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米国における造船関係研究開発助成制度の実施状況と成果活用等に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


I−3−3 システム技術
<1> 統合造船環境(ISE:Integrated Shipbuilding Enterprise)
期間:1999年9月〜2003年7月、コスト総額:3,997万ドル(造船所2,014万ドル、NSRP ASE 1、983万ドル)
 本プロジェクトは「ワールドクラス製造モデル」、「SPARS」と共にNSRP ASEの基幹プロジェクトであり、ISEの完成とSTEPの改良即ちESTEP(Evolution of STEP)プロジェクトの2つのサブプロジェクトから成り立っている。なお、ISEの一部は別扱いで処理することとなり、NSRP ASEは次項で述べるISPEプロジェクトを別に契約している。ISEプロジェクトはエレクトリック・ボート、ニューポートニューズ、バス・アイアン・ワークス、インガルス、アボンデール造船所が中心となりインテグラフ、IBM、Atlantic−es、Proteus、STEP Tools、M.Information Engineering、NIIIP、SAIC、KCS(Kockums Computer)、Altarum、MMA(米国舶用機器工業会)、NSWC(Naval Surface Warfare Center)、ミシガン大学、ニューオリンズ大学、ABS等が参加している。
 また、ESTEPプロジェクトでは船体構造(STEP アプリケーション・プロトコールAP216/218)、パイピング(STEP AP227)につき下記造船所(括弧内は使用 CAD環境)がソフト開発会社と組んで商業用ESTEPソフトウエアを開発している。
 
・ABS(Safe Hull)―ABS(構造)
・EB(CATIA)―STEP Tools(構造)、Atlantic(パイピング)
・クバナ・フィラデルフィア(FORAN)―SENER(構造)、SENER(パイピング)
・NASSCO(TRIBON)一Atlantic(構造)、Atlantic(パイピング)
・アボンデール(ISDP&GSCAD)―STEP Tools、Atlantic(パイピング)
 
 造船業が生産性を高め、サイクルタイムやコストを減らし、競争力を維持するためには造船所間の設計/製造に関する協力が不可欠である。各造般所は種々のCAE(Computer Aided Engineering)、CAM(Computer Aided Manufacturing)を使用しているので、造船所間のデータの交換のためには中立的フォーマットが必要である。フォーマットとして1980年代からSTEP(Standard for the Exchange of Product Model Data)が検討され、1994年にSTEP基準の一部がISO基準として承認された。造船業のためにSTEPを適用する作業も進められ2003年始めには構造、船型モールド、HVAC(Heating Ventilation and Air Conditioning)、パイピングに関する4つの適用プロトコールがISOで承認される予定である。この前段階として1996年から2002年にかけて幾つかの試験的造船プロトコールが試されている。
 
・MariSTEPプロジェクト――MARITECH第3段階プロジェクト(I−2章)――MariSTEPプロジェクトで注力されたのは詳細構造設計の分野で、STEPの不具合点がISOに報告された。MariSTEPに参加した造船所はNAVSEA及びアボンデール(ISDP)、EB(CATlA)、ニューポートニューズ(VIVID)、NASSCO(TRIBON)、インガルス(Cvaec Dimension III)であった。
・SeaSpriteプロジェクト――ヨーロッパのマリンe−ビジネス基準協会のプロジェクトで、造船所と船型試験所間の船型データの変換(AR218)、造船所と船級協会間の初期構造設計データの変換(AP218)、造船所と下請け業者間の詳細構造設計データの変換(AP218)、造船所と船主間の完成状態の構造データの変換(AP218)等がテストされた。
・MariSpriteプロジェクト――1999年秋に上記MariSTEP及びSeaSpriteにAP218を使って相互のデータ変換に成功した。
 
