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東南アジア造船関連レポート21

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


(2)ベトナムの海運
【1】海事関連行政機関
(1)運輸省(Ministry of Transport:MOT)
 運輸省はベトナム国内の陸上交通(道路、鉄道)、内陸水運、海上交通など運輸全般を管理する行政機関である。主な機能には運輸交通全般の開発に関する国家マスタープラン作成と提言、国家マスタープランに基づき地方政府や関連省庁への指導、運輸管理に関する法令、規制、政策などの策定・発効・監督、運輸全般に関わる各種国家基準、技術標準の作成とライセンスの発行、開発・建設プロジェクトの認可などが含まれる。
 組織は諮問機能を有する8つの部局、サブセクターごとの特別管理機能を有する5つの外庁、17の特殊法人、21の傘下国有企業からなる。
 
(2)ベトナム国家海事局(Vietnam National Maritime:Bureau)
 運輸省の内部で海事関連行政を担当する外庁にはベトナム国家海事局(Vietnam National Maritime Bureau:VINAMARINE)及びベトナム内陸水運管理局(Vietnam Inland Waterway Administration)がある。ベトナム国家海事局の組織図を図5に示すが、船舶管理、港湾管理、海運サービス、船員教育などの業務を管理し、その傘下には多くの外部特殊法人や国有企業を抱えている。
 かつてベトナム国家海事局は外航・内航全てに責任を持ち、組織も傘下企業を含めて3万人余りを擁していたが、その商業活動の大部分は国営海運会社(VINALINE)(海運業、港湾経営)と国営造船会社(VINASHIN)(造船)に移管されたため、ベトナム国家海事局は行政機能に特化する組織となった。
 
図5 ベトナム国家海事局の組織図
(拡大画面:116KB)
(出所) ベトナム運輸省
 
【2】海運業の概況
 現在、ベトナムには100社を超える海運企業があり、船隊を構成する船舶の大半は小型の老朽船である。各海運企業は主として内航市場に集中していて、ベトナム籍船による輸出入貨物の積取比率は価額ベースで15%に過ぎない。
 ベトナムの商船隊は、表5のごとく1999年のLloyd's Registerによると640隻(総トン数で約86万DWT)となっているが、ベトナム海事局(Vietnam Maritime Authority:VMA)によると2001年末時点で総数770隻(総トン数で約190万DWT)で、そのうち国営船会社であるVietnam National Shipping Linesが86隻(総トン数で90万DWT)を保有している。また船舶の平均サイズは内航及び外航用船舶でそれぞれ600DWT、7,500DWTであるため、隻数では内航船舶が圧倒的に多いものの、総トン数では約80%が外航船舶となる。
 自国の輸送需要に対応するために、ベトナム政府は2010年までの10年間に5億6,730万USドルを投じて国営船会社の船隊規模を150万DWTまで増強し、国内海上貨物の80%と輸出入貨物の25%を自国籍船で取り扱う計画を2001年11月に承認している。
 
表5 ベトナムの登録船舶の隻数と総トン合計(2000年)
船舶の種別 隻数 登録総トン(GT)
ドライバルク貨物船 11 114,921
液体ばら積貨物船 54 156,895
一般貨物船 467 513,485
漁船 62 18,269
オフショア 23 99,956
上記以外 74 98,011
合計 691 1,001,537
(出所) Lloyd's Register World Fleet Statistics 2000。
 
【3】内航・外航海運
 ベトナムにおける海運は、メコン川、紅河、サイゴン川などの河川・運河を利用する内陸水運と沿海・外洋航路を利用する海上交通とに分かれる。
 ベトナムは、2,360以上の河川や水路、湖沼を網羅する全長41,900kmに及ぶ国内水上網を擁している。特に、南北のデルタ地域に加え、3,200kmにも及ぶ沿岸水上航路、数千にものぼる島々への水上航路などは国内水上輸送を支えている。平均水路密度は、0.3〜4km/km2である。
 
