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米国における造船関係研究開発助成制度の実施状況と成果活用等に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


II−3 軍民転用と従来の助成プログラム
 MARITECHやNSRP ASEを除いて従来の造船助成プログラムは大きく分けて3つに大別される。第1はI−1章で述べたクリントン政権発足時に軍事技術の民生転化のメカニズムとして設けられた技術再投資プロジェクト(TRP)及び先端技術プログラム(ATP)のコスト・シェアリング・プロジェクトで、いずれも造船からの応募が可能であったが、結果的にはTRPで5件が造船関係から応募されたのみで、ATPでは造船からの応募はなかった。第2は造船関係の軍事技術の元締めである海軍が民生転化を目的としてコスト・シェアリングで進めてきたプロジェクトである。第3は前述のように1970年米国造船業及び修理船業の世界的競争力を維持するために発足した官産協力事業である造船研究開発プログラムNSRPから毎年出されてきたプロジェクトである。
 TRPは国防総省(DOD)が今までに実施してきた最大の商業投資であり1994年から97年にかけて11億9,000万ドルが政府分担分として投資され、212のプロジェクトがDARPAの所掌で実施された。TRPは軍民両用の技術開発に重点が置かれ開発対象分野は指令、指揮、コントロール、通信、コンピューター、情報、戦場センサー、戦傷処置、エレクトロニクス設計及び製造、機械システム及び材料、武器、及び生存率等である。TRPを実施するに当たり、関係各省庁、その他の連邦政府機関の協力を得るために国防技術転換委員会DTCC(Defense Technology Conversion Council)が設けられた。TRPは軍民両用の技術開発を目的とする次の7つのプログラムから構成されている。
 
・国防軍民両用重要技術パートナーシップ――DODと関係諸団体の提携関係を確立し軍民両用技術を開発する。
・軍民総合パートナーシップ――必要が生じた際に軍用転換が可能な商業技術の開発。
・地域技術組合支援プログラム――国家安全保障上重要と考えられる国内産業施設を維持するために地域別組合を創設し軍民両用技術を開発する。
・国防先端製造技術パートナーシップ――軍民両用の可能性ある先端製造技術の開発。
・製造拡充プログラム――地域及び地方自治体の実施する製造拡充プログラム支援。
・国防両用支援拡充プログラム――連邦国防費に経済的に依存している企業の軍民両用技術開発能力獲得の支援。
・製造工学教育、奨学金プログラム――既存の製造工学教育の拡充または新しい製造工学過程の新設。
 
 TRPに関係する省庁は国防総省、商務省、エネルギー省、運輸省、米国科学財団、及びNASAである。TRPは共同研究、助成金その他の形をとって交付されるが、政府の調達業務ではないので連邦購買規則FAR(Federal Acquisition Regulation)の規制は受けない。但しTRPの一部でTRPS BIRとして出されたプログラムはFARの制約を受ける(II−4章)。TRPがFARの制約を受けないことから、TRPの知的財産所有権及び技術データの権利の帰属先はフレキシブルでケース・バイ・ケースで談合により決められる。ただし一般的にはSBIRと同じく、参加した民間企業が権利を所有し、政府は国家目的に限って使用するのが通例である。権利を所有した民問企業は他社にライセンスすることが認められる。TRPの212の契約プロジェクトのうち造船業及び舶用機械工業に関係するものが5件あるが、造船及び船舶修理業関係は次の3件である。
 
<1>商船建造技術開発プロジェクト(Commercial Shipbuilding Focused Development)
1994会計年度プロジェクト、コスト総額:1,390万ドル(民間690万ドル、TRP 700万ドル)
 本プロジェクトはバス・アイアン・ワークス(BIW)にコンピューター応用設計技術、工程シミュレーション、ロボット等の最新工作技術、工程等の造船全般の最新知識を供与して、具体的にメイン州バスの本社工場改造を目的としたプロジェクトである。主契約者はBIW、その他三井造船、クバナ・マサ造船所、アメリカン・オートマー、グレート・アメリカン・ラインズが参加している。BIWは本プロジェクト実施後、1995年にジェネラル・ダイナミックスに買収された。ジェネラル・ダイナミックスはBIWの改造実施を決定し、ヨーロッパにベンチマーク調査団を派遣した。
 BIWは本プロジェクト後もMARITECHの造船所近代化プロジェクトに参加し、幾つかの改造案を作成、最終的にランドレベル移動建造施設(LLF:Land Level Transfer Facility)に改造することが決定された。LLFは2001年より稼動を開始している。LLFは3台の大型クレーンで移動台車上のブロックや機器を船台上に運んで組み上げ、組みあがった船体を船首尾方向のレール上に組み込まれた移動システムで水平移動して浮きドック上に移動しドックを沈下させて進水するものである。本浮きドックは中国で建造され、回航中事故にあい、また造船所に到着後も数々のトラブルが続いたが、現在では順調に稼動している。ジェネラルダイナミックスのBIW買収により、BIWは艦艇専門工場となったため、本プロジェクトはTRPやMARITECHの目的である商船市場進出のためには貢献していない。
 
<2>船舶修繕、補修高度技術の開発(Center for Advanced Ship Repair and Maintenance)
1994/95会計年度プロジェクト
コスト総額:240万ドル(民間120万ドル、TPR120万ドル)
 ノーフォーク造船所が中心となり地元の企業、大学、ノーフォーク経済協力局等が協力して(1)船体塗装の除去、(2)ドライドックからの雨水排出、(3)海水取水口に影響を与える海中生物の繁殖防止に関する技術の開発を実施するプロジェクトである。主契約者はノーフォーク造船所、その他ノーフォーク経済協力局、オールド・ドミニオン大学、バージニア技術革新センターが参加している。







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