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日本の海岸はいま・・九十九里浜が消える!?●海岸浸食と漂砂●

 事業名 総合的海洋管理に関する討論会の開催
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


10 総括

 

宇多 沿岸域を含めた海岸の管理を考える時、対立する行政間の調整をするような機関というのは存在しません。だからそれぞれの機関が一度集まってオープンな議論をすべきではないかと思うんです。その時には徹底的に自分の主張を追求してもらって、そういう中から全体のバランスはどうあるべきかというところをとことん議論する。それで非常に多くの市民からサポートを得られるかどうか、そこに結論を求めるのが良いと思うんです。自分の利害関係のことしか頭にない議会のレベルでは全然展望が開けない。しかしいくら市民の合意とはいっても、それには市民自身の素養が求められるんです。日本人は沿岸域に対する素養のレベルが低い民族だと思うので、そういう中で本当にうまく納得のいく合意ができるかどうかは、現段階では難しいと思います。

 

質問 各論はそれぞれの議論と市民の変革というような形がいいと思うんですが、そもそも基準となる考え方というようなものが、国レベルで論議すべきことだと思うけれども、あまり行われていないような気がします。だから、そこの辺をまずやるべきなんじゃないですか。

 

清野 たとえば原理原則を国で決めたとして、河川法、海岸法とか港湾法に基づくような形で環境を保全しようと言っても、地方の現場レベルでは、自分の家の前が波で削れるから護岸工事して欲しいと要望してくる。実際に問題を解決する、そういうレベルの説得というのはとても難しいのです。個人が納得してくれないとか、それを取り巻く地域の人が納得していただけないときは、結局、大きいレベルでやっても変わらない気がします。

でも地域のことは地域で決めるという地方分権の時代に入ったときに、逆に地域のいろいろな感情とか利権を優先させた場合、国全体としての整合性がとれなくなるということは容易に想像がつきます。

 

宇多 最近、国の行政は、「こうあるべし、地方もかくあるべし」という類のことは言わなくなってきています。むしろ、地域での合意がなされた事業には予算がつくけれども、対決の真っ最中みたいなものは非常に予算がつきにくくなるという方向になりつつあるんです。そうすると、対立し合ってるだけでは結局は自分のところで何もできないという認識が生まれて来るんじゃないでしょうか。つまり主体は市民。常に話し合いながら何とかやれるというところが、少しは伸びる。昔のように水戸黄門のこの御紋が目に入らぬかということをやっているようではダメになると思います。

そういう意味では、今、国レベルでやろうとしている情報公開は、不必要な資料は出すまいとか、出してもコピーをとれないぐらい大量に出して、何だか訳わからなくして煙に撒こうという類ものと変わらないです。本当の情報公開というのは、データの羅列集を提示するということではなくて、大事なことをA4版1枚で書いて大事な情報を多くの人にわかってもらうようにすることであって、それが担当行政の存在価値につながってくると思うんです。

 

清野 今、私が関わっている問題で九州の大分県の治水工事があるんですが、大きい堤防をつくればみんな洪水が無くなると思って、いわゆるショートカットといって、川の蛇行部を真っ直ぐにするような工事をしていたわけです。それがいざ自分の家の前に巨大な堤防が出来てしまって、地域の人たちは「自分の敷地にたまった水というのは、今までは自然に川に戻っていって引いていたのに、もしかするとうちも名古屋みたいな洪水になるんじゃないか」と突然気づいてしまったんですね。

 

 

 

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