表6 地域別水路密度
地域名 密度(km/km2
紅河デルタ及びメコン・デルタ 2〜4
モンカイ、ドンナイ川及び中部沿岸地域 1.5〜2
その他地域 1〜1.5
 
 ベトナムには、1,000km2以上にものぼる河川流域がある。中央・地方行政が管理できているのは、3割にも満たず、7割以上は管理しきれないのが現状である。これら河川、水路、湖沼のうち8,013kmが内陸水運に利用されている。中央政府はそのうち6,231kmの内陸水運を管理しているが、定期的な調査や浚渫が実施されていないため、航行上の安全面で問題を抱えている。内陸部で運航されている船舶や貨物輸送量の実態については把握されていないが、ベトナム輸送戦略研究所によると、客船はほぼ100%民間企業により運営されており、貨物船は90%が民間、10%が国営企業により運営されている。
 一方、沿岸、外洋を航行する商船隊による貨物輸送量の推移を表7に示す。1991〜1998年の間に貨物輸送量は大幅に増大しているが、特にコンテナ貨物の輸送量の伸び率が高く、年平均17.8%の伸びを示している。
 
表7 ベトナムにおける貨物輸送量の推移(1991〜1998年)
  1991年 1995年 1998年
貨物取扱量
(千トン)
輸出 n.a. 18,061 24,142
輸入 n.a. 15,336 20,772
国内 n.a. 5,336 11,644
合計 17,949 38,991 56,558
内、運輸省管轄港湾での貨物取扱量
(千トン)
輸出 2,892 3,715 4,780
輸入 2,723 7,915 7,418
国内 2,344 2,799 4,832
合計 7,959 14,429 17,030
コンテナ取扱量(千TEU) 105 532 971
(出所) Vietnam's Transport Strategy Study(VITRANSS).
 
【4】主要船会杜の動向
(1)Vietnam National Shipping Lines(Vinalines)
 Vinalinesのグループ会社はVOSCO、Vitranschart、VINASHIP、及び原油輸送を専門とするFALCONなど7社からなり、グループ全体で86隻(総トン数で90万DWT)の船舶を保有する。2001年のグループ全体の貨物輸送量は前年比9%増の1,230万トンを記録し、うち950万トンが国外輸送となっている。2001年にグループは12隻の新造貨物船(総トン数11万1,000DWT)を3億6,420万USドルで購入し、輸送部門の売上は前年比17%増の1億4,600万USドル、純利益340万USドルを計上した。
 2002年の予算では、Vinalinesグループは貨物輸送量1,300万トン(前年比6%増)グループ全体の売上3億6,700万USドル、うち輸送部門の売上2億0,500万USドルを目標としている。輸送貨物量の増加に対応するため14隻の中古貨物船(総トン数24万4,000DWT)を2002年年初に購入し、その後ヴィナシンから5隻(総トン数3万トン)の新造船の引き渡しを受ける計画である。中古船購入にあたってベトナム開発支援基金(Development Assistance Fund)からの資金借入で対応する計画である。
 Vinalinesグループは海上輸送以外に港湾開発・管理も手懸けており、ハイフォン、ダナン港の管理、Vung Tauコンテナ専用ターミナルやハノイでの航海情報センターの建設にも関わっている。
 
(2)Vietnam Ocean Shipping Company(VOSCO)
 Vinalinesグループに属するベトナム最大の船会社で1974年に設立された。2000年6月時点での保有船舶はRORO船やセミコン船を含む22隻(総トン数で29万DWT)でほとんどが中古船である。主に東南アジアの定期航路と不定期船の運航を行っている。
 
(3)Vietnam Shipping Company(VINASHIP)
 Vinalinesグループに属するベトナム最古の船会社でハイフォンに本拠を置く。保有船舶は8万DWTで内航輸送が中心となっている。
 
(4)Vietnam Sea Transportation & Chartering Company(Vitranchart)
 Vinalinesグループに属し、1975年設立で保有船舶はバルカーなど18万DWT。東南アジアに不定期配船している。
 
(5)Gematrans
 VinalinesとフランスCGMの合弁会杜として1989年に設立された(Vinalinesが株式の51%を保有)。同社は11隻のコンテナ船(総輸送能力:4,000TEU)を就航し、ベトナムの輸出入貨物の約30%を輸送している。
 
(6)APM Saigonship
 サイゴン・シッピング社とデンマークのAP Moller社の合弁会社(AP Moller社が株式の75%を保有)で、サイゴン、香港、高雄、釜山、シンガポールなどの定期航路を就航するコンテナ船11隻を保有している。







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