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国際海事情報シリーズ78 米国における舶用ベンチャーの事業化支援制度に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


4-2. West Virginia High Technology Consortium Foundation及びINNOVA
(西バージニア高度技術企業連合基金(WVHTC基金))
 1993年に設立された西バージニア高度技術企業連合基金(WVHTC(West Virginia High Technology Consortium)基金)(http://www.wvhtf.org/index.asp)は、西バージニア州の技術セクターの統合と成長、さらに、西バージニア経済の多様化と強化を図るための支援組織である。「The WVHTC Foundation mission is to serve as a catalyst to further integrate and cultivate the West Virginia technology community, and to diversify and strengthen West Virginia's economy.」
 
(1)WVHTC基金の役割
 WVHTC基金は、西バージニア州の技術セクターの成長を促すためには、現在や未来に貢献する技術系の企業、特に中小企業が多数存在する持続的且つ多様な経済の実現が不可欠であるとして、その促進組織として設立された。このような観点から結成されたWVHTC基金は、地域に存在する先進技術コミュニティ(この中には政府機関、大学等の研究所、科学技術関連研究施設、そして民間企業等が含まれる)の強力な連合(一種のクラスター)を結成し、先端技術の商業化等による地域経済への貢献をめざし、米国東岸有数の技術パークとして、研究開発を進めるとともに、イノベーター及びfacilitator(技術革新の促進者)として中小企業を支援している。
 
 具体的には、イノベーターとしては、科学技術開発をモニターし、評価し、更なる研究の進展や開発成果の創造的な商業適用に対し機会を捉えて資金の確保をめざしている。また、facilitatorとしては、これら技術の商業適用による地域経済の便益を最大化するため、技術や資金、更には連邦及び地方政府が有する様々な資源を効果的且つ効率的にコーディネートすることをめざしている。
 
(2)経営陣の構成
 このように、WVHTC基金は中小企業育成を強く意識した組織であるため、そのマネジメントを行う経営陣の構成も、幅広く経済界から選出されている。
 
Dennis M. Bone, Chairman
President Verizon New Jersey Inc.
 
Dr. Frank W. Blake, Director
Vice President, Engineering EWA Government Systems Inc.
 
James L. Estep, Director
President and Chief Executive Officer WVHTC Foundation
 
James R. Haney, Director
Vice President, Customer Operations Allegheny Power
 
(3)オンライン企業の研究の開始
 WVHTC Foundationは、その最初の連邦プロジェクトの一環としてOffice of Naval Researchとともにオンライン企業の研究を開始した。そしてこのプロジェクトのために、高度なプログラムと契約担当者、管理システム等、複雑な市場で成功するために必要な様々な資源の中心となる拠点が設立された。このオンライン企業チームは、中小企業の資源と能力をプールすることによって、強力な競争力を獲得した。WVHTC Foundationは、1990年代に、商用と政府向け両方の多様なプロジェクトにこのチーム戦略を適用し、基盤となる地域の中小企業の能力を高めながら、数百万ドル規模の研究、開発、技術プログラムを確立した。
 
(INNOVA)
 INNOVA(http://www.innovawv.org/home.htm)は、西バージニア州の革新的な企業に技術及び経営上の支援を提供するために考案された全州規模の非営利イニシアティブであり、2002年8月にWVHTC基金によって設立された。
 
(1)INNOVAの目的
 INNOVAは、2002年以前はTechComm21と呼ばれていた組織であり、西バージニア州の革新企業が市場に導入する新製品を増やし、それによって経済成長を促すことを目的としている。
 INNOVAは、西バージニア州の大学、連邦政府機関(Office of Naval Research、国防総省、エネルギー省等)、Small Business Innovation Research/Small Business Technology Transferのような連邦プログラムとの間で技術移転関係を構築してきた。
 
