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米国における造船関係研究開発助成制度の実施状況と成果活用等に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


第II部 NSRP ASE 以外の公的造船研究開発制度
 表II−1は米国全体の研究開発費用の支出元、支出目的、研究内容を示したものである。1990年では政府と産業界の支出にそれ程の差はないが、2000年には産業界の支出が67%と圧倒的に多く、政府支出の28%を遥かに上回っている。連邦政府研究開発予算の一部は産業界、大学、非営利団体、州、地方政府に助成金として支払われているので産業界の研究開発実施パーセントはさらに高くなる。ただし連邦政府が全面的に予算を支出している研究開発センター(FFRDC)のなかには産業界、大学、非営利団体に管理を任されているものがあり、それらの費用は表II−1ではそれぞれのFFRDCの管理主体の項に入っているので、連邦政府の研究開発費予算は表II−1に示される数字よりは大きくなる。「序論」で述べたように、海軍がほとんどの費用を出しているメキシコ湾岸地域海事技術センター(GCRMTC)の予算は大学の項に、National Center for Excellence in Metal Working Technology(NCEMT)の予算は非営利団体の項に入っている。
 
表II−1 米国の研究開発費(1960−2000) 出典:商務省
[特に標記のない場合、単位100万ドル(13,711は$13,711,000,000)。歴年]
歴年
財源
目的 (%)
種類
 
合計
連邦政府
産業界
大学
非営利団体
非連邦政府1
防衛関連
宇宙関連
その他
基礎研究
応用研究
開発
1960
13,711
8,915
4,516
67
123
90
53
3
44
1,286
3,065
9,360
1961
14,564
9,484
4,757
75
148
101
50
6
44
1,512
3,123
9,930
1962
15,636
10,138
5,124
84
179
112
49
7
45
1,824
3,698
10,116
1963
17,519
11,645
5,456
96
197
125
42
14
43
2,115
3,865
11,540
1964
19,103
12,764
5,888
114
200
138
37
19
43
2,396
4,201
12,506
1965
20,252
13,194
6,549
136
225
150
33
21
45
2,664
4,374
13,215
1966
22,072
14,165
7,331
165
252
160
32
20
47
2,930
4,653
14,490
1967
23,346
14,563
8,146
200
271
168
35
14
49
3,168
4,848
15,332
1968
24,666
14,964
9,008
221
290
185
35
14
52
3,376
5,137
16,154
1969
25,996
15,228
10,011
233
316
208
35
11
54
3,491
5,454
17,051
1970
26,271
14,984
10,449
259
343
237
33
10
56
3,594
5,752
16,925
1971
26,952
15,210
10,824
290
366
262
33
10
59
3,720
5,833
17,399
1972
28,740
16,039
11,715
312
393
282
33
8
59
3,850
6,147
18,743
1973
30,952
16,587
13,299
343
422
302
32
7
62
4,099
6,655
20,197
1974
33,359
17,287
14,885
393
474
320
29
7
64
4,511
7,344
21,504
1975
35,671
18,533
15,824
432
534
348
28
8
65
4,875
8,091
22,706
1976
39,435
20,292
17,702
480
592
369
27
8
66
5,373
8,976
25,085
1977
43,421
22,155
19,642
569
662
394
27
7
67
6,075
9,670
27,677
1978
48,774
24,468
22,457
679
727
443
26
6
69
6,998
10,710
31,067
1979
55,457
27,303
26,097
785
791
482
25
6
70
7,864
12,117
35,475
1980
63,273
30,035
30,929
920
871
519
24
5
71
8,825
13,745
40,703
1981
72,267
33,714
35,948
1,058
967
581
24
5
70
9,844
16,393
46,030
1982
80,848
37,233
40,692
1,207
1,095
621
26
5
68
10,863
18,286
51,698
1983
90,075
41,576
45,264
1,357
1,220
658
28
4
67
12,110
20,394
57,571
1984
102,344
46,571
52,187
1,514
1,351
721
29
3
67
13,503
22,517
66,323
1985
114,778
52,748
57,962
1,743
1,491
834
30
3
66
14,885
25,403
74,489
1986
120,337
54,711
60,991
2,019
1,647
969
32
3
65
17,287
27,251
75,799
1987
126,299
58,548
62,576
2,262
1,849
1,065
32
3
65
18,551
27,914
79,833
1988
133,930
60,180
67,977
2,527
2,081
1,165
30
3
66
19,813
29,545
84,572
1989
141,914
60,489
74,966
2,852
2,333
1,274
28
4
68
21,908
32,279
87,727
1990
152,051
61,669
83,208
3,187
2,589
1,399
25
4
70
23,069
34,974
94,008
1991
160,914
60,822
92,300
3,457
2,852
1,483
23
4
73
27,201
38,632
95,081
1992
165,358
60,923
96,229
3,568
3,113
1,525
22
4
74
27,628
37,938
99,793
1993
165,714
60,515
96,549
3,708
3,387
1,556
22
4
74
28,754
37,285
99,676
1994
169,214
60,790
99,203
3,936
3,664
1,621
20
4
76
29,578
36,613
103,023
1995
183,611
62,961
110,870
4,108
3,924
1,750
19
5
77
29,560
40,999
113,053
1996
197,330
63,392
123,412
4,430
4,238
1,858
18
4
78
32,812
43,169
121,348
1997
212,379
64,783
136,231
4,846
4,593
1,926
17
4
79
36,270
47,211
128,898
1998
226,872
66,827
147,867
5,183
5,007
1,987
16
4
81
41,294
45,702
139,875
1999
244,143
67,711
163,397
5,562
5,390
2,083
15
3
83
44,625
51,632
147,886
2000,4
264,622
69,627
181,040
5,969
5,789
2,197
14
3
83
47,903
55,041
161,679
1 Nonfederal R&D expenditures to university and college performers.
2 R&D spending by the Department of Defense, including space activities, and a portion of the Department of Energy funds.
3 For the National Aeronautics and Space Administration only.
4 Preliminary.
Source: U.S. National Science Foundation, National Patterns of R&D Resources, annual.
 
