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平成15年度 通信講習用 船舶電気装備技術講座(電気機器編、初級)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導等
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


2・13・17 航海用レーダー(Marine Radar)
 航海用レーダーは,パルスのマイクロ波を指向性空中線から発射し,その電波が物標に当り反射してくるまでの時間から物標までの距離を,また指向性空中線の方位から物標の方位を測定表示する装置である。
 物標は,平面位置表示器(PPI:Plan Position Indicator)に表示され,表示面の有功直径は7インチ(150mm以上)から10インチ(180mm以上),12インチ(250mm以上),16インチ(340mm以上)の種類がある。
 物標の最大探知距離は,24〜48海里のものが普通で,120海里まで有効なものもある。
 PPI表示には,アナログ式とデジタル式(ラスタースキャン)のブラウン管表示方式があるが,現在は多くの利点を有するデジタル式が主流になっている。
 ラスタースキャン表示方式は,PPI走査で得られたレーダー映像の極座標位置(距離と方位)を直交座標位置(X,Y)に変換しブラウン管に表示するものである。このため,テレビのように高輝度表示のため,明るい場所で同時に複数の人がその映像を見ることができることが特徴である。
 表示方式は,真方位方式(true motion:レーダーの映像面に自船の動きをそのまま表示する。)と相対方位方式(relative motion:レーダーの映像面に自船を定点として,周囲の他船や海岸等との相対位置を表示する。)がある。
 使用される周波数帯は,9GHz帯(3cm波長:Xバンド)と3GHz帯(10cm波長:Sバンド)が使用される。9GHz帯レーダーの特徴は,晴天時における最大探知距離及び方位分解能などの性能を総合的に満足させることができるが,悪天候時の雨滴や海面反射の影響を受け易い欠点がある。3GHz帯レーダーの特徴は,荒天候時の海面反射の影響が少なく,降雨における電波の減衰が少ないので悪天候時に有効であるという利点がある。
 従来は光学プロッターを使用して,レーダ表示器上で他船の動きをプロッティングしていたが,現在では電子プロッターの機能がレーダー画面上の映像を一定時間間隔でマークすると,その物標の動向をベクトルまたは数値データで表示する電子プロッティング機能が航海用レーダーに組込まれている。また,電子プロッティング装置として,別途,航海用レーダーに追加装備することができる。
 主要機能は,手動補足,自動10目標追尾,ベクトル表示,データ表示,危険船警報ができる装置であり,航海用レーダーに追加装備することができる。因みに,自動衝突予防援助装置(ARPA)には,この機能が備えられている。
 レーダーによる衝突予防は,他船などの物標の位置をプロッティングすることにより,その将来位置を予測し,危険かどうかを判定している。これらの作業をコンピュータで自動処理するのが,自動衝突予防援助装置(ARPA)である。
 ARPAの機能は,次のとおりである。
(1)レーダーで得られた物標の位置データの信号はデータ処理機で処理され,自船からの方位と距離の信号としてコンピュータに転送される。
(2)一定時間間隔で検出される物標の位置データを,前回検出された物標の位置データと比較し,同一物標であるか否かを判定し,同一であればその位置データの変化量を計算するために,同一物標ごとにデータをファイルする。
(3)同一物標のデータファイルから,目標の速度,針路を算出する。レーダー表示面上に物標の動きをベクトル表示(真・相対ベクトルの切替え可能)する。
(4)物標の速度,針路から自船に最も近づく点(CPA:Closed point of Approach)とそれに至るまでの時間(TCPA:Time to CPA)を計算する。
(5)あらかじめ自船の状況に応じて設定した最小CPA及び最小TCPAと比較して衝突危険の有無を判定する。
(6)表示面上に,どの物標が危険であるかを示し,衝突の危険がある場合は可視・可聴警報を発し,操船者に注意を促す。
(7)また,自船の針路と速度等の信号をジャイロコンパス,船速距離計等から入力し,内臓のコンピュータで処理して衝突回避に必要な情報を得ることができる。
(1)電子海図表示・情報システム(ECDIS:Electronic Chart Display and Information System)
 電子海図表示・情報システム(ECDIS)は,航海用センサーにより得られる船位情報と,航海用電子海図から選定された情報を表示することができる。この表示画面上には,航海士により入力される航路計画と航行監視,必要に応じ付加的な航海関連情報を重畳表示することもできる。適当なバックアップ装置を備え,1974年SOLAS条約第V章第19規則で要求される「更新された海図」に適合するとして承認できる航海用情報装置である。これらは,近年の船舶の合理化・省力化が進むなかで,利便性とともに航行の安全及び運行能率の向上を図る観点から,近代的航海の補助手段として極めて重要である。
(2)電子海図装置(ECS:Electronic Chart System)
