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「海外における造船・海運動向レポートの作成」の報告書

 事業名 海外における造船・海運動向レポートの作成
 団体名 日本中小型造船工業会 注目度注目度5


■事業の内容

新造船需要は回復基調にあるものの、国際競争の激化等により造船市場は依然として厳しい状況にある。建造量の殆どを輸出船で占める斯業としては、今後とも常に海外市場の維持開拓を図り、需要喚起に努める必要がある。
 アジア・大洋州諸国における造船・海運事情等に関する動向の基礎調査を行い、国際強調推進のための基礎資料とすることを目的とし、次の事業を実施した。
[1] 調査対象国
  [1] アジア地域:21カ国
    アラブ首長国連邦、イラク、イラン、インド、インドネシア、オマーン、クウェート、韓国、サウジアラビア、シンガポール、スリランカ、タイ、中国(含香港)、台湾、トルコ、パキスタン、バングラディッシュ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ミャンマー
  [2] 大洋州地域:2カ国及び太平洋諸島(含むパプアニューギニア)
 [2] 調査研究項目
  [1] 一般事情
  [2] 船舶事情(保有状況、海運事情と保有船主の実態)
  [3] 造船事情
  [4] 漁業事情(漁業の実態、漁業開発計画、漁船保有状況)
 [3] 造船・海運動向レポート作成
  [1] 規 格  オフセット印刷(バインダー製本) 約580頁
  [2] 部 数  150部(うちバインダー製本115部)
 [4] 配布先
   関係官庁及び団体        10部
   委員配布・海外事務所・商社   40部
   事務局在庫          100部
■事業の成果

