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米国における船舶のクリーン推進システム開発プロジェクトに関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


1−4 MARADの取り組み
(舶用エネルギー効率向上及び排ガスの浄化プログラム)
 米国における2001年夏の石油価格の高騰は、ブッシュ政権のエネルギー政策の基本である外国産石油への依存度を減らし、国内エネルギー資源開発を進める必要性を益々加速した。海事産業はエネルギーコストの上昇に加えて、排出基準が厳しくなったことによる出費増で痛手を蒙っており、エンジンメーカー、船主・オペレータ、水上交通計画者、その他の海事産業関係者は、エネルギーコストを下げ、且つ、排出を減らすという、2大目標を同時に達成しなければならない状況に立たされている。そのため、新技術の開発が当然必要となる。陸上ではかなり実用化されている技術でも舶用環境ではその効率、コスト、性能等が充分確立されていないものが多く存在するので、海事業界では政府の指針設立とリーダーシップを求める声が高まってきていた。また、1−2節で述べたように、DOEもMARADの指針設立を求めていた。このような状況に鑑み、MARADは舶用エンジンの効率を向上させ、大気汚染物質の排出を減らすための新技術と新燃料の開発と実証を進めるため、「舶用エネルギー効率向上及び排ガスの浄化プログラム」を発足させた。本プログラムにより、舶用エネルギー及び排出の基準と方針に関するガイダンス或いは情報が明らかになり、海事産業に従事する人の支援と海洋関連の環境保護がより直接的に行われることが期待されている。
 
 本プログラムの遂行は、他の政府機関、産業界、学会等との協力を得て行われる。MARADが掲げる本プログラムの目的は下記である。
■エネルギー技術及び排ガスの浄化技術とその応用に関する情報を調査し、発展させ、普及させる。信頼できる情報の中から得られる有望な技術の実現に努力する。そのため、その技術のデモンストレーション・プロジェクトを実施し、或いは研究開発助成等のインセンティブ・プログラムを用意する。
■水上交通以外の交通システムに関する情報を調査し、発展させ、普及させる。水上交通システムが空・陸を含めた統合交通システムとしてポテンシャルを発揮し得る領域を見出す。水上交通システムが統合交通システムの中で機能を発揮するために満たさなければならないエネルギー及び排出に関する要求事項を明確化する。
■インセンティブ・プログラムや排出権取引も含め、エネルギー及び排出に関する方針や基準に関する情報を調査し、発展させ、普及させる。インセンティブ・プログラムや排出権取引を使用して、国家エネルギー及び排ガスの浄化プログラムの実現に努める。
■適正かつ合理的な海事産業の排ガス排出方針及び基準を国内及び国際レベルで発展させるガイダンスを提供する。
 
(プログラムの詳細)
 本プログラムはFY2001からFY05迄の5年間のプロジェクトとして組み上げられており、「デモンストレーション」、「研究」、「海事産業への周知」の3つのサブ・プロジェクトから成り立っている。デモンストレーション・サブ・プロジェクトは下記4つの分野を含み、いずれも連邦、州、その他の公共機関、民間産業、学会等とパートナー契約を結ぶことから出発する。
 
■ 基準となる燃料効率及び排出の測定FEEM(Baseline Fuel Efficiency and Emissions Measurements)
FEEM1−自動車、バス、及びフェリー比較
FEEM2−天然ガスとディーゼル燃料フェリー比較
FEEM3−新しいサンフランシスコ・ディーゼル・フェリー
FEEM4−船舶の改造前後の比較
FEEM5−ガスタービン
FEEM6−ロータリー・エンジン
 
■ ディーゼル技術DT(Diesel Technologies)
DT1−微少粒子PM(Particulate Matter)フィルター
DT2−水インジェクションシステム
DT3−選択接触還元法SCR(Selective Catalysis Reduction)
 
■代替燃料技術AF(Alternative Fuel Technologies)
AF1−LNG新造フェリー
AF2−CNG改造フェリー
AF3−混焼(天然ガス+ディーゼル)新造曳船
AF4−合成燃料改造エンジン
AF5−水素燃料内燃機関
 
■燃料電池技術FC(Fuel Cell Technologies)
FC1−天然ガス燃料電池研究船
FC2−天然ガス燃料電池商業船
 
 「研究」は技術的、経済的、方針的及びインター・モーダルのテーマを含み、研究のみでもよいが、デモンストレーションを含む場合は、燃料消費量と排出の情報が明記されなければならない。本プロジェクトでエンジンを取り替える必要が生じた場合、MARADは新エンジンの選定及び換装前後の燃料消費量と排出量の計測を援助する。「研究」は下記5プロジェクトから成り立っている。
 ■船舶天然ガス改造設計フィージビリテイ・スタディ
 ■イウェーとフェリーの統合研究
 ■基準化されたプロトコールの開発
 ■採用技術と船舶の適合性研究
 ■排出トレーディングの経済研究
 「海事産業への周知」では、上記本プロジェクトの結果を公知するワークショップ及び会議が毎年開かれることになっている他、ウェブ・サイトでも見られるようになっている。本プログラムはMARADの環境局と造船・海事技術局が共同して関与しているが、本プログラムの利点として下記3点をあげている。
 ■水上交通が陸上交通の代替或いは補助として見直される。
 ■水上交通の環境への悪影響を減らす。
 ■米国造船業のニッチ・マーケットを育成する。
 
(プログラムの成果)
 本報告書で上記プログラムの成果の全貌を紹介するのは時期尚早であるが、その一部については下記のようにその片鱗が明らかになっている。
天然ガス排出テスト・プロジェクト(2−2節)
■ディーゼルエンジンの混焼化プロジェクト(2−3節)
■バイオディーゼル・プロジェクト(2−1節)
■燃料電池推進フェリー・プロジェクト(4−5節)
■港湾用燃料電池発電バージプロジェクト(4−5節)
■燃料電池推進システム用水素貯蔵システム(4−6節)
 
 前述のようにMARADは、水上交通システムが統合交通システムの一部となるポテンシャルを持つ領域を見出すことが本プログラムの目的の一部である、と述べている。この目的のためには、MARADが以前から実施しているいくつかのプロジェクトと本プログラムを組み合わせて考える必要がある。
■フェリー・イニシアティブ
 MARADはUSCG、連邦高速道路局FHA(Federal Highway Administration)、連邦交通局FTA(Federal Transit Administration)等、フェリーに関係する連邦政府機関とフェリー問題に関するワーキング・グループを作り、2000年6月シアトルで行われた会議でフェリー問題を検討する常設の省庁間委員会が設置された。米国沿岸にエネルギー効率の良い排ガスの浄化の高速フェリーを運航させ、陸上交通の混雑を緩和し、以って大気汚染の防止に役立てるといったプロジェクトは全て本委員会で討議される。
 
■内陸コンテナ輸送バージプロジェクト
 MARADは、ピッツバーグ港湾局が進めているピッツバーグとモントレー(メキシコの産業都市)間のコンテナバージ輸送に関するフィージビリテイ・スタディの援助に関する契約を結んだ。現在、この区間の輸送はトラック或いは貨車で行われており、特にメキシコ国境付近の渋滞による大気汚染が問題となっている。この他、米国でコンテナ陸上輸送の混雑が問題となっている地域は、米国北東部であり、特に東岸最大のコンテナ・ハブ港であるNY/NJ港からニューイングランド方面への遅れがひどい。







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