 電子海図装置(ECS)は,ECDISの機能や表示のうち,IMOのガイドラインに示されるような限定された機能を持つ電子海図装置で,これに使用される海図データ媒体はENC(Electronic Navigation Chart)でなくてもよく,各国水路部又はこれに代わる水路機関(例えば,日本水路協会)が承認する海図データ媒体(航行用電子参考図・ERC:Electronic Reference Chart System)などを用い,その情報に重畳して限定された航行情報を表示できる各国で承認された装置である。
(3)プロッター装置
 レーダーやGPSなどの電子的位置測定装置と連動した簡易な航海援助装置である。本装置は,ブラウン管上に船舶位置を連続して表示し又航跡として記録し,同時に自船針路,自船速度,海岸線,等深線,著名な地名等を表示する装置である。
 船舶自動識別装置(AIS)は,衝突予防と人命安全という観点から,平成14年7月1日から船舶への搭載が義務化される装置である。
 主な特徴は,(1)その位置情報や操船情報(針路,速力,船首方位,航海状態,回頭角速度等)等の航行情報,船名や積荷等の船舶の固有情報をVHF帯電波で周囲に定期的に送信,(2)他船から送信されたこれらの情報を受信,(3)これらの情報を表示器に表示,を行うことにより,“船舶間の衝突防止”及び“通過船舶とその積荷情報の把握及び船舶運行管理業務(VTS:Vessel Traffic Service)の道具”として有用な装置である。
 航海情報記録装置(VDR)は,船舶の海難事故後の原因を調査する補助装置として,平成14年7月1日から段階的に船舶への搭載が義務化される装置である。
 航海情報記録装置(VDR)は,人為的過誤による海難の原因の調査と,今後の海難防止対策の目的で運行や船舶固有に係わるデータを記録に残し,事故後,そのデータを再生できる装置である。
 構成は,保護カプセル(運行データや船舶固有のデータを記録する最終記録媒体と水中音響ビーコンを取り付けている),中継器,記録制御器,データ収集器,船橋音響収録用マイクユニット,データ表示装置,再生装置(船内装備の義務はなく,かつ,形式検定の対象でもない)等の例もある。
 なお,メーカーによって,機器の構成及び機器名はいろいろである。
 近代化船の船橋は,航海中の船内全体の指令塔の位置づけであり,1人で航海当直,操船ができることが望まれている。これらを背景として,NKは,このワンマン・ブリッジ・コントロールに関する「船橋設備規則」を平成5年以降から規定している。
 このNK規則の内容は,「船橋の配置及び作業環境」,「航海機器」などの一般規定の他に,ワンマン操船のための「事故予防」並びに「船橋作業支援」に対する規定がある。
 「船橋の配置及び作業環境」に関しては,視界の確保のための船橋の高さ,全面窓の大きさ及び船舶の周囲視界の確保のための作業場所と視野を遮る障害物との相互関係が規定されている。
 「航海機器」としては,レーダー,電子式船位計測装置,自動操舵装置等の一連の航行設備等の操作性と安全性を考慮した配置と機能について規定されている。
 「事故予防システム」に関しては,船橋に警戒態勢の当直航海者がいることを定期的に確認できるシステムであること,即ち,設定された確認間隔(12分までの確認間隔を船長のみが調整・設定できる。)を経過した場合,船橋に可視可聴警報を発し,かつ,30秒以内に当直航海者が対応できなかった場合,船長,指定支援航海者及び公室への「警報及び警告転送システム」が要求されている。
 「船橋作業支援システム」に関しては,1人当直を念頭に置いた一段と高度な航行装置を配置したものであり,航行装置の集中化並びに情報の集中化を図るための船橋情報システムのほか電子海図とレーダー映像の重畳表示システムの装備やオートトラッキングシステムが要求されている。
 なお,上記のNK「船橋設備」は次のように定義されている。
(1)「船橋の配置及び作業環境」及び「航海機器」について登録を受けた船舶を「BRS船」という。
(2)「船橋の配置及び作業環境」,「航海機器」及び「事故予防システム」について登録を受けた船舶を「BRSI船」という。
(3)「船橋の配置及び作業環境」,「航海機器」,「事故予防システム」及び「船橋作業支援システム」について登録を受けた船舶を「BRSIA船」という。
 最近の「船橋設備」相当の具体例として,「IBS」と「INS」がある。
(1)「INS」は,「集中航海設備:Integrated Navigation System」のことであり,まず航海情報収集機能として船首方位(ジャイロ,TMC,GPSコンパス等から),船位(GPS受信機から),船速等の航行情報の収集,次に航行情報判断機能として,電子海図システム,レーダー/ARPAの表示装置の集約,さらに,制御機能として,保針制御(オートパイロットの機能),トラックコントロール(航路保持制御)等の機能を集約したものである。
(2)「IBS」は,「集中船橋設備:Integrated Bridge System」のことであり,システムの統合化の範囲について,確たるものはないが,広い範囲の例としては,「INS」の機能に加えて,GMDSS関連通信機器の統合,機関制御機器(機関部モニタ,ロガー,主機関遠隔制御等)の統合,荷役制御システムの統合,その他管理用情報システム等の統合を行うものである。
 したがって,具体的には,上記に加えて,ソナー,舵角指示計,VHF,ナブテックス,インマルサット,船体運動,機関部モニタ,機関部遠隔制御装置,荷役制御装置等が含まれることもある。







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