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環境にやさしい船舶と舶用機械設計の実際に関する調査報告書

 事業名 基盤整備
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


7. おわりに

 

以上、船舶からの廃棄物を処理する方策を中心に述べてきたが、海洋生物あるいは絶滅種保護のごとく環境保護の立場からは重要であるにもかかわらず、舶用機械との関係が希薄なので触れていない項目もある。本報告書を終るに当たり、船舶の環境問題をリスクの面から再整理することにより、海洋生物の保護問題も考えてみたい。

 

ある環境問題の重要度は、その項目が持つリスクの広域度によって定まると考えられる。したがって、ある環境項目による被害が地球全体(Global)に及ぶものか、あるいは国家全体(National)、国家の一部(Regional)、地方(Local)、現場(Site)に限定されるものかを見極めることは、対策を立てる上で重要である。リスク最大のGlobal項目は、船舶が航行中あるいは停泊中に排出した廃棄物が自然に地球全体に伝播する環境項目である。Global項目は被害額も大きく、場合によっては人類の滅亡につながるので、真剣な対策が必要である。

そのような眼で本報告書で扱った環境項目を整理してみると、第5-3節バラスト水、第6章で扱ったCFC、ハロン、TBT等はリスクの大きなGlobal項目である。

 

エンジンからの排ガスはGWガスであるCO2を排出するので、一見Global項目とも考えられるが、現在のディーゼルエンジンは熱効率が良いのでその量は少なく、ディーゼルエンジンからの排ガス全体をGlobal項目とすることは不当で、排ガス中のNOxが地表オゾンの元凶となってせいぜいRegionalあるいはLocalな環境問題を引き起こしている中程度リスクの環境問題と考えるのが妥当であろう。

同様な意味で、第6-3節のVOCやHAPsも中程度リスクの環境問題である。

これに反し、レクリエーション用ボートガソリンエンジンからのHCの排出は、米国全土の問題でありその量も多いので、リスクの大きいNationalな問題である。

エクソン・バルデイーズ号の油濁問題は米国で大騒ぎされたが、リスクの広域度はアラスカ、ワシントン、オレゴン、カリフォルニアの諸州つまり国家の一部に限定されたRegionalな問題である。ただし、油濁は米国全土で均等に起っているので、一つ一つの油濁はRegionalあるいはLocalであるが、油濁問題全体はNationalな非常にリスクの大きい環境問題である。

 

海洋生物あるいは絶滅種保護の問題は、クジラのように世界中を動き回る生物を対象とした場合はGlobal項目であるが、ある湾内にのみ生息する生物を対象とした場合はLocalあるいはSite項目となる。ある種の海洋生物は法律で保護されており、それらをいじめる(Harass)ことは禁じられている。中でも、クジラとウミガメの保護が重要とされている。英語のHarassという言葉の意味は広く、動物の自然の挙動を変える作用の全てを指している。例えば、米大西洋艦隊の根拠地であるメイポート、キングスベイ、及びその近くの射撃、爆撃訓練場は連邦政府の定めたセミクジラの生息地の中あるいは近くにあり、訓練や艦艇の衝撃試験ができないので、海軍では金をかけてこれらの射撃場や訓練場を移動せざるを得なくなっている。他の例としては、カリフォルニア沖で海軍が開発中の曳航アレー監視システムが、海洋生物をHarassするとして環境団体に指摘されている。

 

 

 

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