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「舶用天然ガスエンジンの研究開発」の報告書

 事業名 舶用天然ガスエンジンの研究開発
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


■事業の内容

天然ガスを用いた超低燃費、CO2の排出の少ないクリーンエンジンを完成させ、舶用エンジンとして利用できるようにすることを最終目標とし、そのための要素技術の研究開発を行うことにより、造船技術、関連技術の向上を図ることを目的として実施した。具体的には、天然ガスの主成分であるメタンを触媒を用いて、排気ガスから分離、抽出してきたCO2と反応させて、水素と一酸化炭素に改質して発熱量を増加させエンジンに供給し、そのエンジンの熱効率を大幅に向上させると共に、排気ガスのクリーン化を図るというシステムの開発について本事業を実施した。
(1) 実施内容
本事業では効率的な研究開発を行うため、実施計画を以下の二つの項目に分けて行うこととした。
 [1] コンセプトの検討
  システムを成立させるために必要な基礎研究として、天然ガスとCO2を反応させ改質する高効率の触媒装置を製作するための研究、及び改質反応に用いるCO2を得るために排気ガスの中からCO2を分離、抽出するセラミックス製分離膜の実用性に関する調査と研究を実施し、本システム完成の可能性を評価する。
 [2] コンポーネントの試作と評価
   本システムの主要装置である天然ガス改質触媒装置、CO2分離装置をエンジンの作動条件に合致するように試作し、その機能を評価し、実用性を得るように改良する。
   上記項目を実施するため、本年度は以下のとおり実施した。
  a.基本計画の策定
    本年度の詳細な開発計画、試験計画の作成、及びシステムを構成する要素の構造と効果のシミュレーションによる検討を行った。
   (a) 開発計画
     開発計画の策定にあたっては、以下の点に留意して検討した。
   イ. 初期に本事業の理論的な可能性を明らかにする。
   ロ. 本システムを構成する技術要素を、
   ・遮熱ターボコンパウンドエンジンの開発
   ・遮熱ターボコンパウンドエンジンの排気ガスによりCO2を分離抽出する装置の開発
   ・遮熱ターボコンパウンドエンジンの排気ガスより分離したCO2と天然ガスを触媒と排気ガスの熱エネルギーを用いて反応させ一酸化炭素と水素に改質する装置の開発に分け、個々の技術要素毎にブレークスルーすべき技術を明確にし、目標値と開発のマイルストーン及び開発に要する期間を明確にする。
   ハ.初年度前半期には、開発するCO2と天然ガス改質触媒の性能を正確に測定できる評価用リグ装置の設計製作を完了させ、本年度はリグ装置での評価、開発を主体とする。
   (b) システムを構成する要素の構造と効果のシミュレーションによる検討
     セラミックス遮熱型ターボコンパウンドエンジンから排出される高温の排気ガスより熱エネルギーをターボチャージャ、排気エネルギー回収タービン、天然ガス改質装置を用いて効率よく回収して超低燃費を実現し、かつ遮熱度が70%以上となるシステムの成立可能性をFEM(有限要素法)とサイクルシミュレーションプログラムを用いて検討した。また、本システムを成立させるための各要素技術の目標値を設定した。
  b.天然ガス改質装置の研究
   (a) 天然ガス改質装置の調査解析
     文献調査を中心に天然ガス装置 (CO2改質法、水蒸気改質法、触媒等)の調査を行い、既存材料、既存装置の改質効率の調査及び問題点の抽出を実施した。
   (b) リグ試験用天然ガス改質装置一次仕様設計試作
     天然ガス改質装置用の最適な触媒を選定し開発するために、触媒のガス改質特性を評価する装置が必要であるため、CH4ガスとCO2ガスの混合ガスを加熱した触媒に送り生成したガスをガス分析装置に送り、ガスの組成が分析できるリグ試験装置の設計、作製を行った。
     また、エンジンの排気ガスの持つ熱を利用し、システム全体の効率を向上させるため、熱交換機能を持ったガス改質装置の開発が必要なため、金属多管式熱交換器の検討を行った。
   イ. リグ試験装置のシステム設計及び改質装置加熱器の設計試作
   ロ. リグ用安全装置のシステム設計と作成
   ハ. リグ試験用改質装置モデルの設計試作
   ニ. 金属多管式熱交換器の設計試作
   ホ. セラミック式熱交換器の検討と設計
  (c) リグ試験での一次試作品基礎研究
   イ. 触媒種の探求と性能確認試験
   ロ. 各触媒を用いて試作した改質装置モデルでの最低活性化温度と改質効率の基礎試験
   ハ. 各触媒での副生成物の有無
   ニ. カリウム等アルカリ金属の影響
   ホ. 天然ガスに含まれるメタン以外のガスの影響等を調査し、触媒種類の違いによる改質効果、担持量等について研究を行った。また、上記基礎研究により触媒、担持体の候補を絞り込みその組合せによるリグ用改質装置の作成と性能、耐久試験を実施した。
  c.CO2分離装置の研究
   (a) CO2分離装置調査
     本システムは排気ガス中に含まれるCO2を分離回収し、得られたCO2で天然ガスを改質することによって燃料の発熱量を増加させるとともに、単位エネルギーあたりのCO2排出量を低減することをねらいとしているため、開発にあたっての重要要素には排気ガス中のCO2を分離回収するための分離装置を開発する必要がある。このため、開発要素を明らかにする目的で、既存のCO2分離回収装置及び分離材の調査を実施した。
   (b) 基礎性能、構造調査
   イ. 工業用既存品の購入、構造調査、作動原理調査、問題点調査
   ロ. 既存品を用いた性能試験、耐熱性確認試験
   ハ. エンジン用小型機のシステム設計試作
   ニ. 試験用リグ装置のシステム設計検討、性能試験
    等を実施してCO2分離装置の基礎性能の確認を行い、その結果を基に実用機用小型CO2分離装置の構造を検討した。
  d.とりまとめ
    本年度実施した内容を中間報告としてとりまとめた。
■事業の成果

