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米国における造船関係研究開発助成制度の実施状況と成果活用等に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


II−5 海軍の助成プロジェクト
 米海軍が実施する研究開発の大部分は武器や戦闘システムの研究であるのは当然であるが、現在では造船業の生産性向上と造船所の近代化のための研究開発も海軍の重要な実施事項の一つとなっており、米国造船所が実施している研究開発の42%を助成し、そのうちの95%は6大造船所に割り当てられている。海軍が民間造船業に研究開発助成として出しているプログラムは、大きく分けて下記4つのプログラムに分かれているが、いずれもNSRPと相談して具体的プロジェクトが設定されておりNSRP ASEの戦略投資プラン(SIP)の目的を達成するように仕組まれている。
 
・NSRP ASEプロジェクト
 NAVSEAが全面的にスポンサーとなっている本プロジェクトの詳細は第I部で述べた通りであるが全て産業界とのコストシェアリング・プロジェクトで投資額に見合うリターンが要求され、各マイルストーンにおける成果の測定と報告が求められている。また成果については造船業界全体が利用出来る仕組みとなっている。
 
・ONR造船イニシアティブ(SI:Shipbuilding Initiative)
 本イニシアティブは海軍が1990年代始めより実施しており、艦艇の価格を生産技術、生産性の段階にまで立ち入ってライフサイクル・コストを下げることを目標とした生産技術開発(ManTech:Manufacturing Technology)プログラムを補強する意味でNSRPの推挙により創設されたコスト・シェアリング・イニシアティブである。ONR SIは各界のチーム編成を重要視し、海軍ManTechセンター(NMCOE:Navy ManTech Center of Excellence)の技術を民間造船所に移転して艦艇の建造コスト低減に協力することを目的としている。
 
・ONR中小企業研究助成プログラム(SBIR)
 中小企業が持っている革新的アイディアを艦艇建造に利用しようとするプログラムでII−4章で述べた制度に基づくものである。研究分野は武器システムを含む幅広いものであるがONRは商船分野についてもNSRPと相談してSIP目的を達成する手段となるトピックを選ぶようにしているのが最近の特徴である。但しSBIRの成果は開発した中小企業側に属することは前述の通りである。
 
・ONR中小企業技術移転研究助成プログラム(STTR)
 プログラムはII−4章で述べた制度に基づいてONRとNSRPの共同出資により運営されている。
 
ONR造船イニシアティブ:SI
<1>艦艇建造のための先進鋼材組立てプロセスの開発(Advanced Steel Fabrication Process)
期間:2009月〜2002年5月
コスト総額:137万ドル(造船所81万ドル、ONR ManTech 56万ドル)
 世界中のワールドクラスの商船造船所では大量の鋼材を効率よく処理するための革新的組み立てプロセスが開発されてきた。一方米国造船所が主とする艦艇の建造では少量の高価値鋼材を効率よく処理する技術の開発が必要である。本プロジェクトはエレクトリック・ボート(EB)が中心となり、製造保全技術研究所(i MAST:Institute for Manufacturing and
 Sustainment Technologies)、GCMTCが参加している。EBは本プロジェクトによりQuonset Point組立工場の改造を約束し、現在までの成果として下記を報告している。
 
・組立工場の新鋼板及び型鋼プロセス装置のシミュレーションが完成し幾通りものシミュレーションが可能となった。
・シミュレーションを使って毎日の最適運転計画及び長期の生産能力計画が可能となった。
・コンポーネント部材を親部材に組み込むプロセス・シミュレーションが完成された。例えば組立て時の相互干渉テストが可能となり、組立て順序の映像を見られるようになった。
 
<2>船体構造のハイブリッド溶接(Hybrid Welding of Ship Structures)
期間:2000年9月〜2002年3月、コスト総額:53万6,000ドル(造船所10万ドル、ONR ManTech 43万6,000ドル)
 
出典:NSRP/NAVSEA
 
 艦艇の船体構造の組立てにハイブリッド(レーザー及びアーク同時)溶接を応用することを目的としたプロジェクト。レーザーの出力が少なくて済むので市販の機器の使用により、既存の溶接システムの中に組み込みが可能である。またこの技術により溶接ビードの形状コントロールが正確となり、継手部の疲労強度性能が向上する利点がある。海軍継手センター(Naval Joining Center)、i Mast、ニューポートニューズ、アボンデール、インガルス、エレクトリック・ボート、マイヤーベルフト造船所、キャタピラー、エディソン溶接研究所、NSWCCD、アーヘン大学、ベンダー、NASSCO、アトランティック・マリンが参加している。本プロジェクトで報告されている成果は下記である。
 
・GMAW(Gas Metal Ark Welding)と組み合わせた2種(Nd:YAGハイブリッド・レーザー、C02ハイブリッド・レーザー)のハイブリッド溶接機が開発された。
・板厚1/4インチ、1/2インチの高張力鋼DH−36、HSLA−65に対するハイブリッド溶接手順が作成された。
 
<3>共働フィル溶接(Synergic Fill Welding)
期間:2001年6月〜2002年5月
コスト総額:67万1,000ドル(造船所8万1,000ドル、ONR ManTech 59万ドル)
 本プロジェクトは造船工程の中で最も生産性の向上を阻害している小組立から船台上のブロック結合に至る溶接部の溶接作業をレーザー・シーム・センサーを備え共働フィル・アルゴリズムで動く自動溶接機を開発して作業のスピード・アップを計ろうとするもので、海軍継手センター、Servo Robot、Bug−0、NASSCO、バス・アイアン・ワークス、アラバマ造船所、アボンデール、ニューポートニューズが参加している。
 継手部のギャップ間隔は常に変化している。本プロジェクトで共働(Synergic Fill)と称しているプロセスはワイヤーの送りスピード(WFS:Wire Feed Speed)と溶接機の移動スピード(TS:Travel Speed)をパラメーターとして溶接ビード量を自動的に変えることを基本概念としている。本プロジェクトにより共働フィル自動溶接機(LCSGF:Low−Cost Synergic Fill Welding System)が完成されNASSCOでデモンストレーションされた。現在LCSGFの商業化が検討されている。
 
(拡大画面:32KB)
出典:NSFP/NAVSEA
 
<4>塗装に対するフラッシュ錆の影響(Flush−Rust Impact on Coating)
期間:2001年3月〜2003年2月
コスト総額:53万5,000ドル(産業界6万ドル、0NR ManTech 47万5,000ドル)
 現在海軍の仕様書は鋼材の表面処理の程度を「ホワイトメタル」あるいは「準ホワイトメタル」を要求している。各造船所はこの規格を守るため小面積を表面処理してフラッシュ錆が出ないうちに塗装するため、大面積を同時に塗装するスケール・メリットを得られないでいる。本プロジェクトはフラッシュ錆に関する現行基準を見直し、スケール・メリットによる生産性向上への道を計ろうとするもので、NCEMT、バス・アイアン・ワークス、iMAST、NSWCCD、アトランティック・マリン、Sherwin Williams、Ameron、Elecometerが参加している。本プロジェクトチームは現在まで代表的造船所のフラッシュ錆の状況、検査方法、それらにかかるコスト、実際の塗装手順等を調査しフラッシュ錆の新検査方案の作成を展開中である。







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