3ヵ年計画で、約80数ヵ国を3ブロックに整備する本事業の第1年度目である本年度は、アジア・大洋州の25の国・地域の造船事情・船舶事業等を調査し、動向レポートとしてまとめた。
 [1] アジア地域
   〈アラブ首長国連邦〉
     アラブ首長国連邦は統一された海運政策がなく、保有船舶もここ数年90万総トン前後で推移しており、現在のところは中小型船の輸出市場としては期待できない。
   〈イラク〉
     イラクの保有船腹量は856,889総トンと少なく、91年の湾岸戦争以経済状況も安定していないため、船舶需要の見込みはない。
   〈イラン〉
     イランの物資輸入に占める海運比率は73%と比較的高い。また、船舶保有量は約350万総トンであるが平均船齢は21年と老朽船が多く、今後これら老朽船の代替需要が期待できる。
   〈インド〉
     インドにおける保有船腹量は現在約700万総トンで、国際海上輸送貨物の取扱量は年間約1億トンに達しており、自国海運力の増強を図ると共に、国際競争力の向上に努めている。また、政府は海運助成策の一つとして、船主に対し船舶建造費の30%まで助成しているが、現在の国内造船所建造能力では、国内需要の全てを自国で賄うことは不可能であるため、今後とも代替建造を含め各種新造船の対外発注が期待できる。
   〈インドネシア〉
     インドネシアにとってわが国は貿易面、経済援助の面でも最大の協力国である。かつて同国へは古くは賠償船等を含め大量の船舶が輸出されたが、最近は自国の造船設備が整備されてきたこともあり、船舶の輸出は減少している。また、中小型船の受注にも力を入れており、わが国にとってライバル国になりつつある。
   〈オマーン〉
     オマーンの保有船腹量は16,258総トンと極めて少なく、また、同国の経済規模も小さいため、船舶需要は全く期待できない。
   〈クエート〉
     クエートは、ペルシャ湾と内陸部間の物資中断地として古くから海運業が発達しており保有船腹量は約200万総トンと他の湾岸諸国に比べても多いが、老齢船が増加しているため、これら老齢船の代替建造需要が見込まれる。タンカーや作業船等の輸出実績を有するわが国としては同国海運の中核3社の動向を注視していく必要がある。
   〈韓国〉
     韓国は現在、造船市場において世界の約30%のシェアを占めるに至り、わが国と共に世界造船市場を二分するような、強大な造船国となった。従って、ライバル国として今後も注目が必要な市場である。
   〈サウジアラビア〉
     わが国のサウジアラビアに対する輸出実績は殆どなく、中小型船市場としては期待できない。しかし、世界有数の産油国であり、また、石油化学工業の振興による付加価値の高い石油関連製品の輸出拡大に努めていることから、将来的にはケミカルタンカー等の需要が見込まれる。
   〈シンガポール〉
     シンガポールは、わが国にとって修繕部門及び小型船舶のライバル国である。同国造船業界の状況は依然堅調で、今後も動向が気になる市場である。
   〈スリランカ〉
     スリランカは、不安定な経済状態が続いており、海運も内航、外航ともに殆ど発展しておらず、船腹保有量も20数万総トンと少ないため、市場としての魅力は薄い。
   〈タイ〉
     タイの船腹保有量は、約200万総トンで平均船齢が23年と殆どが老齢船であり、国内に主たる建造造船所もないことから中小型船の輸出市場といえる。
   〈中国〉
     中国は経済の高度成長も手伝い、船舶建造量は着実に増加しており、現在世界におけるシェアは第4位を占めるに至っている。将来的にも更なる伸びが予想されることから引き続きライバル国として、その動向に注目する必要がある。
   〈香港〉
     香港は世界の主要貿易港であり、特にコンテナの取扱量は世界最大である。
     しかし、造船業に関しては、輸出指向型軽工業分野に重点をおく政策や様々な制約等により大きな展望は望めない。
   〈台湾〉
     台湾の船舶建造実績は90年から大きな伸展は見られないが、海運力は年々強化され、今後も港湾設備の拡充等と共に益々盛んになるものと考えられる。同国は、中小型船の競争相手国として今後もその動向に注目する必要がある。
   〈トルコ〉
     トルコの保有船腹量は約650万総トンで中近東諸国では最大であり、政府も海運の振興には特に力を入れている。しかし、これら船舶の平均船齢は23年と老朽化が進んでおり、大型船の建造は殆ど自国では行っておらず西欧造船所に発注しているため、今後わが国の参入が十分期待できる市場である。
   〈パキスタン〉
     パキスタンは、貿易貨物の輸送を可能な限り自国商船隊により行い、外貨節約を図るべく年次計画により海運部門の設備拡充を図っているが、財源不足により大きな成果は上がっておらず、船舶需要はあまり期待できない。
   〈バングラディシュ〉
     バングラディシュの船腹保有量は435,689総トンで平均船齢は24年を超えている。政府は年次計画において自国商船隊の増強に努めているが、新造船購入に必要な外貨資金の不足、国内造船所の能力不足等により外国からの割安な中古船の購入により老朽船の代替補充を行っている現状であるため市場としてはあまり期待できない。
   〈フィリピン〉
     フィリピンの船腹保有量は約900万総トンで、大小7,100有余の島々からなる多島国のため海運業は盛んであるが、保有船の大半は老齢船であり、船舶の調達は殆ど中古船の改造であるため、現在のところは新造船はあまり期待できない。しかし、国内経済の立ち直りや、1998年に独立宣言100年目を迎えることから、今後活発化することも予想され有望な市場になる可能性も秘めている。なお、同国のセブ島には常石造船(株)が進出し、現地で新造船を建造している。
   〈ベトナム〉
     ベトナムは経済の急成長に伴い、国内向け及び輸出入貨物輸送量は年々増加傾向にあり、その他船舶の需要も伸びている。また、2000年、2010年に向けての新造計画が発表され、船舶造修設備の拡充も着実に進行していることから、今後の動向に注意をはらう必要がある。
   〈マレーシア〉
     マレーシアは自国船による船腹拡充計画を進めており自国では新造船の供給力に限りがあることからして将来的にかなりの中小型船舶の需要が見込まれる有望市場である。
   〈ミャンマー〉
     ミャンマーでは大型船の建造は全てヨーロッパ等に発注しており、外航船の修繕についても全てシンガポール、マレーシア等に頼っている。同国は経済が順調に成長していることから今後わが国においても需要が見込める市場となる可能性を秘めている。
 [2] 太平洋地域
   〈オーストラリア〉
     オーストラリアの造船業は、70年代半ばより低迷していたが、近年、高速フェリーの需要が堅調に推移していることと、軍事関連で蓄積された技術力を生かして掃海艇、潜水艦等の輸出引き合いが好調なことにより回復基調にある。同国経済も年々約4%の成長を維持しており、常に動向を注視すべき国の一つである。
   〈ニュージーランド〉
     ニュージーランドは、北島、南島及びスチュワート島の他、周辺洋上の多くの小島から成っており、海運の必要性は大きい。近年は経済の順調な伸長とともに、自国海運力の増強に努めているため、今後の船舶需要は有望視できる。
   〈太平洋諸島〉
     太平洋諸島における各国は、諸島間の海上輸送力の強化が望まれているが、現状では殆ど外国もしくは宗主国の海運力の支配下におかれている。これら諸島間の貨客輸送用小型船舶、各種ボート類、漁船等の需要は小規模ながら絶えずあるが、必要船舶の調達は殆どが中古船によって調達されているため、現在のところ無償の経済協力船以外は、あまり魅力的な市場ではない。
 以上のように、25の国・地域の基礎資料を整備し、今後の輸出対策樹立の指針とすることができた。





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更新日: 2020年4月4日

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