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米国における造船関係研究開発助成制度の実施状況と成果活用等に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


I−4 プロジェクト相互間の技術的連携
 以上述べてきたNSRP ASE各プロジェクトの相互間の連携については各項目で若干触れてきたが、本章で各プロジェクトをグループ化してNSRP ASEの米国造船業の生産性向上とコストダウンに対する考え方を整理してみる。
 第1のグループはリーン製造方式に関連したリーン設計、リーン製造、リーン・エンタープライズ及びリーン製造と関連する5Sである。NSRP ASEではこれら全てを合わせてリーン造船イニシアティブと呼んでいる。リーン設計を取扱っているプロジェクトはI−3−4<1>「ワールドクラス材料基準」1件のみである。リーン製造に関してはI−3−1<1>「ワールドクラス製造モデル」とI−3−2<2>「リーン・エンタープライズ・モデル」がある。
 「リーン・エンタープライズ・モデル」はリーン製造方式の考え方をマーケットやサイズの異なる7つの造船所に適用してリーン・エンタープライズをモデル化するプロジェクトである。「ワールドクラス製造モデル」、「ワールドクラス材料基準」、「5Sプロジェクト」はリーン製造方式の要であり米国造船所をリーン化するのに是非必要なプロジェクトであるが、リーン・エンタープライズ・モデルはいささか中塗半端であり、現時点でのリーン・エンタープライズ作りは時期尚早と思われる。
 以上の他、明らかにリーン製造方式の導入を意識して実施されたプロジェクトはI−3−1<8>「超高圧ウォーター・ブラスティング」がある。非常に有効なプロジェクトであるが、対象が修理船であるため、リーン造船イニシアティブの主要な流れの中には入っていない。その他リーン製造方式と結びつけようとしたプロジェクトにI−3−1<7>「船舶コンポーネントエ場」、及びI−3−2<1>「不確定事項の工程組み込み」があるが両者とも最初から余り効果のはっきりしないプロジェクトであった。前述のようにリーン製造方式では無駄を減らすことと付加価値時間をロボット工学や自動化を導入して減らすことが基本である。無駄を減らすプロジェクトとしてはI−3−5<5>「5S」の他I−3−1<1>「ワールドクラス製造モデル」の項で述べた人間工学、安全、衛生、環境関連プロジェクトは全てこのカテゴリーの中に入る。人間工学関連としてはI−3−5<3>「人間工学ガイドライン」、安全関連としてはI−3−4<2>「構造防火」、環境関連としてはI−3−5<1>「造船所表流水処理技術」、I−3−5<2>「造船所表流水処理の実証」、I−3−5<4>「溶接時のガス暴露」がある。
 その他無駄を減らすプロジェクトとしては、I−3−1<4>「知識依存型モジュラー修理」のなかのサブプロジェクト1がある。このサブプロジェクトは修理船が入渠する前に改造区域の正しい寸法情報を得て、待ち時間や手直しの無駄を省くことを目的とするものである。船舶建造時の無駄として非常に大切なテーマは「寸法精度」である。寸法精度が悪いと手直しの原因となり、生産性が落ち、コストも上昇する。NSRP ASEのプロジェクトとしては寸法精度関連のプロジェクトは1件も契約されていないが、本報告書第II部で述べる海軍のプロジェクトやNSRP独自プロジェクトの中で実施されている。前述のようにこれらはNSRP ASEプロジェクトと同一に取扱われ、NSRP造船生産工程管理パネルで討論されている。2002年8月シアトルで行われたパネルミーティングは寸法精度がテーマで下記8つのプロジェクトの成果が報告された。
 
・精度制御マニュアルの改良
・写真製図法(II−5<6>)
・ボーイング社における機体寸法制御――招待講演
・溶接パネルの精度向上
・造船業の寸法技術ツール(II−5<10>)
・Kenworthにおけるトラック車体寸法制御――招待講演
・船舶建造用光線探知及び測距技術
 
 上記のプロジェクトのなかでリーン製造方式に直接関係するのは精度制御マニュアルの作成である。本プロジェクトはNSRP生産工程管理パネルがスポンサーとなって過去1年間作業してきたマニュアルの第2回原稿の発表があり、今後米国内、アジア、ヨーロッパの造船所の反応を入れて最終案が完成される予定となっている。このマニュアルの中には造船所作業員教育用のハードウエア、ソフトウエア、図書等の記事も含まれている。寸法精度は余り厳しくすると生産性が落ちることになり無駄の部分の見極めが大切である。リーン製造方式の中の付加価値時間を減らすプロジェクトとしてはI−3−1<3>「線状加熱」、I−3−1<5>「革新的レーザー」、I−3−1<6>「ロボット溶接用制御プログラム」がありいずれも相応の成果をあげている。
 
