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平成15年度 通信講習用 船舶電気装備技術講座(電気機器編、初級)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導等
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


はしがき
 
 船舶用電気機器は船舶の航行条件(振動,衝撃,傾斜等),気象,海象状況及び装備場所の条件等陸用機器と異なる種々の条件を満足するものでなければならない。
 本書は電気機器に対する一般的要求事項を始めとして,搭載機器全般にわたり記述しているので各機器に付いてなお詳細に知りたい方は,それぞれの専門書を引用するようお願いしたい。
 電気機器は日進月歩技術的進歩が著しく常に漸新な部品や製品を開発されている現状であるので本書を熟読してそれらを学ぶうえの基礎としてもらいたい。なお,本書は競艇の交付金による日本財団の助成金を受けて作成したものである。
 
1. 電気機器に対する一般的要求事項
 
1・1 一般事項
 船用電気機器と陸上用電気機器との相違を一言に表現することはむずかしいが船舶では航行中の運転条件,気象条件の影響,機器の装備される場所の周囲条件などが陸上と異なるので船用電気機器としては特に指定のある場合を除き次に述べるような一般的注意事項による。
1・1・1 大きさ
(1)外形寸法は使用目的,性能を損わない範囲でできるだけ小型とすること。
(2)発電機,配電盤など特別の機器を除き普通の機器はハッチから出し入れできる寸法とする。特に比較的補修の機会の多い部品は小形とすること。
1・1・2 重量(質量)
(1)機器の重量はその性能,強度及び信頼性を損なわない範囲でできるだけ軽くすること。
(2)50〔kg〕を超える機器は,つり上げに必要な金具を備えることが望ましい。
(例:発電機,電動機,配電盤,抵抗器など)
 なお,外形構造が搬入,搬出に不便なものは50〔kg〕以下でもつり上げ金具を備えることが望ましい。
(3)携帯あるいは,移動して使用する機器は,できるだけ50〔kg〕以下に重量を制限すること。
1・1・3 温度
(1)基準周囲温度の限度(以下基準温度という。)は次による。
 NK鋼船規則及びIECの基準周囲温度の限度は,下記比較表のとおりである。しかし,特に高圧ボイラーの上部付近の高温場所あるいは冷凍室の低温場所などでは考慮を払う必要がある。
 
基準周囲温度比較表
NK鋼鉛規則 IEC
 すべての電気設備に適用する周囲温度の標準は次の各項によらなければならない。
(1)海水温度:32℃
(2)閉囲区域内:0〜45℃
(3)暴露甲板上:-25〜45℃
周囲の空気及び冷却水の温度
(a)周囲の空気又は冷却水の温度は次による。
 (1)供給一次冷却水:30℃
 (2)機械室の回転機の周囲温度:50℃
 (3)ケーブルの周囲温度:45℃
 (4)認定済防爆形機器の周囲温度:50℃
 (5)制御・計装機器の周囲温度:一般0〜55℃
                     暴露甲板-25〜55℃
 
(2)温度上昇の限度
 機器は定格状態で動作するとき規定の温度上昇値を超えないこと。
1・1・4 湿度
 機器は1・1・3に示す基準温度における相対湿度95〔%〕においても十分な絶縁抵抗をもち,使用上支障がないように構造,材料及び絶縁処理に考慮を払うこと。
1・1・5 ほこり
 機器はほこり,油気などが浸入,たい積して沿面放電,絶縁不良などを生じないようにし,なるべく通風口のない構造とすることが望ましい。
1・1・6 塩水飛まつ及び酸霧
(1)機器は塩水飛まつにより腐食や絶縁不良を生じないように材料,塗装に十分考慮を払うこと。
(2)電池室に装備する機器は酸霧に対し考慮を払うこと。
1・1・7 かび
 機器の使用材料,絶縁処理及び塗装はかびの発生により絶縁不良や腐食を生じないよう考慮を払うこと。
1・1・8 金属の腐食
 機器の金属部は腐食の発生により支障のないよう十分な考慮を払うこと。特にアルミニウムのような軽金属と接する部分には電食防止につき考慮を払うこと。
1・1・9 動揺及び傾斜
 機器は船体に取付けた状態のもとで船体が次に示す角度で動揺又は傾斜しても各部に異状を生じたり誤動作をしないこと。
 
