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平成15年度 通信講習用 船舶電気装備技術講座(電気機器編、初級)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導等
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


2・9 電熱装置
 船で使われる電熱装置には,次のものがある。
(1)機関室用加熱器
 電気式加熱器は,殆んどシーズヒータが使われ,直接加熱液体内に投入する直接加熱方式である。これらのおもな用途は,潤滑油,燃料油の加熱用等である。一般的な使用上の注意事項としては,ヒータ表面は必ず液に接するようにし空焚を防止すべきである。また,シーズヒータは,絶縁距離が少なくて,熱サイクルによる呼吸作用で吸湿し,絶縁低下を起こしやすいのでこの対策を十分に施すべきである。加熱器に使う温度調節方式は普通二位式の制御方式である,即ち,温度が上がれば電源が“断”となり,温度が下がれば“入”とする方法である。
(2)電気レンジ
 調理器具のおもなものには,レンジがあり,オイルレンジ又は電気レンジが使われるが,電気レンジはオイルレンジと比べて,利点が多い。最近では電子レンジも採用される。
(3)電気暖房器
 電気暖房器は,操舵室,各居室などの暖房に使われ,大容量のものは少なく,普通1KW〜3KW程度であって,パイプヒータにフイン(放熱板)を巻きつけたフインヒータがよく使われる。
(4)その他の電熱装置
 電気フライヤー,電気コーヒポット,湯沸器,ホットプレート,保温器などがある。
 
 船内照明装置には,次のものがある。
(1)船の安全航行と乗組員旅客の安全確保に必要な照明で,船灯試験規程で規定された航海灯,信号灯,その他ボートデッキランプ等。
(2)船内の作業場,即ち,操舵室,機関室などの照明,荷役照明など。
(3)居住区域の照明で,装飾的な要素が含まれる。
(4)危険場所(引火爆発のおそれがある場所)の照明,危険度に応じた防爆構造のもの。
 照明装置の光源は白熱電球が広く使われ,また,居住区域,機関室等では蛍光放電灯が使われる。
(1)白熱電球
 白熱電球は,現在は廃止されたJISF8407-76(船用電球)で規格化されていたものが,まだ一般的に使われ,耐振性に富む。これらの口金はねじ込み口金(エジソンベース)が一般に使われ,一部に差込み口金(バヨネットベース又はスワンベース)や定焦点形口金が採用される。白熱電球の使用に際しては白熱電球(タングステンフィラメント)の電流が過渡的に電球の定格電流の13〜16倍に達するから,スイッチなどの選定には十分な考慮を払うべきである。
(2)蛍光放電灯
 蛍光放電灯は白熱電球に比べて消費電力の割合に光束が非常に大きく,寿命が数倍も長い。しかし,管電圧波形が矩形波に近いために,高次の高調波を含み,これが電波として放射されるか又は電流として伝播して無線設備に対して妨害となることがある。蛍光放電灯から直接放射されて生ずる電界強度は距離2mで実用に差しつかえない程度になるが,配電線路での妨害電圧の防止には適当なろ波器を使えばよい。蛍光放電灯の一般的な点灯回路は図2.132,図2.133に示すとおりであるが,グロースタータ式及びラピッドスタータ式は天井灯,壁付灯などに,また,マニュアルスタータ式は一般に押ボタンスイッチで点滅するので押ボタン式ともいわれ,卓上灯や寝台灯に使われる。ラピッドスタート式の蛍光灯はグロースタータ式と同じく予熱始動形のものであるが,予熱始動時間がグロースタータ式のものより短く,1〜2秒の始動時間で点灯する。始動電圧はグロースタータ式より幾分高い程度で,かつ,グローランプを必要としないで,安定器がグロースタータ式のものより多少大形であるが点灯動作がすぐれているので広く使用される傾向にある。図2.132(c)はラピッドスタート式蛍光ランプの点灯回路の基本結線例を示す。安定器にはフィラメント加熱巻線があり,灯具又はランプ自体に始動補助導体が設けてある。電源に接続すると,ランプ両端に安定器の二次電圧が印加され同時にフィラメントも加熱される。電極から熱電子放出が起ると,始動補助導体(近接導体ともいう。)とこれを接続していない側の電極との間に微放電が始まり,やがてランプ全体に広がり,次いで完全な放電に移行する。このような始動補助電極は始動を容易にし速やめる働きをするが,実際のランプでは管内面に透明導電被膜を付けたり,又は管外面に導電条を付けて,始動補助導体を自蔵したものが多く使用されている。
 
