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米国における軍事技術の舶用工業への転化の実態・調査報告書

 事業名 基盤整備
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


3. クリントン政権の軍民転換政策

 

3-1 産業科学技術政策

 

1992年大統領に就任したクリントンは次々と新しい産業科学技術政策を公表し、同時に連邦政府の機構を小さく、かつ効率的にすることにより多大の財政黒字を生み出し、この黒字を社会に再投資して17百万人の雇用を作り出し、インフレの昂進を抑えて平和時としては空前の長期好況を持続している。小さいが効率的な政府に改造するために、クリントン政権は当時民間製造業で行われていたリエンジニアリグの手法を充分取り入れ、ストリームライニング(Stream Lining)とか顧客(国民)ベースの活動とかいった概念を政府部内に定着させた。

クリントン政権が発足後減らした政府職員の数は365,000人に及び、同時に政府機構、法規等が全面的に見直された。

 

造船業及び舶用工業に最も関係深い官庁である沿岸警備隊(United States Coast Guard:USCG)を例にとれば、制度改革に着手する前38,000人であった総人員は1994年以降順次減らされ最終的に約80%の人員で運営される予定である。この減員を可能にした根本思想は、21世紀の高度情報社会では従来の検査は民間(船級協会等)にまかせ官はある事象の良し悪しを判断する監査(Audit)及び判断基準の作成に徹すべきであるという考え方である。

また、制度改革の一環としてUSCG基準は合理的に書き換えられた。

 

クリントンが大統領に就任した当時は、1980年代後半から始まる米国製造業復活が実を結び始めていた頃である。1986年マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology:MIT)はMIT産業生産性調査委員会を編成し、2年間にわたり日・米・欧の8分野の製造業を対象に調査研究を行ない“メイド・イン・アメリカ−アメリカ再生のための日・米・欧産業比較”を発表したが、この報告書は米国産業界に多大な影響を与え、各産業界は自助努力により1993年頃までにはリストラクチャリングを達成しつつあった。

 

MIT報告書は、米国産業界の地位向上を図るための政府の役割につき多くの紙数を割いており、産業界のみならずクリントン政権の政策立案にも大きく影響した。

米国は建国以来、政府の産業政策は2つの主義に代表されてきた。1つは第3代大統領ジェファーソンの考え方に基づき産業の形成に果たす政府の役割を最小限に留め産業界に任せることにより効率の良い発展を図ろうとするものであり、他は初代財務長官ハミルトンの考えに基づき産業成長に対する政府権力の介入を肯定しその有効性を信ずるものである。

クリントン政権以前のブッシュ政権やレーガン政権はジェファーソン派であり、MIT報告書に触発されて産業政策を変更するようなことはなく、本質的に産業界に対して無干渉主義をとってきた(参考資料9)。海事産業に例をとれば、レーガン政権は発足当初に建造助成プログラム(Construction Differential Subsidy:CDS) を事実上廃止したが、レーガンの海軍600隻体制で艦艇発注量の増えた造船業界からは何のクレームも出なかった。

 

 

 

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