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国際海事情報シリーズ78 米国における舶用ベンチャーの事業化支援制度に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


4. ケーススタディ
4-1. ONR SBIR及びSTTRのケーススタディ
4-1-1. Materials Systems Inc.
(会社概要)
521 Great Road
Littleton, MA 01460
 
 Materials Systems Inc.は、海中ソナー、超音波治療、インクジェットプリンティング、近接検知、フロー制御、振動/騒音制御システムに使用する圧電複合材料と音響トランスデューサー(圧力変換器)製品の開発及び製造を行っている。同社の製品は、性能向上のため特殊な音響材料を使用しており、新たなシステム能力をもたらす場合が多い。
 
 MSIは、これらの製品の製造プロセス(プラスチック部品の大量生産に広く使用されている射出成形と同様のプロセス)に関する特許を取得している。MSIの射出成形プロセスは、手動の組み立て作業が軽減され、手ごろな価格で高品質の製品を大量生産できるという点で競合他社のプロセスより優れている。
 
(SBlRの概要)
実施年:2001年
SBIR投資額:120万ドル
プロジェクトの収益:800万ドル
 
(技術概要)
 MSI(Materials Systems Inc.)が海軍のSBIR資金を利用して開発した潜水艦追跡センサーは、また、フロリダロックゲートで貴重な海洋哺乳類のマナティを検知するのにも利用されている。2000年3月、これらの圧電トランスデューサーがPort CanaveralのBanana Riverの閘門ゲートに設置され、水圧ドアにマナティが押しつぶされないようにするための監視が開始された。
 
 MSIはソナーや超音波製品用の新しい圧電複合材料と効率的な製造プロセスを開発した。MSI独自のピエゾ複合材トランスデューサーは、多くの超音波及びソナー市場で重要技術として急速に認知されつつある。国防用及び民生用のソナーでは、これらのトランスデューサーはカメラのレンズのような役割を果たし、海中の対象物から音響イメージを収集し、焦点を絞って、コンピュータ画面に電子的にデータを送信する。また、MSIのトランスデューサーは帯域幅が大きいため、所定の時間内に大量のデータを収集処理できる。
 非破壊検査の分野では、MSIトランスデューサーを使用することにより、コンクリート、プラスチック、繊維強化複合材料のような吸収材料を透過して見ることが可能になる。その結果、材料をより有効に利用できるようになるので、製品の性能が向上し、コストが軽減される。また、これらのトランスデューサーは、エネルギーを効率的に空気及びその他の気体に送り込むので、工業用近接センサーや流量計測機器の動作範囲を拡大できる。
 
(軍事及び商業上の重要性)
 海軍は、コスト、重量、サイズを低減しながら機能を増強するという課題に直面している。MSIのトランスデューサーは、小型軽量で船舶の形状に合わせて成形できる。射出成形法で製造されたMSIの圧電複合材料は、市場の他の材料よりも性能が高く、費用効率が大幅に向上するうえ、ソナーイメージングから振動/騒音制御まで、様々な用途に適用できる。
 
(用途)
・海軍の海中地雷探知用高性能ソナーセンサー
・音声通信
・海底マッピング
・マナティ/魚の検知
・ハイドロフォン(超音波用の水中マイクロフォン)及びフランクアレイソナー(船側の前後にもパッシブ・ソナー・アレイを配置することによって、三角測量的に相手音源までの距離も測定できるようにしたソナー)
・振動制御
・騒音の軽減
・石油/ガスのマッピング
・噴霧器
・Medical ultrasound imaging
・インクジェットのチューブ
 
4-1-2. RoboTek Engineering Inc.
(会社概要)
1271 FM 3496
Gainesville, TX 76240
 
 RoboTek Engineeringは、女性経営の零細企業で、同社が所在するテキサス州Gainesvilleの60エーカーの土地には滑走路と4,000平方フィートの施設がある。RoboTekは、設計、迅速なプロトタイプ作成、無人車両やGPS追跡システム等のハイテク製品の製造を専門としている。同社の技術のスピンオフ製品として、同社のRoboSkiを使用してドラッグ運搬船を停止する網を配備できるようにするSPAWAR用のペイロードインターフェイスシステムがある。RoboSkiのその他の用途としては、SWAT(Small Weapons Attack Trainer)や陸軍のRemote Combat Support System Program用の地雷撤去に使用される誘導制御システム等が提案されている。
 
(SBIRの概要)
実施年:2001年
SBIR投資額:451,000ドル
プロジェクトの収益:784,000ドル
 
(技術概要)
 RoboTekのShip Deployable Surface Target(RoboSki)は、比較的低価格の水上バイク式Ship-Deployable Surface Target Systemである。海軍はこのシステムを使用することにより、沿海における小型水上船の脅威に対抗する新たな訓練方法を導入できる。
 
 海軍は大洋から沿海域に作戦の重点を移しつつあるため、主要な銃砲や近接防御兵器システムの練習用にこのようなシステムを必要としている。このシステムには、双方向デジタル通信リンクが組み込まれ、船舶と標的ヴィークルの両方にGPSレシーバが使用されているので、移動する船舶の位置に関連づけて、簡単にターゲットナビゲーションの指令を伝達できる。
 
