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船の科学館 もの知りシート

 事業名 海事科学知識の普及啓蒙活動
 団体名 日本海事科学振興財団 注目度注目度5


No.7/36
船をうごかすII
1. プロペラの起源(きげん)
 プロペラも櫓(ろ)、オール、帆などと同じように船を押して走らせるために人間が考えだした道具の一つで、船の主機関(しゅきかん)が作り出した動力を進行方向の力に変える役目をはたすものです。蒸気船(じょうきせん)が建造(けんぞう)され、蒸気機関の高速化、高圧に耐えられるパイプの開発に伴い、汽船にもようやく改良が施されることとなります。この改良がスクリュープロペラ船の登場です。初のスクリュープロペラ船を完成させたのは自国の強力な機械産業を後だてにしたイギリスのスミスでした。
 
 
2. 外輪船(がいりんせん)とスクリュープロペラ船
 外輪船といわれて、すぐにその姿を思いうかべることができますか?外輪船とは蒸気船が活躍していたころ良く見られたタイプの船で、船の後ろや両側に取り付けた大きな水車を回転させて走る船です。
 スクリュープロペラが発明された時代、スミスはスクリュープロペラ船を完成させた後、「シッププロペラ社」を設立し、大型船へのスクリュープロペラ導入を積極的に図りました。その第一船は1839年(天保(てんぽう)10)に完成した“プロペラ”です。その後、“アルキメデス”と改名されロンドン〜ポーツマス〜ブリストル間のイギリス沿岸航路(えんがんこうろ)に就航(しゅうこう)しました。この様にスクリュープロペラは実用化の段階に入ったものの、スクリュープロペラと外輪船のどちらが優れているかは、なかなか決着しなかったのです。そのため行われたのが船同士の綱引きによる実験で、1845年(弘化(こうか)2)4月3日外輪船“アレクト”とスクリュープロペラ船“ラトラー”が、互いの船尾を網で結んで引っ張り合う勝負をしました。この2隻の船の大きさはほぼ同じで、出力も同じ200馬力でした。勝負の結果は、“ラトラー”が平均2.5ノットで“アレクト”を引っ張りながら前進して、スクリュープロペラの優秀性を実証したのです。もちろん1回だけの勝負で決着をみたわけではなく、その後1840年代には同じような綱引きや競走が何度か行われたそうです。その結果、推進性能面(すいしんせいのうめん)ではスクリュープロペラ船に軍配があがりました。また、外輪船にはスピード面の他にも、いくつかの欠点がありました。荒天時に方の外輪が空中に飛び出してしまったり、波に叩かれて破損したりしました。また、軍艦の場合、戦闘中むき出しの外輪が砲撃の絶好の対象になったことなどからも、スクリュープロペラの良さが確認されました。
 
スクリュープロペラ船と外輪船の綱引き
3. 可変(かへん)ピッチプロペラ
 スミスがスクリュープロペラ船を完成させてから約160年、船体や主機関の種類に応じた効率や操作性の良いプロペラが開発されてきました。その内の一つが、可変ピッチプロペラです。一般にスクリュープロペラといえば、翼(よく)が固定されているプロペラのことで固定ピッチプロペラと呼ばれています。前進の時と後進の時とで回転方向を変え、機関の逆転機構(ぎゃくてんきこう)を使ってプロペラを逆回転させています。この場合、前後進の切り替えの度に機関を逆転させなければなりません。機関の回転方向を一定にさせたままで船を前後進させる方法はないかということで開発されたのが可変ピッチプロペラです。これは油圧を使って翼の角度の調整を行っているので、機関の回転を変えることなく全速から微速(びそく)まで船のスピードを自由に変えることができ、緊急停止や超微速運転が可能となるなど優れた操縦性能を持っているので、きめの細かい操船を要求されるタグボート、トロール船、フェリー、掃海艇(そうかいてい)などには早くから採用されています。
 
かもめCPC−24型 3翼可変ピッチプロペラ
 
翼のひねリの方向と角度を変えることで、回転数や回転方向を変えずに前進、中立、後進が可能なプロペラ。
 
4. 二重反転(にじゅうはんてん)プロペラ
 プロペラが回転する際に発生する回転流(かいてんりゅう)、これまで利用することのできなかったこの回転流を反転する後方のプロペラで回収し、推進(すいしん)エネルギーに変えるのが二重反転プロペラです。三菱重工業(株)がこの二重反転プロペラを大型タンカーでの実用化に世界で初めて成功しました。これによって15%の省エネと環境汚染につながる排ガスの量をへらすことが可能となりました。
 
  前方プロペラ 後方プロペラ
直径 9.9メートル 8.8メートル
翼の数 5枚 3枚
回転速度 一分間に50回転 一分間に84回転
 
写真提供:石川島播磨重工業(株)







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