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外洋における油流出事故対策の調査研究報告書

 事業名 海洋における油流出事故対策に関する調査研究
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


る。ヒアリングで訪ねたNOAAでは、計算速度を向上させる際に如何に精度を下げずに済ませるかといった研究も実施されていた。

一例を挙げるならば、地形入力用のサブルーチンに沿岸線のデータがないが、その海岸線が一定の長さ以上でその距離が直線的で長い場合には、自動的にデータを配置する、また、河川がある場合、その河川に仮想的に石(スケール)を置いて、それがあてはまらない河川は、自動的に削除して一定以上の大きさの河川のみ計算条件として残す、等、計算のポイントやグリッド間隔を自動的に設定し、与えられた仕様に整合しないデータは除外することにより計算速度を向上させる手法が検討されている。しかしながら、現時点では、これによる計算速度の向上が計算精度に具体的のどの程度影響を与えるかについては、定量的には評価できていない。

また、防除体制の項でも述べたように、最近は、漂流油の拡散シミュレーションだけでなく、防除対応のシミュレータも開発されつつある。これは、入力した流出事故、気象・海象、防除対応資機材とその配置・運用・管制等の条件のもとでオペレータの決定する防除実施行動がどのような結果に終わるかをシミュレートするもので、今後、実際の事故発生時において、あらゆる条件下における防除実施体制、資機材、手法を決定するためのツールになるだけでなく、現場指揮官等、防除実施当事者の訓練用にも生かされていくであろう。

 

3.5.4 その他

最近の流出油処理に関する研究開発は、処理効率の良い手法のひとつとして現場燃焼が注目を集めつつある。また、流出油処理の手法や機材、化学薬剤といったハード面だけでなく、自然環境保護を含む油防除訓練や防除の際の安全衛生、さらに防除対応結果の収支評価といったソフト面にも目が向けられつつある。

 

外洋における大規模流出油の処理については、現場燃焼の効果が唱えられてきたが、大気や生態系、またイメージ的な問題等、二次的な多くの問題を抱えており、推奨する国はあまりないが、現場燃焼の実験・研究は比較的多く行われてきている。Buist et al. (1997)は、アラスカ原油の何種類かとこれの生成したエマルジョンに対して、現場燃焼を実施した結果について述べている。彼らは、Drift Rivber原油、Endicott原油、Pt.McIntyre原油及びIF-30燃料油に対して含水率と波の峻度を変化させてその燃焼率を測定した結果、峻度の増加は含水率の低いエマルジョンに対しては燃焼率をそれ程変化させないが、高含水率のエマルジョンの燃焼率を低下させると報告している。また、発火しないような含水率の高いエマルジョンについては、ある程度の波立ちのある条件下でエマルジョンブレーカーEXO 0894の添加により容易に発火するという結果を得ており、波立ちによる混合がエマルジョンブレーカーが有効に作用するために必要であると強調している。従来エマルジョンはその難燃性から現場燃焼による処理は困難とされてきたが、これの可能性が見いだせれば、油流出事故の処理における大きな難題のひとつであるエマルジョンの処理への貢献が期待できる。

Lambtom and Cavanaugh(1997)は、油流出防除へのあらゆる天候・地形条件下の対応準備について提案している。この論文では、冬季の対応訓練についてふれており、水上における機材の扱いや人員の行動について氷の厚さの穿孔確認を複数箇所で行い、純水氷の厚さ、タイプ、色彩等で強度を評価する方法、海氷による油回収装置の拘束時への対応、低温時の樹脂製防除資材の取扱等、極低温下における防除活動の特殊性について実務と安全衛生の面から述べている。

 

 

 

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