 以上の状況のなか、NSRP ASEはさらに建造コストを下げ、船舶の品質を向上させ、かつサイクルタイムを減らすために、より進んだISEの構築が必要と考え、本プロジェクトを発足させた。図1−10にISEの情報変換アーキテクチャーを示す。中央の太線から上がISEプロジェクト内で完成され太線から下はISPEプロジェクトに持ち越される。太線から上には部品ライブラリー標準PLIB(Parts Library Standards)ISO 13564、製品データISO l0303:227パイピング、PDM(Product Data Management)、216船型、218構造、太線から下には209解析、ISO 14659 CAM−NC、エンタープライズ資源計画ERP(Enterprise Resource Planning)ISO 15531の情報が含まれる。ISEプロジェクトチームは2000年内は上記アーキテクチャーの開発及びパイピングデータのCAD間、パイピングシミュレーションと解析システム間、サプライヤーと造船所間の情報モデルと基準の作成に注力した。2001年3月パイピングデータの造船所と海軍間成功している。パイピングの次には構造の情報モデルと基準が検討されているが開発状況は下記である。
 
・情報モデルの開発を終り船型データ及び製品データマネージメントPDMとの共働が確認された。またパイピングの情報モデルも構造情報モデルに合わせて改正された。
・プロトタイプ構造部品ライブラリーが完成し造船所間のデータ交換、サプライヤーのカタログとのリンクが確認された。
・2002年4月、プロジェクトチームはISEアーキテクチャーによりWEBべースの構造部品データベース、CAD 部品、構造設計、構造モデル、ロジスチック・サポート・データ交換デモンストレーションを実施し成功している。使用されたデータは海軍の魚雷揚収船(TWR:Torped Weapons Retriever)のデータである。
 
図I−10
(拡大画面:26KB)
 
<2> 統合鋼材プロセス環境(ISPE:Integrated Steel Processing Environment)
期間:2002年6月〜2003年1月、コスト総額:124万1,000ドル(造船所74万1,000ドル、NSRP ASE 50万ドル)
 インガルスが中心となり、他に造船所としてアボンデール、ニューポートニューズ、エレクトリック・ボート、パートナーとしてNAGIT/DES、STEP Tools、Sigmate、Aero Hydo及びNISTが参加している。本プロジェクトの目的は造船所の鋼材加工の現場(CAM−NC)にSTEPを拡大して造船所間の情報交換を可能にすることである。2002年6月16日にインガルスにおいて本プロジェクトのキックオフ・ミーティングが開催された。本プロジェクトは今のところ、第「0」段階しか認められていないが第「0」段階でISPEの要求事項を整理し、以後の段階が定義される。最終段階では造船所ごとに異なった製造ルールが明確に示される。ISPEでは下記の鋼材加工データ及び情報をデジタルでかつ中立な形で表現する。
 
・船舶の構造設計に使用される設計/CADシステム
・造船所に特有な切断及び組み立てプロセス
 
 造船所が従来通りの機械で加工し、従来通りの製造ルールを適用してもISPEによりそれらは中立的なエンタープライズ情報に置き換えられる。
 
<3> 船舶製品モデルの完成(Harvest:Finishing the Ship Product Model)
期間:2001年10月〜2002年9月、コスト総額:67万3,000ドル(造船所35万5,000ドル、NSRP ASE31万8,000ドル)
 プロジェクト推進の中心はSTEP Tools、その他エレクトリック・ボート及びProduct Data Serviceが参加している。
 ISEもISPEもSTEPが完全であればある程よい結果が期待できる。本プロジェクトはSTEPアプリケーション・プロトコールAP215(船体配置)、AP216(船型モールド・フォーム)、AP218(船体構造)を最終的に完成しISOの承認を得ることである。
 
AP-215
AP-216
AP-218
出典:NSRP/NAVSEA
 
・AP215――船体内部サブディビジョンのプロダクトデータを船主、設計者、製造者等の間で交換するための適用プロトコール。AP215は商船及び艦艇の機能設計、詳細設計及び船舶修理を対象としている。機能設計には損傷復原性、区画及び脱出、構造設計及び重量等が含まれる。
・AP216――板厚の情報を含まない船型モールドとそれに関連した静水圧性能に関する適用プロトコール。船型モールドには船体外形のみならず内部構造や上部構造も含む。商船及び艦艇に適用。
・AP218――船体の設計、製造、検査のための構造システムデータ交換のための適用プロトコール。商船及び艦艇に適用。
 
 上記各適用プロトコールは最終案が完成しISOに審議用として提出されている。これら造船STEPプロトコールの実現でプロジェクトチームは図面関連のコスト75%減、機械データ作成関連コスト35%減、機械加工速度50%増を期待し、年間4隻の船を建造する中級造船所で年間880万ドルの節約になると試算している。







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