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ポーランド造船業の現状と展望

 事業名 基盤整備
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


2.8 ポーランドのEU加盟の意義

ポーランドでは、共産党支配の終結以降、政府は西欧との経済貿易関係の緊密化を図ってきた。1998年3月からEU加盟に向けての論議が始まり、ポーランドの現政権は2002年末を加盟の目標として設定している。しかし、その成否はまだ不明である。このEU加盟志向からも、経済貿易政策自由化のための各種の措置が必要になり、その実現には今後3年間を要すると見られる。

EU加盟が実現し、それに伴ってポーランドがEUの助成を得られれば、豊かさと賃金の上昇がもたらされることになろう。グディニア造船所の経営首脳部はすでに1996年にこのことを認識して、「低い人件費などの有利性が3−5年のうちに失われることは覚悟している。」8と語っている。

EUに加盟した場合にもう一つ予期しなければならないこととして、恐らく3年程度の猶予期間をおいてEUの造船政策への整合を要求されることがあげられる。現在政府助成は行われていないが、政府助成を行う場合には、EUの助成規則(船価の9%以内)に従った上で、助成を受ける各造船所の年間建造量に上限が設けられることとなる。この上限はGTベースで設定されるので、このようなケースとなれば、ポーランドの造船所は売上げを極大化するために、従来以上に技術的に高度な船種の建造に力を入れることになると考えられる。逆に、バルク輸送用の大型船舶を建造する余地は少なくなる。さらに言えば、ポーランドの造船企業がEU域外諸国で新造船設備を買収する意欲が刺激されることにもなり得る。域外であればEUの指令は適用されず、その立地によってはEU加盟国内よりも平均生産コストが低い設備が得られるかもしれない。これはEU非加盟国であるブルガリアのVarna造船所をシチェチン造船所が買収しようとした理由の一つとも見られる。

長期的には、ポーランド政府は欧州通貨連合(EMU)にも加盟する方向で計画を進めている。これによりズローティとヨーロッパのほとんどの主要造船国の通貨との関係が安定することになる。そうすれば、EMU加盟国造船業とポーランド造船業の相対的競争力が為替変動によって変化する可能性は低下することになる。しかも「ユーロランド」における通貨情勢に何らかの根本的変化が生じない限り、EMUに加盟すればポーランドは1999年1月の単一通貨導入以来、ユーロ地域の特色をなしてきた低金利の恩恵を蒙ることになる。

 

8 出所: 1996年9月2日付け"Lloyd's List"

 

 

 

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