本研究開発の目的は、超低燃費で地球温暖化と大気汚染の防止に有効な舶用エンジンの開発を見通して、その開発に必要な要素技術として、天然ガスを効率よく改質する技術開発を行い、石油代替燃料としての天然ガスの有効活用の道を開くとともに、造船技術、関連技術の向上を図ろうというものである。
 具体的には、天然ガスの主成分であるメタンを触媒を用いて、排気ガスから分離・抽出してきた二酸化炭素と反応させて、水素と一酸化炭素に改質して発熱量を増加させエンジンに供給し、そのエンジンの熱効率を大幅に向上させるとともに、排気ガスのクリーン化を図るシステムの研究開発で、そのシステムを成立させるために必要な基礎研究として実施した結果、本年度は以下の成果が確認された。
(1) 基本計画の策定
 全体のシステム構成としては、エンジンからターボチャージャー、回収タービン、天然ガス改質装置の順に配置する組合せが最も良い燃費効果が得られることと、燃費目標達成のために解決すべき技術課題として、(イ)500℃近辺で高い天然ガス改質率を示す改質触媒、担持体の開発、(ロ)排気ガスの熱エネルギーを有効に利用するために熱交換効率の高い改質装置用熱交換機の開発等が必要であることが確認された。
(2) 天然ガス改質装置の研究
 天然ガス改質装置の構造、使用する触媒について調査を行い、629件の参考文献を抽出し、その中からさらに39件について詳細な調査を行った結果、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、白金、酸化セリウム等を成分として含む触媒を利用した場合に、大きなガス改質装置の反応速度が得られることが判明したので、これらの触媒成分を含む従来の触媒について、従来材の特性評価及び改良材の改質率を測定した。また、天然ガス改質装置用の最適な触媒を探し開発するため、触媒のガス改質特性を評価する装置としてリグ試験装置を試作し試験を実施した。これらにより触媒成分をメタンガス改質用に最適化することによって、従来材に比べて5〜10%高い改質率が得られる触媒を開発することができた。今後、触媒粒子の微細化、触媒担持の均一化等により、さらに高性能化を図ったうえで実機搭載による評価を行う予定である。
(3) CO2ガス分離装置の研究
 様々な手法で行われている気体分離の手法の中で、本開発の用途に適していると考えられる膜分離法、吸着分離法についての詳細な調査、市販されている分離材についての評価等を行い、その中からCO2分離能力の大きい有機系分離膜及び無機系吸収剤を選定し、従来材と改良材の評価を行った。また、分離材の性能を評価する目的でCO2分離装置を試作し、分離後のガスのCO2純度や回収量を測定し、有機系分離膜に比べ無機系吸収剤が高いCO2分離能を示すことを確認した。そこで無機系吸収剤の中で活性炭吸収剤の極性に着目し、分離能の改良を試みた結果、従来材に比べてCO2分離能が3〜5%程度向上することが明らかになった。今後は、添加量及び添加元素の種類を変化させることで、より性能の良い吸着材の開発を行う予定である。





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