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船の科学館 もの知りシート

 事業名 海事科学知識の普及啓蒙活動
 団体名 日本海事科学振興財団 注目度注目度5


No.8/36
未来の船I
 現代まで、船はその形や材料、造り方、また推進装置(すいしんそうち)などにさまざまな改良がなされてきました。では、これから先の船にはどのような工夫がなされるのでしょうか。現在、海面効果船(かいめんこうかせん)(SES)のような新しいタイプの船が開発されていますが、将来の客船や貨物船はそのような形になるのでしょうか。今、未来の船として期待されているのがテクノスーパーライナー(TSL)です。
 
1. テクノスーパーライナー(TSL)
 「テクノスーパーライナー」とは、速力50ノット、貨物積載重量(かもつせきさいじゅうりょう)1,000トン、航続距離(こうぞくきょり)500海里(かいり)以上などを目指した超高速貨物船のことです。これまでの船型では時速約35ノットが高速化の限界とされ、時速約43ノット以上の高速で走れる船として海面効果船や水中翼船(すいちゅうよくせん)などがよく知られていますが、これらの船は短距離の小型客船などとして使われるだけに留まっています。「テクノスーパーライナー」の開発では、船の重さを支える浮力(ふりょく)、揚力(ようりょく)、空気圧力の3つのうち、浮力と空気圧力を組み合わせた空気圧力式複合支持船型(くうきあつりょくしきふくごうしじせんけい)(SES型)と浮力と揚力を組み合わせた揚力式複合支持船型(ようりょくしきふくごうしじせんけい)(水中翼船型)の2種類が開発されています。「テクノスーパーライナー」が就航(しゅうこう)すると、国内では一度に大量の貨物を半日程度で運ぶことができるようになります。また、アジア近隣の国々とも1〜2日で結ぶことができるようになり、特に東南アジア地域は、この先世界の中でも最も貨物輸送が伸びることが予想される地域なので「テクノスーパーライナー」の果たす役割は大変重要です。
 
(1)“飛翔”(ひしょう・空気圧力式複合支持船型)
 「テクノスーパーライナーA船型」とよばれる“飛翔”の船体は、左右2つに分かれたサイドハルと、船首、船尾に設けられたシール材、姿勢制御(しせいせいぎょ)の水中翼などから成りたっています。比較的少ない馬力で高速が出せる船型となっているので、超高速貨物船実現が期待されています。船体の大部分はアルミ合金製で、この船型の長所として、高速化や大型化がしやすいことが上げられます。
 実験船のテスト航走では、54ノットを超える最高速度を記録し、高さ4〜5メートルの波でも安定した航走結果が得られました。“飛翔”は、船体の下の方に海面効果船の様に空気を送り込んで、船体を浮かせて航走するしくみになっています。つまり、水に浸っている部分が少ないので船が進むときに生じる水からの抵抗(ていこう)が減り、少ない馬力で高速が出せるしくみになっているのです。
 
 
(拡大画面:80KB)
テクノスーパーライナー”飛翔”の内部構造図
写真提供:TSL技術研究組合
 
(2)“疾風”(はやて・揚力式複合支持船型)
 「テクノスーパーライナーF船型」と呼ばれる“疾風”の船体は、上部船体、下部船体およびこれらをつなぐストラットで構成されています。将来は貨物船だけでなく、客船やカーフェリーなどへの応用も考えられています。上部船体がアルミ合金、下部船体がステンレス鋼で造られており、実験船を使ったテスト航走では、41ノットという高速を記録し、安定した翼による完全浮上航走(かんぜんふじょうこうそう)と優れた旋回(せんかい)、停止性能を見せました。同時に、高さ6メートルの波でもほとんど速度を落とさず、揺れずに走れるという結果が得られています。“疾風”は、航走中は没水体(ぼっすいたい)の浮力と水中翼の揚力で、船体を水面上に支えるしくみで、水面の近くには細いストラットしかないので波があっても揺れず、ほとんどスピードを落とさずに走ることができます。
 
(拡大画面:93KB)
テクノスーパーライナー“疾風”の内部構造図
写真提供:TSL技術研究組合
 
高速航行中の“疾風”







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更新日: 2019年12月14日

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