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国際海事情報シリーズ77 米国における次世代水上交通システム構築に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


4-4 水路浚渫と土砂投棄
 港湾アプローチ水路や内陸水路では、流れが緩やかな場所を中心に砂利、砂、シルト等が自然堆積し、船舶の航行に障害をもたらす。これらの堆積土砂は、機械的(バケット式、グラブ式等)或いは水力的(吸い上げポンプ式)浚渫船により除去される。一般に港湾等の深い水路の浚渫には、自船内に土砂を一時的に保管することの出来る自航海洋型ホッパー・ドレジャーが用いられ、内陸水路等の浅い水路の浚渫の場合には、カッター・ヘッドで攪拌した土砂をポンプでそのまま投棄地迄パイプによりスラリー輸送する
 
(水路浚渫の現状)
 水路浚渫責任は第1義的にUSACEが負っている。付録2(4)表に示されるように、2001年にUSACEとその下請け業者は2億540万m3(資料ではmcy(百万立方ヤード)単位となっているが、1mcy=76万4,000m3)を$8億6,770万で浚渫した。この量は2000年より6%少ないが、コストは5.6%増加している。この2001年の実績量の81%、コストの64%は、水路の保守に対するものである。1m3当りの保守・コストは$3.37、水路新設コストは同$8.00である。USACEから工事を受注した業者数は総計48社(18大企業、30小企業)であったが、48社の内21社が1工事、46%の22社が2−6工事、10%の5社が10工事以上を受注している。ちなみに、航路浚渫の必要性はメキシコ湾岸が高く、2001年の浚渫土砂量ベースでの順位をみると1位はミシシッピー川流域のニューオリンズ地区(5,760万3)、第2位がヒューストン近郊のガルベストン地区(3,480万m3)となっている。
 
 表4-1は、1993−2000年にUSACE自身が浚渫した土砂量とそれにかかった費用を示した表である。また、表4-2は1993−2000年に下請け業者が実施した工事の浚渫量と費用を示している。これらを観れば判るとおり、水路新設工事(new work)は全て下請け業者が実施しているが、水路新設の割合が量的(14%から18%へ)にも費用的(24%から38%へ)にも増加しており、併せて浚渫単価が上昇していること(言い換えれば、より高コストの大水深浚渫が増加していること)が判る。
 
(次世代MTS構築へ向けた浚渫)
 MTS報告書が議会に提出された1999年9月の時点で、USACEは米国の港湾アプローチ水路及び内陸水路の浚渫の必要性について実施しており、MTS報告書に続いて発表されている。表4-1、4-2の合計浚渫量は年度毎の増加は少ないが、その後前述のように船舶の大型化が進み、NY/NJ港のKill Van Kull水路浚渫、ヒューストン/ガルベストン水路の13.7m水深化工事が実施され、他に多くの増深工事が議会の承認を得、また検討中であるため、今後浚渫量は増大すると考えられている。この増深の対象となっている港には、オークランド港、サバンナ港、コロンビア川下流諸港、フィラデルフィア港、NY/NJ港等が含まれている。このため、浚渫船としてはメガ・シップの寄港を可能にする13.7m水深への増深と保守を効率よく実施する船舶の需要が増大している。
 
(浚渫と環境保全)
 USACEでは、議会により承認された基金により連邦管理水路について毎年約2億1,000万3の浚渫を実施しているが、非連邦管理水路(港湾局、パイプライン・オペレーター、ターミナル・オーナー、企業及び個人)については、USACEに浚渫及び土砂処理の計画書を提出し許可を受けた後、夫々の自己費用で浚渫される。この分が毎年約7,000−8,000万m3あるので、米国全体の年間浚渫量は3億m3近くになる。
 航路浚渫に関しUSACE以外で最も関係ある政府機関は、環境庁(EPA)である。EPAは、USACEと協力して上記連邦管理及び非連邦管理水路の浚渫が河川港湾法(RHA)、水質浄化法(CWA)、海洋投棄法(ODA)等を満たしているかを監査している。また、州や地域政府も、州法や地域法に照らして浚渫の合法性を厳重にチェックしている。さらに、土砂が陸上に投棄される場合には、上記以外の多くの連邦、州及び地域法が関係してくる。
 
 浚渫の際に発生する土砂マネージメント計画で最も大切なことは、浚渫土砂を多くしない、即ち浚渫回数を多くしない総合的方策の立案である。例えばトムビッグビー水路(TTW)(図2-1オハイオ川/ミシシッピー川合流点近くからMobile迄)では、TTW諸港の保守浚渫を減らす、或いは不要とする為のプロジェクトがミシシッピー大学を中心に行われている。このプロジェクトの表題は「水路沈殿マネージメント」と呼ばれ(参考資料49)、沈殿を管理する方法として、(1)沈殿物を流入させない、(2)沈殿させずに流下させる、(3)それでも沈殿したものは取り除くという3点を対象に、具体的工事を実施して結果を調査している。具体的には、沈殿物を河川に流入させない為に水路両岸への防護壁の設置、土手の侵食防止工事、沈殿防止トラップ工事を実施している。また、沈殿させずに流す方法としては、沈殿しそうな場所に壁や土手を作って流速を早める等の工事を実施している。
 
表4-1 USACE施工の浚渫工事量とその費用(1993−2000)
(単位;100万立方ヤード=76万4,000m3、100万ドル)
U.S. Army Corps of Engineers Dredging Program,
Costs and Yards Moved, FY 1993-2000
  Millions of dollars Millions of cubic yards
Year Maintenance New work Total Maintenance New work Total
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
75.0
84.3
88.8
85.4
95.9
76.6
92.7
88.5
0.7
0.0
6.5
0.0
0.2
0.0
0.0
0.0
75.8
84.3
95.3
85.4
96.1
76.6
92.7
88.5
38.3
52.5
53.8
52.5
67.8
42.4
45.8
44.9
0.1
0
7.9
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
38.4
52.5
61.7
52.5
67.8
42.4
45.8
44.9
SOURCE: U.S. Army Corps of Engineers, Navigation Data Center, available at http://www.iwr.usace.army.mil/ndc/ddhiscoe.htm as of December 12, 2001.
資料提供:USACE
 
表4-2 USACE下請け業者の浚渫工事量とその費用(1993−2000)
(単位;100万立方ヤード=76万4,000m3、100万ドル)
U.S. Army Corps of Engineers Dredging Program,
Summary of Industry Activities, 1993-2000
  Millions of dollars Millions of cubic yards
Year Maintenance New work Total Maintenance New work Total
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
335.2
342.4
319.4
339.6
398.5
455.9
487.4
452.5
103.9
100.8
116.3
89.7
127.3
178.0
232.2
280.7
439.1
443.2
435.7
429.4
525.8
633.9
719.6
733.2
197.2
212.2
163.4
181.8
185.0
168.9
195.9
181.8
33.4
37.0
26.1
24.4
32.2
27.3
42.1
42.8
230.6
249.2
189.5
206.1
217.2
196.3
238.1
240.4
SOURCE: U.S. Army Corps of Engineers, Navigation Data Center, available at http://www.iwr.usace.army.mil/ndc/ddhisind.htm as of December 12, 2001.
資料提供:USACE







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