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「舶用エンジン向け大型セラミック部品の実用化技術の研究開発」の報告書

 事業名 舶用エンジン向け大型セラミック部品の実用化技術の研究開発
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


■事業の内容

先端材料であるセラミックの優れた遮熱性を利用し、従来の水冷型ディーゼルエンジンに比べ、高効率、低重量、低NOx、長寿命等優れた面を持つ遮熱型セラミックターボコンパウンドエンジンの研究開発は、基礎研究が概ね終了し、自動車用、産業用等各種の燃料を用いた応用研究が既にスタートしているが、こうした展開の中にあって船舶関係は未着手であった。これまで、舶用エンジンに対するセラミック部品の適用に関する研究がなされたことはあったが、舶用サイズの部品製造における品質管理が困難で、強度的信頼性が低く、かつコストが高い等の要因により採用には至っていなかった。
 本研究開発では、その後のセラミック材料技術が格段に進歩したことにより、舶用エンジンへの大型セラミック部品の適用の可能性が大きくなったため、セラミック材料利用技術の実用化の研究開発を行い、舶用エンジンが抱える耐久性・信頼性の向上、省燃費の促進を図るため、以下の事業を実施した。
 [1] 概 要
   本研究開発では、高強度、高靱性、低摩擦、耐腐食性さらには亀裂発生や摩擦進行を検知する機能等の多機能を有し、安価なセラミック材料の開発ならびにシリンダーライナーやピストンクラウン等の大型部品製作のため、その基盤となる材料や製造技術について以下の様な研究開発を行った。
 [2] 実施内容
  [1] 低コスト大型セラミック部品と製造技術の開発
   a.基盤材料の開発

     平成8年度に開発した基盤材料を用いて、焼結中の補強繊維の酸化劣化を抑制するため、焼結中の酸素発生量が少ない焼結助剤を添加した基盤材料の開発を行った。
b.補強繊維材の開発
     焼結雰囲気中の酸素低減および焼結体中の酸素発生低減(焼結中の酸素発生量が少ない焼結助剤を添加した基盤材料を適用)を行い、繊維材の劣化を抑制することができた。
   c.基盤材と補強材の複合化
     高強度・高靱性を有する複合材を開発するために基盤材と補強繊維材の複合化を行った。複合化にあたって複合材が緻密化しない問題があり、成形工程、焼結工程それぞれ緻密化する検討を行った。
     成形工程では補強繊維間に十分基盤材料が充填できるように成形条件の適正化および繊維表面の改質を行った。
     焼結工程では低圧焼結でも複合材が緻密化するように繊維の配置方法の適正化および焼結条件の適正化を行った。
   d.大型部品成形、焼成、研削技術
     小試験片(3×4×40mm)を作製するための条件をそのまま大型部品に適用しても、形状・寸法の違いに起因する温度分布あるいは熱伝導の差から、試験片で得られた特性が得られないことが多い。そこで、まず直径35mm×高さ15mmのシリンダー状のモデル部品を作製したうえで、直径133mm程度のシリンダーライナーの作製を行った。
  [2] 摺動及び耐熱大型部品試作
   a.低摩擦、低磨耗を有する材料の開発
     シリンダーライナーを対象とした低摩擦、低磨耗性を有する材料の開発を目的に低温で焼結するSi3 N4 基盤材中にFeSi2 (珪化鉄)を添加して潤滑油の吸着性に優れるFe(鉄)化合物を均一に分散させた材料を作製した。
   b.耐熱・耐食性を有する材料の開発
     燃料の重油、潤滑油オイルに含まれる金属化合物成分(V,Na等)により、高温で使用する窒化珪素部品上に高温腐食が発生すると予想される。そこで、これら金属化合物成分に対する開発材の高温腐食性の評価を行った。
     また、表面から内部に至り均一な組織を有するピストンクラウンを製作するために焼結条件の見直しを行った。 
  [3] インテリジェントマテリアル化
   a.インテリジェント化
     シリンダーライナー中に配置した炭素繊維を利用して、その電気抵抗の変化で損傷(亀裂、磨耗等)を検知できるインテリジェントマテリアルの開発を行った。
   b.機能の融合化
     基盤材にFeSi2 (珪化鉄)を添加した層と繊維複合材を積層させた試験片を作製し、低摩擦で亀裂等を検知できるインテリジェントマテリアルを開発するために、シリンダー状の部品を試作した。
 [3] 委員会の開催
   開催日および主な審議事項
  ○第4回 平成9年5月20日(火)
   ・平成9年度事業計画について
   ・平成9年度事業実施計画(案)について
  ○第5回 平成9年9月30日(火)
   平成9年度事業実施経過について
   ・基盤材と補強繊維の複合化、低摩擦・低磨耗性を有する材料の開発、耐熱・耐腐食性材料の開発等
  ○第6回 平成9年12月16日(火)
   平成9年度事業実施経過について
   ・研究開発の進捗、基盤材と補強繊維の複合化、耐熱・耐腐食性材料の開発等
   ・今後の課題
  ○第7回 平成10年3月9日(月)
   ・平成9年度事業成果報告書(案)について
■事業の成果

