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文化資源の広域的活用に関する研究

 事業名 文化資源の広域的活用に関する研究
 団体名 地方自治研究機構 注目度注目度5


第1章 文化資源の広域的活用の考え方
1 本研究における「文化資源」「地域文化」の捉え方
 「文化」は、過去からの文化的ストックや未来を豊かにする様々な現在の生活様式、人々の心意気や、今ある様々な社会的インフラを「資源」に、人々の生活に直接・間接に取り入れられることで根付き、変わり、新しく産まれる。「文化資源」は、活かされることで現在の生活を豊かにし、現在の生活は大事に磨かれることで将来の「文化資源」となっていくことだろう。「文化」は、そんなストック&フローの中で活き、今を生きる人々を心豊かに生かしていく。
 「地域」は、文化のそんなサイクルを活かす「舞台」であり、文化をつくる「繭」である。将来に向け、生活に根ざした地域の文化、地域で人々と文化を共有することの意義が重視されていくだろう。
 
(1)「文化」とは
 辞書には「(1)世の中が開けて生活水準が高まっている状態、文明開化。(2)人類の理想を実現していく精神の活動。技術を通して自然を人間の生活目的に役立てていく過程で形作られた生活様式およびそれに関する表現」とある(岩波国語辞典第四版)。先進国では、特に(2)の意味の文化を深めていくことが求められているといえる。
 高い精神や技術に基づいてつくられた芸術、文芸作品、人類の理想に近い行いなどは、「文化的」であっても、それ自体単体ではまだ「文化」ではない。時代と呼応しつつ、多くの人々に認知され、その時代をともに生きる人々を豊かにするために様式化(言い換えれば社会化・手法化)され、何らかの形で生活に取り入れられ、あるいは、共有する人々の誇りにつながるような存在になった時、「文化」になるのではないか。
 行政では、「文化・スポーツ」、「文化・教育」などの扱いの中で、文化財の研究や保全、芸術文化の振興、主に余暇活動の一環として歴史・芸術・文芸・伝統・国際交流などにふれ、あるいは創造していくような場や機会の提供(美術館、ホール等の施設整備、講座やイベントの開催、組織の育成や支援等)など、人々の教養を育て、生活にうるおいを与えるの分野として扱われている。
 
(2)「文化資源」とは
 「文化資源」というと「文化財」に代表されるような過去や現在の「文化のストック」、特に、歴史の星霜をくぐりぬけてきた有形・無形の価値、文化・教育活動の資源としての価値がクローズアップされやすい。また、国や地域の誇りにつながるような芸術家や芸術作品、文化的なイベント、あるいは、地域の人々の文化的な活動の基盤となる施設を指すこともある。最近では、「その地域ではありふれたものでも価値を見いだして地域文化の資源に」など、「観光資源」、「コミュニティ再生の資本」に近い意味で使われることも少なくない。しかし、「文化行政の資源」と同義でないことは確かである。
 「文化資源」は、その時代をともに生きる人々が心豊かに生きるための精神的な共有財産としての「文化」をつくるための資源であり、狭義には、
・過去の文化ストック(歴史的な文物や建築物、芸術文化、有形無形の伝統技術、民族をアイデンティファイするような伝統的な言葉・習慣・衣食住の姿など)
・現在の文化的な事物(芸術、現在の生活を拓いている衣食住洋式、これを支える技術や産業の姿など)
・文化を担う装置や機会(美術館、ホール等の文化施設、人材、組織、活動、イベントなど)
などが挙げられるが、広義には、価値が認められて守られている自然環境や風景、国際交流や社会的な意義の高い市民活動、コミュニティ活動など、心豊かな未来につながるような事物も「文化資源」といえるだろう。
 更には、人々の経済的・精神的なゆとり、教養(心豊かに生きるための知識やセンス、現在の自分だけでなく、多くの人々が、将来にわたり心豊かに暮らせるよう願う気持ち、人々の教養や精神的・経済的なゆとり)、文化的な活動や交流を支える様々な社会基盤(交通路、情報ネットワーク、行政機構をはじめとする様々な組織の力など)も、「文化資源を活かすための資源」として捉えておく必要がある。
 「文化行政」や「観光」などは、これらの「文化資源」を活用して心豊かな生活を実現するための手法として位置づけられる。
 
(3)「地域文化」とは
 ここでは「その土地に根ざした文化」、文化の意味をより説明的に表現すれば「その土地の人々を心豊かにするためにその土地に形づくられた文化の体系」とでもいいたい。
 「地域」とは、辞書では「土地の区域。区画された土地」(岩波国語辞典第四版)と簡単に説明されている。「人為的な基準(様々ある)で線引きされた土地」という程の意味であろうが、地域振興を考えるときは、便宜的に行政的に区切られた区域(行政界や指定地域)で捉えることが多い。
 しかし、「文化」に着目して地域を捉えるとき重要なのは、「同質の文化を共有する土地」であり、「人々がひとまとまりと感じている土地の範囲」ではないか。そのまとまりは、その土地の上に重層的にあり、あるときは地形で、あるときは行政界で、藩政時代の区切りで、またあるときは選挙区で、方言を同じくする範囲で・・・と、くっついたり離れたり、広く統合されて捉えられたり、細かく捉えられたりする。
 現在の生活に根ざして考えると、通勤通学圏、趣味やスポーツの活動圏、日常の子育てや買い物の圏域など、目的によって地域を使い分けており、特に現在は、モータリゼーションの進行により、一定の面的な広がりより線や点で行動圏を捉えることが増えているのではないか。また、テレビや電話に加え、携帯電話やインターネットなど双方向性の高い情報通信ネットワークの恩恵により、地域のまとまりを超えたつながりを求める傾向もみられる。
 しかし、高齢化が進むほどに、生活に密着した「地域」の存在は大きくなるのではないか。バーチャルな世界が広がるほどに、人間のスケールに即したリアルな環境の価値が高まるのではないか。自然や歴史は一朝一夕につくれるものではない。都道府県界、国境を超えたやりとりが進むほどに、固有性ある地域の財産(文化)が愛おしくなり、これを共有する人々との関係を慈しみたくなるのではないか。
 
 地域文化は、共有している文化を持つ地域である(換言すれば、その地域の人々が固有性ある文化資源を共有している)ことを意識し、大事に育むことで醸成され、それがその地域に輝きを与え、そのことが再び人々の生活に誇りと豊かさを与える、そんな関係づくりの中に成立するものであり、今後の地域づくり、人づくりの重要な要素としてとらえられる。地域は、文化のストックが活かされ、今を生きることで、未来の文化をつくる、進化のサイクルの舞台そのものである。







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更新日: 2020年7月4日

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