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2002年度欧州造船政策動向調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


C.3.4 域内企業の船価
Table 5 Sales prices (1997=100)
1997 1998 1999 Jan-Nov.2000
Bulk carriers 100
Container
ships
100 109 88 95
Oil tankers 100 78 66
Product and
chemical
carriers
100 119 128
Passenger and
RoRo ferries
100 104 105 120
Other non-
cargo vessels
100 50 64 79
Total 100 105 104 104
Source: Questionnaire replies
 
 調査対象期間中の平均船価はやや安定しているかもしれないが、コンテナ船の船価は1997年と2000年1月から11月期との比較で約5%低下している。1998年と2000年1月から11月期のこの船種の減少は特に注目すべきである。即ち12%の減少である。更に、域内産業は、ある年は、ある船種に関して全く売ることができなかった。例えば、バルクキャリアに関しては1998年から2000年1月から11月期の間、オイルタンカーとプロダクト/ケミカルタンカーは1999年には実績がない。その結果として、これらの船種に関しては有効なデータが得られないため適切な船価傾向を見ることができない。旅客船とRoRoフェリーの船かは僅かに増加し、その他非貨物船の船価は1998年に急落したがその後再び上昇している。
 
 収益を算定するには2つのシナリオが考えられる。第1に、収益を、運営補助金補除いた収入(船価)に応じて決める方式、第2に、運営補助金を収入に加算されて決める方式である。売船に関しては、これらの収益の額は、それぞれの期間内の契約に関係している。それゆえ、船舶の注文予約の段階で、まだ引き渡しが済んでいない場合は、その時点の収益の推定値が盛り込まれている。収益は、売船価格(運営補助金を含む又は含まず)のパーセンテージで損益として表現される。収益は秘密事項であるため、ここでは全体的な収益の傾向のみを示す。
 
補助金無しの収益
 
Profitability trend
 全体的な収益(補助金を含まず)は、調査対象期間を通してマイナスのままであった。1997年と1998年の間に収益は下落し、1998年から1999年の間に回復したが、それは1997年のレベルを下回るものであった。コンテナ船では、1997年から1999年の間に収益の状態は明らかに悪化した。他のタイプの船(オイルタンカー、プロダクト/ケミカルタンカー、旅客船及びRoRoフェリー)では、1998年に悪化した。1999年には、その他非貨物船で収益が悪化した。
 
補助金付きの収益
 セクター毎の収益の伸展は、運営補助金が収入に含まれていることによる影響であるかは明らかになっていない。
 
Table 7 Employment (1997=100)
1997 1998 1999 2000
Number of employees 100 96 93 93
Source: Questionnaire replies
 
 1997年から2000年の間に域内産業の直接雇用61は約7%減少した。
 
Table 8 Investment (1997=100)
1997 1998 1999 2000
Investment 100 87 57 76
Source: Questionnaire replies
 
 商船に関する投資は、1997年から2000年の間に24%減少した。これらの投資は、建造能力の増加には関係なく、むしろ、鉄の切断・溶接機などの技術機器の近代化に対する投資、修繕と同様に新しい環境規制(ペインティング・ホール)による投資に関係するものである。
 
 調査対象期間中、韓国の造船所が建造する船の種類は、貨物船のようなあまり高度に洗練されていない船種から旅客船のような高度に専門化した船種にシフトした。しかしながら、韓国の造船所は調査対象期間中にクルーズ船を全く建造しなかった。この分野はまさに域内産業が歴史的に力強い位置を保持してきたところである。クルーズ船建造の基盤は欧州に存在することから、(供給者や下請け業者の大半は欧州に位置している)、将来、韓国の造船所が大きなスケールで、かつ、安価なクルーズ船を建造することはないだろう。このため、この分野の市場では損害を被る恐れがないと結論づけることができる。結果として、この種の船は損害解析からは除外してきた。
 
 韓国の造船所は、その殆どが調査に協力的であったにもかかわらず、調査対象期間中、コミッション・サービス・データに売船価格を供給しなかった。その結果、補助を受けた韓国の造船所が域内産業の船価を引き下げたかどうかの調査は活用できる最善の事実を基に行われなければならなかった。すなわち、調査は、あらかじめコミッションによって集められた韓国の船価の主な情報と理事会宛ての委員会による世界の造船事情報告書を関連づけることにより行われた。62これらの価格は域内産業から提供された価格と比較された。
 