傾斜及び動揺に対する性能要件
  設備の種類 縦傾斜 縦揺れ 横傾斜 横揺れ
船舶設備規程 一般電気機器 10° - 15° 22.5°
非常電源等 10° - 22.5° 22.5°
NK鋼船規則 一般電気機器 7.5° 15° 22.5°
非常電源等 10° 10° 22.5° 22.5°
(注1) 非常電源等には,船舶設備規程では臨時の非常電源を含み,NK鋼船規則では各種開閉装置(遮断器等)並びに電気及び電子器具を含む。
(注2) 左右方向と前後方向の傾斜は同時に起ることを考慮すること。
(注3) 液化ガスばら積船及び危険化学品ばら積船にあっては,船舶が浸水した状態で左右方向30°まで使用可能なように非常電力を供給できるものであること。
 
1・1・10 振動及び衝撃
 機器は複振幅1〔mm〕,周波数16.7〔Hz〕に相当する加速度(0.558g)で周波数5〜33〔Hz〕の船体の振動に耐えること。振動は船内装備の機械の回転又は往復運動,プロペラ羽根の回転角位置変化によるトルク変動及び波浪などにより発生する。また機器は船体の波浪,接岸などにより生ずる衝撃に耐えねばならない。ただし,船舶の自動化に関する自動制御及び自動監視用の装置に対しては,別に定める処による。(JIS F 0807 船用自動化機器環境検査通則参照)
1・1・11 電圧及び周波数の変動
 電気機器は,特殊なものを除き,指定する入力電圧及び周波数の定常的変動に対しても,支障なく動作しなければならない。
1・1・12 外部磁界の影響
 機器のうち外部磁界の変動により動作や指度等に狂いを生ずるものは適当な磁気しゃへいを施した構造とすること。
1・1・13 誘導障害
 機器は動作状態において無線通信,船内通信及び自動化機器に誘導障害を生じないよう設計すること。
1・1・14 風圧
 暴露部に装備する機器は風圧に対して十分な強度をもつこと。
 〔参考〕平均風速30〔m/S〕,瞬間風速45〔m/S〕の風圧で実用上支障なく動作し,また,平均風速40〔m/S〕,瞬間風速60〔m/S〕の風圧で破壊しないこと。
1・1・15 操作,手入及び調整
 機器は操作,取扱及び監視が容易であり,かつ,最少限の手入,調整により連続使用できるように設計しなければならない。
 手入,調整を要する部分は外部から容易に接近できるようにし,また,手入,調整のための特殊な用具はなるべく必要としないよう考慮すること。
1・1・16 しゃ光
 船橋に装備する機器の中で,その照明が操船その他の作業に不都合を及ぼす恐れのあるものは機械的または電気的の光度加減器などをつけ必要に応じ減光又は完全なしゃ光ができる構造とすること。
1・1・17 防そ
 機器は内部にねずみが侵入しないよう通風口など外部に通じる開口は防そ構造とすること。
1・1・18 耐圧強度
 機器のうちで水圧,油圧又は気圧を受ける部分は指定圧力を加えても異状を生じない強度を持つこと。
 〔参考〕例えば,JEM(交流発電機)の水冷空気冷却器の水圧試験は6kgf/cm2,15分間行うことになっている。
1・1・19 互換性
 同一用途の機器はなるべく種類を限定して,多種多様にわたるのを避け,同一機種の機器は製造年月又は製造業者が異っても相互に互換性をもつことが望ましい。







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