行い、これをファジー理論をべースとした新しい方法によって解析し、心理学的4大要因(環境、動揺刺激、生理、心理)の寄与度から、乗り心地や乗り物酔いを総合評価する手法を提示することができた。動揺の少ない船型の開発にあたっては、船型要素と耐航性能の関係を把握するために、船型要素を系統的に変化させたシリーズ船型に対するコンピューター理論計算を実施、船酔いを避ける経済的な船型の開発に有益な多くの図表等を得、その検討結果からは特に船の大型化、1cbの変更、フレームラインのV型化などが船酔いに最も関連の深い上下加速度の軽減に効果的であることがわかった。
 以上のことから、乗り物酔いに関して、工学的な分野からだけでなく、医学、生物学など多方面からの総合的かつ体系的な調査研究を初めて実施し、実験的調査研究における計測法や解析法を確かなものとし、乗り心地のよい船型の開発に有用な図表並びに動揺軽減に有益な多くの知見を得たことは大きな前進であり、我が国の海運・造船産業の発展に大きく寄与するものと思料される。





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更新日: 2020年4月4日

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