 さらに表II−1によれば米国産業界の研究開発投資はこの10年間かつてないほどの伸びを示している。産業界の研究開発費は1990年に832億800万ドルであったものが、2000年には1,810億4,000万ドルと2.16倍に伸び、連邦政府のこの間における伸び1.27倍に比べて高い伸び率を示している。研究目的としては1990年25%を占めていた軍事研究は2000年には14%と大幅に減少し、また宇宙関連も4%から3%へと減少しているが、その分民需研究が70%から83%へと増えている。
 連邦政府研究開発予算の各省庁に対する配分は、次の5つのカテゴリーの審査基準に従って配分される。各省庁に割り振られた連邦研究開発予算はさらに本省の中央研究開発管理部局で所属の研究所、研究開発サポート部局、さらに大学や産業界の研究者に対する交付助成金等に細分されて割り当てられる。
 
(1)議会の指示に基き連邦機構の内外を問わずに行われる研究開発。研究者 は1人でも多人数でも可。通常競争はないがあっても限られる。
(2)連邦政府の内外を問わず本質的にユニークな研究開発でそれを遂行し得 る人あるいはチーム研究者に無競争で与えられる。
(3)連邦機構の内外を問わないが複数の申請組織である程度競争させて決定する基金。ある程度競争させるのはユニークな技術力の保持のためである。国防総省(DOD)、NASA、国立衛生研究所(NIH)、FFRDCに割り振られる予算はこのカテゴリーのものが多い。
(4)政府機構内部の専門家が徹底的に科学的、技術的メリットを検討した後に競争により与えられる基金。対象は連邦機構の内外を問わない。
(5)政府機構外部の専門家が徹底的に科学的、技術的メリットを検討した後に競争により与えられる基金。対象は連邦玖府の内外を問わない。
 
表II−2 2001会計年度連邦政府の研究予算配分
(予算権限額、単位100万ドル)
  (1)
Research
Performed
at
Congressional
Direction
(2)
Inherently
Unique
Research
(3)
Merit-Reviewed
Research
with Limited
Competitive
Selection
(4)
Merit-Reviewed
Research with
Competitive
Selection and
Internal
Evaluation
(5)
Merit-Reviewed
Research with
Competitive
Selection and
External
Evaluation
合計
機関            
保健福祉省 159 107 2,819 19 17,355 20,459
国防総省 614 200 1,131 2,901 135 4,981
エネルギー省 139 1,016 2,338 321 749 4,563
NASA 219 171 636 1,411 1,794 4,231
米国科学財団 ・・・ ・・・ 168 234 2,655 3,057
農務省* 458 768 359 ・・・ 79 1,664
商務省 97 325 54 188 205 869
退役軍人局 1 ・・・ 3 ・・・ 685 689
内務省 51 138 375 26 4 594
環境保護庁 38 39 195 69 134 475
運輸省 31 98. ・・・344. ・・・ 473  
教育省 4 ・・・ 163     167
その他 359 111 5 85 11 571
合計 2,170 2,973 8,246 5,598 23,806 43,793
*Does not include net mandatory funding for USDA research grant programs of $130 million in FY 2001.
出典:2002会計年度予算教書
 