 RoboSkiは、3人乗り水上バイク等、広範な商用コンポーネントを使用することにより、海軍にとって比較的低価格で現実的な製品となっている。また、GPSレシーバや先端電子機器、オプションのビデオカメラシステム等のハイテク機能も装備されている。RoboSkiは、30ノットの速度で移動可能であるため、銃兵器演習において、高速で移動する小型標的に対する練習が可能になる。
 
(資料提供:DoD)
 
(軍事及び商業上の重要性)
 RoboSkiは、銃撃に対して非常に効果的であることが明らかとなっている。試作機の試験では、300回以上銃撃されても作動し続けていた。また、ビデオシステムが搭載されているため、敵である可能性のある水上船が視覚またはレーダーで捉えられた場合に、それを遠隔調査することも可能である。
 
 最近、ノーフォークを基地とするAEGIS駆逐艦USS ROSS(DDG 71)は、RoboSkiを使用して、Combat Systems ship Qualification Trialを実施した。RoboSkiは、銃撃が難しい標的であり、船上演習は非常に有意義なものとなった。また、RoboSkiは、戦闘指揮ステーションからの制御の実証にも利用されている。海兵隊は河岸域での戦闘用の支援物資補給船として、RoboSkiを使用した。さらに、Hellfire赤外線誘導式ミサイルの演習で赤外線標的の引き船として利用されたこともある。米国第5艦隊は、ホルムズ海峡で実施された国際演習、Arabian Gauntlet '00でRoboSkiを使用した。Arabian Gauntlet '00は、商業船や海軍に危険を及ぼす可能性のある地雷の探知と処理に重点を置いた演習である。
 
 また、港湾のセキュリティ対策、特に水際対策が求められる中、RoboSkiには、センサーとカメラが装備されているので、港湾/ウィーターフロント調査、麻薬対策活動、消火活動、海洋石油掘削用プラットフォーム支援用の次世代システムとして利用される可能性がある。
 
(用途)
・USN Seventh Fleet(2ユニット)
・USN Fifth Fleet(2ユニット)
・CLF N73 Atlantic Fleet(2ユニット)
・Southern California Offshore Range(2ユニット)
・Coastal Systems Station、Panama City(1ユニット)
・SPAWAR、Charleston(1ユニット)
・Naval Facilities Systems Command(2ユニット)
・Naval Air Warfare Center、Point Magu(2ユニット)
・ROS (Remote Operator's Station)の画像キャプチャ
 
4-1-3. RD Instruments(RDI)
(会社概要)
9855 Businesspark Avenue
San Diego, CA, USA 92131-1101
Phone: 858-693-1178
 
 RDIは、精密計測機器を製造している非公開会社で、先端音響ドップラー計測機器の設計、製造、供給、サポートでは優位に立っている。現在、同社には、様々な分野の科学者、エンジニア、技術者、販売・サポートスタッフ等135人の従業員がいる。
 RD Instrumentsは、海軍向けに低価格の広帯域音響流向流速計(ADCP; Acoustic Doppler Current Profiler)製品ラィンを開発し、このSBIRから6,000万ドル以上の売上を生み出した。RDIは、SBIRプログラムに参加することによって、開発製品から大きな収益を得るとともに、民生品だけを手がける場合と比較して高レベルの専門技術力を維持することができた。
 
(SBIRの概要)
SBIR投資額:531,000ドル
プロジェクトの収益:6,000万ドル
年間収益予測:1,200万ドル
 
(技術概要)
 RDIの広帯域ADCPの技術的な利点は以下のとおりである。
・従来型の狭帯域ドップラーソナーより精度が高い
・小型で頑丈かつ低価格の流向流速センサー
・系統誤差が大幅に縮小された
・平均計測時間の短縮によって電池の消耗が軽減された
・水柱プロファイルの深さ分解能がより細かくなった
・従来のシステムより速度分散が50〜100倍向上した
 
NAVY TOPIC: N85-003(ONR)
 低コストの広帯域音響ドップラー流向流速計シリーズ
 
(軍事及び商業上の重要性)
 海軍は、任務のプランニングやセンサーの調整時に、水流を正確に測定する必要がある。特に沿岸作戦や地雷探知では、この機能が非常に重要になる。世界中の軍隊、民間海洋学コミュニティ、石油業界が海洋、河口、湖、河川の水流計測にADCPを使用している。無人及び有人の水中潜水艇に航行情報を提供するシステムも開発されている。同社は民生品を提供しているが、将来的には同社の専門技術によって海軍の多様なニーズを満たすことができると考えられる。
 
(用途)
・小型潜水艦(Seal Delivery Vehicle)に使用されている
・すべての掃海艇への搭載が計画されている
・UUVシステム、REMUSに使用されている
・Woods Hole Oceanographic Institute、Scripps、Shell Oil、及び様々な外国政府に使用されている
・船上、ブイ、プラットフォーム、自律型潜水艇に利用できる







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