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外洋における油流出事故対策の調査研究報告書

 事業名 海洋における油流出事故対策に関する調査研究
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


5.2.2 流出油の拡散漂流予測と防除処置の効果に関するシミュレーターの開発

2.2.2項に示すSea Empress号の実績を見ても、分散処理剤による分散は特に原油の場合極めて有効である。また、分散処理剤の使用は一刻も早い方が有効で、油が含水すると急速に効果が低下する。従って、分散処理剤の使用の決定は一刻も早くなされなければならない。

一方、分散処理剤の使用については、漁民や地区団体の反対が予想されるので、流出油が沿岸に漂着、あるいは漁業環境に影響を与える可能性がないときには、これを使用せず、自然分散にまかせるに越したことはない。

従って、流出油が今後どのように漂流し、陸岸に漂着する可能性の有無を予測することは、現場指揮者が分散処理剤使用の決断を下す上で極めて重要である。また、分散処理剤をどの時期に使用したらどれほどの効果があるかが分かれば極めて有力な指針となるであろう。また、原油の場合、流出直後には爆発の危険性から現場に近寄れず、対応が遅れる状況もあり得るので、近接可能距離の程度について知る必要がある。

このような見地から、次のような機能を持つシミュレーターを開発することが望ましい。

 

@流出油の時々刻々の拡散状況と、爆発限界の拡散を、油種、気象、海象に応じて表示する。

 

A分散処理剤の効果を、油種、気象、海象、使用時期、使用量等をもとに残油量として表示する。また、その時点における分散処理剤の効果率(gr.あたりの有効処理量等)を示す。

 

Bシップ・アンド・オーシャン財団で行ってきた流出油の漂流シミュレーションに必要に応じて潮流を始め、気象や海象のリアルタイムデータを入力できるようにして精度を高め、残油の時々刻々の拡散漂流範囲を示す。

 

Cシップ・アンド・オーシャン財団で行ってきた流出油の風化シミュレーションを用いて、残油の含水率と粘度の時々刻々の変化を示す。これは、分散処理剤の効果に反映することが出来るだけでなく、機械的回収装置の選択の指針となる。

 

このようなシミュレーターは、単に事故発生時に役立つだけでなく、対応訓練、資機材の整備や動員計画の策定にも大いに効果を発揮するものと期待される。

 

5.2.3 船舶による強制分散の効果の研究

Sea Empress号の例では自然分散が14%と報告されている。これは波浪と潮流によるものと推察されるが、ナホトカ号の場合、巡視船が航行し、航跡波で強制分散を図ったことが報告されている。この場合、分散した油がどうなるのか、すなわち油は単に油滴となって一時的に海中に潜り、再浮上して油塊となるのか、充分細かい油滴になって海中に浮遊し、やがて微生物によって自然浄化されるのかを明らかにするとともに、いかに細かい油滴にするか、つまり低速でスクリューで攪拌するのがいいか、高速で引き波を立てるのがいいかについて調査研究しておくことは有意義であると思われる。

 

 

 

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更新日: 2020年9月19日

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