 表II−2によればカテゴリー(5)が全体の54%を占めているが、部門により大きな違いがある。厚生関係では85%がカテゴリー(5)であるのに対し国防では僅か3%であり、大部分が連邦機構内で無競争で実施されるカテゴリー(3)、(4)の研究が多くなっている。カテゴリー(1)は大部分政府機構内で行われる。研究項目まで議会が指示し、結果の承認を求めるケースが多いが、これは全体の5%に達する。カテゴリー(1)の例としては1990年の油濁防止法OPA90に盛り込まれた議会要求の研究事項、例えばIMOで実施したのと同じレベルのOPA90の影響調査研究がNRC(National Research Council)で実施され、また、5,000GT以上のタンカーにPL/S(Protective−Located Non−Oil Space)を組み込んでも環境の安全を増すことはならないという研究がサンフランシスコのコンサルタントHerbert Engineeringに発注され、その報告書が議会承認用に提出された。
 カテゴリー(2)は官であれ民間であれユニークな技術を持っているため独占的に開発基金を得ているカテゴリーである。政府機構内で実施される研究が多いが、造船関係で民間に出されている好例として舶用高温超伝導モーターの開発がある。超伝導モーターの開発は海軍部内でも1980年代初期から種々実施されているが2002年2月に海軍研究局(ONR)はマサチューセッツ州ウエストボローにあるユニークな技術を持つASC(American Superconductor Corporation)に800万ドルを交付して6,500hp、最高回転数230rpmの変速舶用高温超伝導モーターの開発を委託した。ONRは今までASCと4回の開発契約を結んでいるが、船舶推進用の超伝導モーターの開発を契約したのは、今回が始めてである。海軍では将来大型艦艇や大型商船に利用される20,000〜35,000hpモーターの開発を意図し、ASCに造船知識のある企業と提携するよう指導してきていた。これに基づき2000年11月に、ASCは当時のリットン・インダストリーと超伝導モーター技術を船舶に応用するための協力契約を結んだ。リットンと契約後ASCは海軍が計画している33,500hpモーターの初期設計を完成し、製造に入る前段階として6,500hp高温超伝導モーターの設計・製造を受注したものである。かくしてASCは現在まで高温超伝導に関する約250のパテントを取得し、この分野でトップランナーとなり今後ともカテゴリー(2)の開発会社として独占的に契約を得る地歩を築いている。
 カテゴリー(3)は技術のユニークさの程度はカテゴリー(2)より若干落ちるが技術開発のメリットが高く、その技術開発を遂行し得る組織も少ない技術に対し指定した組織に応募させ決定する基金である。
 カテゴリー(4)はMARITECHである。MARITECHは政府機構であるDARPAでメリットを検討した後、競争により民間会社にコスト・シェアリングにより与えられる基金である。後述の中小企業研究助成基金も最初から中小企業を対象とした、競争を排除あるいは制限した、法令で定められた開発基金であり、カテゴリー(4)と考えられる。
 NSRP ASEは政府機構からはみ出しているNSRPが主体となってメリットを検討した後、競争により民間会社にコスト・シェアリングにより助成金が交付されているので、カテゴリー(5)に属するプロジェクトである。いずれのカテゴリーにおいても民間会社が対象から外されることはない。
 その他の研究振興策としては、民間の研究開発費に対する税控除がある。現行法では民間会社がある価格を超えて研究あるいは実験に費やした費用に対して、20%の税控除が認められている。この控除法は1999年の税軽減延長法(Tax Relief Extension Act of 1999)により2004年まで延長されることとなった。2002年予算教書では研究及び実験の費用に課される税の控除を2004年以降無期限とすることを求めている。表II−3では研究及び実験の分野で税控除した場合の追加コストを2004〜11年で496億ドルと試算し、各年の予算追加額を示している。税控除を永久化した場合、民間会社はある種の研究及び実験に対し最初から資金手当てをしなくて済むので、好都合である。この額は2001年19億ドルに達している。また研究及び実験に使用した機器は比較的早く償却することが認められており、この面からも企業に有利に働いている。
 
表II−3 研究・実験税控除の恒久的延長分
(予算権限額、単位100万ドル)
  2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2002〜2011
現行 6,760 5,390 4,710 2,720 1,160 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 20,740
延長 ・・・ ・・・ 1,055 3,431 5,415 6,542 7,388 8,020 8,567 9,158 49,576
合計 6,760 5,390 5,765 6,151 6,575 6,542 7,388 8,020 8,567 9,158 70,316
出典:2002会計年度予算教書







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