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米国における造船関係研究開発助成制度の実施状況と成果活用等に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


II−2 造船及び船舶修理業に対する研究開発助成
 米国産業界の研究開発がこの10年間で大幅に伸びたことは前節で述べた通りである。産業界が実施する研究開発の大部分はプロトタイプの製造及び試験であるが、将来のために全く新機軸の製品への研究投資もこの間大幅に伸びており、米国産業界がより長期的、よりハイリスクの発見型研究に傾斜する傾向となっている(表II−1 応用研究及び基礎研究)。しかし造船及び船舶修理業の研究開発は上記の傾向から全く外れた元気のないものとなっている。図II−1は1996年から2000年の間に造船業及び船舶修理業で実施された研究開発の実績を示している。総額は1996年の1億1,031万6,000ドルから1999年には29%増しの1億4,237万3,000ドルとなっているが、2000年には16%増しの1億2,835万8,000ドルに落ち込んでいる。
 
図II−1 米国造船業及び船舶修理業の研究開発費の実績(1996−2000)
(拡大画面:25KB)
出典:米国商務省(U.S.DOC/BXA/SIES 1999 Maritime Survey)
 
 基礎研究はプロセスや製品の開発を直接の目標としていない研究で、ほとんどゼロに近いが、それでも2000年には全体の1.3%と年毎に増えている。応用研究は新素材や新システムの開発目標を持つ研究で1998年に全体の7%であったものが1999年には22%と急増している。開発とはプロトタイプの設計あるいは試験を実施して、その実現可能性を見極め、リスクを減らす研究である。造船及び船舶修理業でも本項が研究開発の中心となる。本項目の絶対値は年次でほとんど変わらないが、全体に占めるパーセントは1996年の70%から1999年には52%と低くなっている。システム/プロセス研究の項目はシステムやプロセスを系統的に見直して経済性を向上させる研究で、全体の20〜30%を占める重要な研究項目となっている。
 上記期間平均で造船及び船舶修理業の総収入の1.23%相当が研究開発に使われているが、企業出費は0.64%であり、残りは助成金である。航空機産業では研究開発費は総収入の12%、そのうち企業負担分は4%となっている。図II−1に示す研究開発費の80%は6大造船所で使われている。6大造船所の総収入に対する研究開発費の比率は1.49%で、船舶造修業平均1.23%よりは多いが、他産業の大企業と比べると極めて低率である。6大造船所の場合研究開発費のほぼ半分が連邦政府の助成金で賄われている。図II−2は6大造船所で実施された1996〜2000年の研究開発実績である。総額はほとんど変らず、最高でも1999年の1億153万9,000ドルから最低1998年9,387万4,000ドルの間に収まっている。基礎研究は6大造船所の中でも一切行われていないのが印象的である。次に開発研究が年毎に減っているのが目につく。2000年の5,058万1,000ドルは1996年の7,308万8,000ドルの69%に過ぎない。システム/プロセス研究も年次で余り変化していないが応用研究は1998〜99年で飛躍的に伸びている。1999年の2,836万1,000ドルは1998年の523万4,000ドルの実に5.4倍である。
 
図II−2 6大造船所の研究開発費の実績(1996−2000)
(拡大画面:23KB)
出典:商務省(U.S.DOC/BXA/SIES 1999 Maritime Survey)
 
 図II−3は造船及び船舶修理業全体の研究開発費の出所を示したものである。II−1図は使用実績でありII−3図は出所実績であるのでいずれの年も図II−3の出所実績の方が多くなっている。1996年の総額は1億1,251万5,000ドル、97年1億673万6,000ドル、98年1億2,368万8,000ドルで、この3年間の平均は1億1,431万3,000ドルである。この3年間の造船所出資金合計は1億7,901万8,000ドル、年平均5,967万3,000ドルであり、平均52.2%が造船所出資、他は何等かの助成金である。海軍は3年間平均で研究開発費総額の37%、海軍以外のDODが2.5%、DOD以外の連邦政府機関が7%、私企業が1%、外国企業が0.6%の助成金を出している。図II−4は6大造船所の1996〜98年の研究開発費の出所を示したものである。海軍の比率は96年43%、97年34%、98年46%、3年間平均で41%となっており、この間の造船及び船舶修理業全体の研究開発費の海軍平均比率37%より4%程度高い数字となっている。
 図II−3、図II−4の助成機関の中の「海軍を除く国防総省」とは海軍以外の国防総省機関、例えばDARPAからの助成を指している。「国防総省を除く政府」はその他の連邦政府機関と言う意味であり、州政府や地方政府はこの中には入っていない。しかしこのことは州政府や地方政府が造船や船舶修理業に全く無関心であるということを意味しない。州政府や地方政府の船舶関連助成金はほとんど環境や教育・訓練に関するものであり、図II−3や図II−4の統計に載ってこないものばかりである。「国防総省を除く政府」は、米国造船所が押し並べて政府機関との結びつきを強化したい意向を持っているので1996〜98年の3年間で1.95倍と急増している。
 
図II−3 船舶造修業の研究開発費の出所
(拡大画面:24KB)
出典:米国商務省(U.S.DOC/BXA/SIES 1999 Maritime Survey)
 
図II−4 6大造船所研究開発費の出所
(拡大画面:24KB)
出典:米国商務省(U.S.DOC/BXA/SIES 1999 Maritime Survey)







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