リーン製造方式関連プロジェクト
 
プロジェクト
NSRP ASEカテゴリー
本文中の番号
リーン造船イニシアティブ
ワールドクラス材料基準 製品設計・材料技術
I−3−4<1>
  ワールドクラス製造モデル 造船生産工程管理
I−3−1<1>
  リーン・エンタープライズ・モデル 造船生産工程管理
I−3−1<2>
  5Sの造船所への適用と訓練 施設・設備
I−3−5<5>
  超高圧ウォーターブラスティング 造船生産工程管理
I−3−1<8>
その他
船舶コンポーネント工場 造船生産工程管理
I−3−1<7>
  不確定事項の工程組み込み ビジネスプロセス技術
I−3−2<1>
無駄を減らす
人間工学ガイドライン 施設・設備
I−3−5<3>
  構造防火 製品設計・材料技術
I−3−4<2>
  造船所表流水処理技術 施設・設備
I−3−5<1>
  造船所表流水処理の実証 施設・設備
I−3−5<2>
  溶接時のガス曝露 施設・設備
I−3−5<4>
  知識依存型モジュラー修理 サブプロジェクト1「寸法精度」 造船生産工程管理
I−3−1<4>
  寸法精度制御マニュアルの改良   NSRP独自
付加価値時間を減らす
線状加熱 造船生産工程管理
I−3−1<3>
  革新的レーザー 造船生産工程管理
I−3−1<5>
  ロボット溶接用制御プログラム 造船生産工程管理
I−3−1<6>
 
 第2のグループ化はコンピューターが関係するIT関連プロジェクトである。現在IT関連として実施されているのはI−3−2<2>「SPARS」の他、I−3−3<1>「ISE」、I−3−3<2>「ISPE」、I−3−3<3>「Harvest」、I−3−4<1>「ワールドクラス材料基準」、I−3−6<1>「リソース・センター」である。リソース・センター・プロジェクトは生産の外注を実施してコストを下げるという視点が強調されていないが、この問題は別に海軍のプロジェクトとして実施されている(II−5<5>)。図I−12はNSRP ASEのITプロジェクト相互間の技術的連携を示した図である。本図は左上の「ワールドクラス材料基準」の中間製品アルバムが出発点となっている。中間製品アルバムは共通部品カタログCPC(Common Parts Catalog)及び材料識別購買システムMIDAPS(Material Identification & Procurement System)の助けを借り、SPARSと共にe−ビジネスのネット及びプロセスを完成する。技術情報あるいは造船所間の技術情報が必要な場合はISEプロジェクトが威力を発揮する。ISPEとHarvestはISEのバックアップである。
 MIDAPSプロジェクトについてはII−5章で再度紹介する、造船所が抱える問題の一つに膨大なカタログ情報の中から、実際に建造されるレベルで詳細に資材を確定し、購買し、現場に届ける一連の作業が効率よく行えるツールが無いことがある。従って建造と資材調達の情報を一体化するツールが存在すれば上記問題は解決されることになる。MIDAPSはこれを可能にするITシステムである。
 MIDAPSでは下記情報が得られる。
 
・新しい作業情報の補足
・時間ごとの資材要求
・新資材の発注
・ある資材の造船所内のトラッキング
・作業プロセス要求の補足
・全体的及び実作業レベルのスケジュール表
・製造状況のトラッキング
・潜在する資材の問題点例えば隘路、資材不足等の摘出
 
 CPCプロジェクトはジェネラルダイナミクス(BIW/EB)グループとノースロップ・グラマン(ニューポートニューズ/インガルス/アボンデール)グループが協力して1998年9月から進めているプロジェクトである。どこからも助成金を受けていないので、造船所協力の見本のように喧伝されている。CPCはオンラインでリアルタイムに部品を定義する能力を有し従来上記参加各社が使用していた部品カタログの相互間のインターフェースが可能で下記新機軸を備えている。
 
・如何なる部品についてもその特質、クラス分け等をフレキシブルに探索。
・部品が一般市場で得られるように基準化されクラス分けされている。
・部品特性の同一性と相違性を明確に示して表示。
・部品の基準化と同等部品探索を可能にする表示。
 
ジェネラル・ダイナミクス・グループは部品の同等性、部品技術記述を担当しノースロップ・グラマン・グループは部品の構成、部品とドキュメントのリンクを担当し両者の成果はリアルタイムで共有されている。
 
図I−12 ITプロジェクトの相関関係
(拡大画面:30KB)







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