[1] 低コスト大型セラミック部品の製造技術の開発
  [1] 基盤材料の開発
    従来使われているSi3 N4 (窒化珪素)のセラミック原料粉末は5,000円/kgと非常に高価なため、より安価(400円/kg)なSi(珪素)粉末を主原料として、強度が大きく信頼性の優れたSi3 N4 を作製する試みがなされてきた。しかし、従来の技術ではその様な材料の製造は難しかったが、平成8年度にSi粉末を原料とし、低温で粒界相が形成されSiの窒化促進に有効なMnO2 (酸化マンガン)を添加した新しいSi3 N4 材料を開発した。この材料は1,500℃の低い温度で焼結してもSi3 N4 粒子が柱状に成長し、高靱性でかつ、強度が目標400MPaを上回る480MPaを達成できた。
    今年度は、さらに焼結温度条件を適正化したところ、緻密化とSi3 N4 粒子の柱状の成長が進み、曲げ強度は760MPa(目標値:強度600MPa)が得られた。
  [2] 補強繊維材の開発
    窒化ケイ素材の強度を補強するため、平成8年度は長繊維で耐熱性の高いSiC(炭化珪素)系の繊維にZr(ジルコニウム)を添加し、カーボンを被覆した繊維ZMを開発したが、複合材の焼結中に繊維が酸化し強度が劣化した。
    今年度は、複合材の焼結中の繊維の酸化を抑制するため基盤材である窒化ケイ素材の焼結助材をAl2 O3 (酸化アルミ)−Y2 O3 (酸化イットリウム)−MnO2 系から酸素分圧の低いAIN(窒化アルミ)−Y2 O3 −MnO系にした結果、カーボン繊維ZMの強度が1,600℃で1.7GPa(目標値:1GPa)以上となった。
  [3] 基盤材と補強材の複合化
    基盤材のスラリーを補強材である繊維材間に隙間なく充填させるためには、スラリーの流動性を向上させることが必要である。平成8年度は、基盤材の水分量、pHの調整を行い、減圧下で成形して空隙量を低減したが、基盤材と繊維の反応性が悪く、焼結後に基盤材と繊維との界面に気孔が残存し十分な強度が得られなかった。
    今年度は、成形工程において基盤材のスラリーと炭素繊維の濡れ性を向上させ、繊維間の隙間に基盤材が十分充填できによう炭素繊維表面の改質を行った結果、成形体の密度が47%から53%まで向上した。
    また、焼結工程では複合材の焼成収縮を進行させるために、繊維の配置方向、基盤材に添加する助剤成分量を調整した。また、焼結体を緻密化するため、複合材焼結時の収縮駆動力として、繊維を添加しない基盤材料の収縮を利用した基盤材と複合材の積層材の開発を行った。その結果、複合材の相対密度が67%から93%に向上し、強度480MPa、破壊靱性11MPa・m1/2 を有する複合材を開発した。
  [4] 大型部品成形、焼成、研削技術
    平成8年度試作したシリンダーライナーの複合材の成形に必要な、金属製の金型と石膏型を組  み合わせた加圧成形装置での加圧成形方法では、部品の寸法制御が困難であった。
    今年度は、複合材をシート状に成形し、そのシートを金属パイプの芯に積層しながら巻き付け  る成形方法を開発した。また、シリンダーライナーの成形を行うための巻き取り成形装置を試作し、直径133mmのシリンダーライナーを作製し焼結した結果、焼結後に剥離等の問題があることが分かった。
 [2] 摺動及び耐熱大型部品試作
  [1] 低摩擦、低磨耗を有する材料の開発
    シリンダーライナーを対象とした低摩擦、低磨耗性を有する材料を開発するため、基盤材に酸化物以外のFe(鉄)化合物のFeSi2 (珪化鉄)を添加して1600℃にて焼結を行い、往復動摩擦試験機で摺動試験を行った結果、摩擦係数が0.03(目標0.025)であり、焼結体中に低摩擦、低磨耗の効果を有するFe化合物が均一に分散していることが分かった。
  [2] 耐熱、耐食性を有する材料の開発
    ピストンクラウン材を対象にした耐熱、耐食性を有する材料を開発するため、平成8年度に開発した高融点の元素周期表5a族の金属酸化物を添加したSi3 N4 を用いて重油に含まれるバナジウムに対する腐食試験(800℃、100時間)を行ったところ、800MPaの強度(目標800MPa)が得られ、高温で焼結した従来材に比べて耐食性が優れていることが分かった。また、焼結時に内部の気孔と差圧をつけ、焼結パターン(昇温速度、ガス圧力)を調整してピストンクラウンを作製した結果、表面から内部に至り均質な組織が得られた。
 [3] インテリジェント材の開発
  [1] インテリジェント化
    連続した炭素繊維を配置した複合材を作製し曲げ試験を行った結果、初期亀裂の発生および破断時において、試験片の両端に形成した電極間の電気抵抗が大きく変化することが分かった。
  [2] 機能の複合化
    基盤材にFeSi2 を添加した層と複合材を積層させた試験片を試作し、部品製作時の剥離や亀裂等の問題点を抽出した。





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更新日: 2020年4月4日

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