 できる限り公正な価格比較をおこなうため、比較はよりシンプルなタイプの船によって行われた。しかし、船価データが活用できるものは非常に限られた数のタイプしか見受けられなかった。補助を受けた韓国の造船所が売船した2隻のRoPaxフェリー、12隻のコンテナ船、3隻のLNG船の売船価格を基に、域内産業により販売された船と型式及びサイズが比較可能な船の船価をユーロに換算して比較したところ、10から31%の範囲で引き下げが認められた。
 
 含まれている実際の量と船主に課される財政的負担(各船とも数百万ドルのコスト)を考慮すれば、このような船価の引き下げは、第6条3(c)項の規定上重大である。実際、全てのファクターで5%〜10%の引き下げ範囲にあり、これは受注を保証するには十分であろう。したがって、上述のとおり確立された、船価の三分の一に至るまで切り下げたことは、重大かつ被害の大きいものである。
 
韓国通貨の下落
 いくつかのシップブローカーは、調査対象期間中に韓国がとった価格政策の一つの大きな理由は、1997年の韓国ウォン(KRW)の下落であったと提言している。以下のグラフは、調査対象期間中のKRWの対ユーロ及びドルの推移を表している。
 
Development of the KRW
 KRWは、特に1997年10月から1998年1月にかけて、対ドル及びユーロで大きく下落している。新造船のコストの大部分はKRW建てであったため、ドルに換算された船価は韓国の造船所にとっては有利であった。しかしながら、1998年の間は通貨危機に陥った直後のため、韓国造船所はこの状況からは恩恵を受けられなかったし、また、国内投資機関からの船舶金融が利用できなかったため、マーケットシェアは減少した。KRWはその後、本調査を終了する時期に当たる2000年11月に回復したが、1997年1月以来、対ドルでは36%下落した。しかしながら、調査対象期間中、対ドルではユーロもまた下落したため、1997年1月から2000年11月までの間のKRWのユーロに対する下落率は4%のみであった。
 欧州の造船所と比較して、韓国の造船所には、1998年は短期間のアドバンテージがあったが、調査対象期間の残りの期間でそのアドバンテージはかなり減少し、調査対象期間の終わりの頃には殆どアドバンテージは無くなっていた。更に、急激な通貨下落の影響で中期的なインフレをおこし、その結果、KRWで支払われる資金と資材コストの上昇をもたらした。
 
 通貨の下落は短期的には韓国の造船所にアドバンテージを与えたかも知れないが、それが調査対象期間中の、韓国の侵略的な価格政策の原因とは考えられず、また、その後の域内造船所がこうむった損害の原因でもかったと結論づけられる。
 
韓国の造船所の競争力強化
 いくつかのシップブローカーは、韓国の造船所は安い労働力と材料コスト、それとエコノミー・スケールにより安価な受注提案が可能であったと提唱している。IP期間中に起こったように、相当の損失がもたらされた63であろうレベルの価格を長期間にわたって維持した行為は、たとえ建造コストが安価であったとしても説明できず、補助金の存在無しには説明することはできない。エコノミー・スケールについても、韓国の造船所は、建造能力の急速な発展と投資によって得られたものであり、これも補助金の存在無しには起こり得なかったものである。
 シップブローカーは、韓国の造船所は、例えば信頼性、アフタサービス、厳密な引き渡し期日、融通性などに関して無価格基準を提案することにより契約を得て来たと主張している。しかしながら、これによっても韓国の造船所によって遂行された積極的な価格政策を説明することはできない。対照的に、このような無価格基準のアドバンテージは、域内造船所の価格を正当化するものである。調査では、船価は船主にとって建造発注をどこに出すかを決定する最も重要な基準であると示されている。

61 クルーズ船を除いた造船関係事業者のうち、域内21の協同製造事業者の直接雇用
62 コミッションからカウンシルに宛てられた世界の造船事情参照。
 (COM(1999)474 final of 3.10.1999,COM(2000)263 final of 03.05.2000,COM(2000)730 final of 16,11,2000),COM(2001)final of May 2001.
63 idem







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