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米国における船舶のクリーン推進システム開発プロジェクトに関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


調査の背景と概要
 本報告書は、米国における船舶のクリーン推進システム開発プロジェクトに関して調査したものであるが、推進システムのクリーン化は、燃料の種類と質(燃料の安定供給や貯蔵の可否、コスト等)、推進システムの内容(効率、取込まれたクリーン化技術に係るコスト、信頼性、耐久性)、社会環境等いろいろの要素が絡み合って達成されるものである。水上輸送において人類が帆船というクリーンな推進システムを完全に捨て去ってから未だ100年を経過していないが、その間に経済性や環境問題等の時代の要請に合った多くの技術が開発された結果、現在では船舶用推進機関としてディーゼルエンジンが主流を占めるようになった。
 
 しかしながら今日では、他の機関に比較して排ガス浄化技術の開発・適用が遅れているディーゼルエンジンによる環境負荷が問題となっており、ディーゼルエンジン技術そのものが見直されている(一方、欧州の自動車のように、排ガス浄化規制を進めることにより、本来の燃費効率の良さ(CO2排出量の少なさ)が改めて評価されているケースもある)。米国において環境性能を経済原理の中に導入する転機となった法律は1969年の国家環境基本法(National Environmental Policy Act of 1969)であるが、その後連邦の主要公共事業は実施前に環境に与える影響を調査することが必須となった。もっとも、革新的技術で船舶推進システムの効率を上げクリーン化するというようなレベルで合衆国全体が纏まって動くようになったのは、1990年代に入ってからである。
 
 現在の船舶推進システムの主役は化石燃料を燃やす内燃機関であり、その燃料も(供給の問題はあるにせよ)石油から天然ガス、そして水素へと着実にクリーンな方向に向かっている。水素を燃料とする燃料電池については、その原理の発明は早かったにもかかわらず、長期間に亘り燃料のコストが安く且つ安定供給が容易な内燃機関の陰に隠れていた。しかしながら、そのクリーンさと効率の良さからようやく船舶推進システムへの適用が考えられるようになっている。
 これには米国のエネルギー事情の大幅な変化も見逃せない。1973年第1回石油危機から30年が経過し、現在米国のエネルギー事情も大きく変わっている。1950年に世界石油生産量の50%を生産していた米国は、1997年には10%に落ち込んでいる。米国エネルギー省DOE(Department of Energy)が毎年発表している米国のエネルギー需給予測(現在の最新版は2002年に発表された2020年迄の米国のエネルギー事情を予測する報告書(参考資料2))によれば、2020年の総エネルギー使用量(生産+輸入□輸出)は2000年比で34%増加し、石油製品の輸入、天然ガスの生産及び輸入が増加すると予測されている(付録 4、表 D1)。現在米国は世界エネルギー消費量の25%を消費し、消費量は年々1%位ずつ増加しているが、発展途上国の消費量も同様に増加しているので世界における米国のエネルギー消費シェアは殆ど変わっていない。参考資料2はまた技術開発によりどのくらいのエネルギーが節約されるかの予測も行っている。適用される技術レベルを2002年の技術、より高度な技術、考えられる最高技術(Best Available Technology)の3段階に分けて推定しているが、最高技術を適用した場合には産業分野のエネルギー消費量は15%減少すると結論付けている。
 
 船舶のクリーン推進システム開発という特定の分野の研究といえども、米国のエネルギー政策、環境政策と無縁で行われているわけでない。本報告書は、米国のエネルギー政策の下、船舶のクリーン推進システムの開発がどのように進められているかを取り纏めた。
 
 第1章米国の政策動向では、ブッシュ政権のエネルギー政策、京都議定書と米国の対応策、米国における排ガス浄化の一般的取り組み、MARAD、EPAの取り組みについて述べる。現在MARADは舶用推進システムのエネルギー効率向上・排ガスの浄化プロジェクトを推進中である。特に巨大な経済力を有し、且つ、環境保全への関心が極めて高いカリフォルニア州は、様々な研究開発プロジェクトを進めており、特にサンフランシスコ湾はMARADの実験場の様相を呈している。MARADは、ONRやDOEと共にカリフォルニア州のフェリー業者、サンフランシスコ湾水上交通局 WTA(Water Transit Authority)その他と組んで種々のプロジェクトを実施中である。本報告書ではBlue & Gold社(バイオディーゼル、2−1節)、Red&White社(混焼エンジン、2−3節)、WTA(燃料電池推進フェリー、4−5節)、Millennium Cell社(水素燃料システム、4−5節)、Sure Power社(燃料電池発電バージ、4−5節)を紹介する。その他Golden Gate フェリーは水エマルジョン燃料を使ったディーゼルエンジンを試験している。また、EPAにもクリーン推進システム開発に使用可能なプロジェクトが用意されているが、舶用分野ではあまり利用されていない。(1−5節)
 
 第2章エンジンの改善では、クリーン・エンジンとしてディーゼルエンジン系のバイオ燃料エンジン、天然ガスエンジン、混焼エンジンと共に近々市場に現れると予想される中間冷却復熱式大型ガスタービン、同じく近々舶用化が予想されるマイクロガスタービンについて述べる。
 
 第3章推進システムの効率化では、ガスタービンと蒸気タービンのコンバインド・サイクルエンジンのほか将来的に船舶推進の主流となることが予想される電気推進システム、及び関連のPODプロペラ、高温超伝導モーター、リムドライブ・プロペラについて述べる。
 
 第4章では、本報告書の主題とも言うべき燃料電池推進システム及び燃料の水素システムに関連する技術開発状況について概観する。未だ本格的な燃料電池推進船は出現していないので燃料電池関連の政策や技術動向、立ち上がったばかりのプロジェクトの紹介が中心となっている。本格的実用化には若干時間が必要であるが、電気推進と燃料電池の組み合わせは、何れは推進システムの主流の座を占めるものと思われる。







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