図2.132 蛍光放電灯ランプ
 
図2.133 電波障害防止回路の一例
 
 図2.132(d)はフリツカレス形蛍光ランプの結線例を示す。図中のコンデンサCは2灯中の1灯の管電流を他方の電流より位相を進ませるためのもので,これにより両ランプの光のちらつきを互いに打ち消す効果が得られる。
(3)水銀ランプ
 水銀蒸気圧102mmHg以上の高圧水銀中の放電は,可視部の効率が高く,この発光を利用した光源を一般に水銀ランプといい,点灯中の管内水銀蒸気圧によって次のように大別される。
(a)高圧水銀ランプ
 点灯中の水銀蒸気圧が1気圧程度のもので,一般照明用(JISC7604-99高圧水銀ランプ)とする。
(b)超高圧水銀ランプ
 点灯中の水銀蒸気圧が10気圧以上の程度のもので,高輝度光源として探照灯などに使う。
 水銀ランプは,一般に負性抵抗をもち,安定な放電を持続するためには電流制限用安定器を必要とする。直流点灯の場合は抵抗,交流点灯の場合はおもにリアクタンスで構成される。
 船用照明器具は使用金属が塩害に対して,十分な耐食性のある材料か,耐食処理した材料が使われ,取付け,結線作業が容易な構造であって,一般に手のふれやすい部分の温度が60℃以下,取付部で90℃以下,接続端子部で75℃以下とされている。また,グローブと発熱電球との距離は,出来る限り表2.3に示す値とすべきである。
 
表2.3 グローブと白熱電球との距離
電球の大きさ(w) 距離(mm)
10以下 5以上
10をこえ100以下 7以上
100をこえ200以下 10以上
200をこえるもの 20以上
 
 船で引火,爆発のおそれがある場所,すなわち,危険場所内にやむを得ず取付ける照明器具は,その危険区域に適応した防爆構造のものを用いなければならない。
 発熱電球,シールドビーム形電球又は高圧水銀ランプはカーゴランプ,プロゼクタ,ボートデッキランプに使われる。高圧水銀灯のランプ回路は,高圧水銀灯安定器を使い安定器にあるコンデンサは回路が遮断されてから1分以内にコンデンサの端子電圧が50V以下になるような放電装置を必要とする。
 探照灯は,コンパス甲板等に装備して海面,陸岸,甲板上などを照射し,浮遊物の発見,接岸ブイ係留,漁撈中の集魚灯の代用,漁撈作業などに使う。形式には種々あるが,反射鏡の有効直径で区分し,12cm位から60cm位まである。このほか特殊なものにスエズ運河探照灯等がある。
 船の照明には主電源から直接又は変圧器をへて給電される一般照明電灯のほか,予備発電機や蓄電池電源による予備灯,非常発電機や蓄電池電源による非常灯等がある。非常灯については船舶設備規程によって次のように規定されている。
第122条の5(非常標識)
1. 外洋航行船(旅客船に限る。),内航ロールオン・ロールオフ旅客船及び係留船の脱出経路(暴露部に設けるものを除く。)及び当該脱出経路に設ける消防設備を格納する場所には,床面からの高さが0.3メートル以下の位置に非常標識を備え付けなければならない。
2. 前項の規定により備え付ける非常標識は,次に掲げる要件に適合する発光体又は標識灯でなければならない。
(1)管海官庁が適当と認める光度を有するものであること。
(2)設置する場所に応じ,脱出の経路,格納されている消防設備の種類その他の表示事項が容易に識別できるものであること。
(3)電気式のものにあっては,非常電源から給電するものであり,他の非常標識の損傷によりその機能が損なわないための措置が講じられたものであること。
第122条の6(非常照明装置)
1. 外洋航行船,内航ロールオン・ロールオフ旅客船及び係留船の次に掲げる場所には,安全上十分な非常照明装置を設けなければならない。
(1)乗艇場所及び召集場所
(2)廊下,階段,はしご及び出入口
(3)機関区域
(4)制御場所(船舶防火構造規則第2条第22号の制御場所をいう。以下同じ。)機関制御室及び主発電設備の制御室
(5)その他管海官庁が必要と認める場所
2. 前項第2号に掲げる場所に設ける非常照明装置は,乗船者が救命艇及び救命いかだの積付場所及び進水場所に近づくことを妨げないものでなければならない。
3. 第1項の非常照明装置は,主電源,これと関連する変圧器,主配電盤又は主照明用配電盤を設けた場所の火災その他の災害によりその使用を損われないものでなければならない。
4. 第1項の非常照明装置は,非常電源から給電することができるのでなければならない。この場合において,国際航海に従事する旅客船にあっては,同項第一号に規定する場所に設ける当該非常照明装置は,主電源からも給電することができるものでなければならない。
 船灯とは,海上衝突予防法及び海上交通安全法による船に掲揚される灯器をいい,航海中に掲げるマスト灯,舷灯(左舷紅,右舷緑),船尾灯,停泊中に掲げるものには白燈,運転不能の船が使う紅灯,漁撈中の船が漁業灯等がある。船灯は,船の運行上きわめて重要なものであり,夜間は瞬時も停電を許されない。したがって,電球のフィラメント断線などを考慮して,二重式船灯を装備することが近海以上の航行区域の船に使うことが義務づけられている。船灯用電球はかご形の縦線でタングステンフィラメントをもつ横方向に多くの光束を出す耐振形の真空電球が要求される。
 他船又は陸上施設等に自船の意志を光学的方法で伝達するのが信号灯であり,これには昼間信号灯がある。また船の状況を示すものにスエズ運河信号灯,推進器に小型船が接近しないように設けるプロペラ信号灯(紅灯),球状船首をもつ船の船首に小型船が衝突しないように設ける球状船首注意灯等がある。







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