(2)INNOVAの具体的な業務
(1)製品の評価
 企業が開発する製品の技術と市場性について評価する。INNOVAの対応者及び関係者として、西バージニア州の公的組織及び民間の技術専門家が参画している。
(2)ビジネスプランニング
 企業がビジネス計画を策定し、また、製品が市場で成功するために必要なリソース(販売ルート等)を見つけるための支援を行う。
(3)市場調査分析
 企業が開発する製品の市場への適合性と市場競争力に関する調査を行うに際して支援を行うとともに、より詳細な調査が必要な場合は、市場調査の専門家を見つける支援を行う。
(4)市場戦略の策定
 企業が行った市場及び競争力調査の結果を基に市場戦略策定の支援を行う。この市場戦略は、製品が対象とすべき購買層の特定とその購買層に最も効率的に売り込みを行うための判断の基礎となるもの。
(5)インキュベータースペースの提供
 WVHFTC基金が有する「Small Business Incubation Center」(これは、技術事務所と実験スペースを有するものであり、さらに中小企業支援プログラム及びインキュベーターサービスの提供も行う)の提供。
(6)コンピュータ試験実験室の提供
 技術ベースのプロトタイプ作成及びソフトウェア試験を行うためのコンピュータ試験実験室の提供。
(7)初期の投資資金の提供
 西バージニア州ベースの起業家であってその製品の市場での成功の可能性が非常に高く、且つ、通常の資金調達が困難な者に対し、INNOVAは起業初期の、または起業のための資金の提供を行う。INNOVAは、州のエンジェル投資家やベンチャーキャピタルと強い連携を有している。
 
(舶用企業に対する支援の実例)
(1)会社概要
Tygart Technology Inc.
1543 Fairmont Avenue, Fairmont, WV26554
phone 304-363-6855
 
 1991年に創設されたTygartは、ソフトウェア製品の設計・開発のほか、民間及び政府の顧客への情報技術サービスの提供を行っている。Tygartのコンサルタントは、企業戦略プランニング、アーキテクチャ設計、ソフトウェア開発、システム動作、保守を含め、プログラムのライフサイクルのあらゆる側面に対する包括的なサービスを提供している。
 最近の取り組みとして、Tygartは、24時間365日アクセス可能なe-Governmentソリューション、マルチメディアベースの対話式教育訓練、次世代コンピュータテレフォニー(VoIP)、バイオメトリクス認証、法執行機関の多重ミッション要員(fbrce-multiplier)技術を導入した。
 
(2)支援の概要
 フェーズII SBIR投資額:416,831ドル及びオプションの追加投資額329,256ドル
 
 Tygartは、この契約のFast Track申請に関して、West Virginia High Technology Consortium Foundationの支援を受けた。この支援によって連邦の契約額と一致する資金が保証された。Tygartの提案は、Electric Boat Corporation、Marine Machinery Association、National Institute of Standards and Technolgy、Standard Steel Corporation、J&S Machine Companyによる協力方式の支援も獲得した。
 
(3)技術概要
 1997年、Tygartは、革新的なWebベースのソフトウェアシステムの研究開発に関して、米国Office of Naval Researchから416,813ドルの契約と329,256ドルの更新オプションを獲得した。同社のSBIR(Small Business Innovation Research)フェーズIIプロジェクトのタイトルは、「Distributed Manufacturing Information System for a Virtual Corporation(オンライン企業向けの分散製造情報システム)」であった。
 Tygartは、この契約に基づいて、サプライヤーチームの選抜と管理を最適化するWebベースのインテリジェント調達システム、GRIPを開発した。GRIPを利用すれば、あらゆる規模の企業が外注コストの管理を改善し、分散製造のオンライン企業として協力することができる。
 
(4)商業上の重要牲
 このシステム特有の強みは、サプライチェーンの製造ショップ間で費用効率のよい作業割り当てを可能とするだけでなく、作業の計画、追跡、スケジュール作成を処理し、品質管理プロセスを作成できる点である。
 TygartのGRIPシステムは、従来の元請けと下請けという関係を超えて、製造ショップチームが市場で競争できるようにするために役立つ。
 
4-3. NSWCCD CRADA
(舶用企業に対する支援の実例)
技術:Plasma Arc Waste Destruction System(PAWDS)
実施年:2003年
産業界のパートナー:PyroGenesis Inc.
 
(1)会社概要
PyroGenesis Inc.
2000 william Street, Montreal, Quebec, Canada H3J 1R8
phone 514-937-0002
 
 PyroGenesis Inc.は、廃棄物処理システムの設計・製造、及び熱プラズマと噴霧技術に関連した高性能材料の製造における世界的リーダーである。同社はカナダのモントリオールに本社を置き、北米とヨーロッパに2つの製造施設を持つ非公開会社であり、世界の顧客に製品を提供している。
 
(2)技術概要
 海軍水上戦闘センターのカルデロック部門の研究者は、10年近くにわたり、船上の可燃性固体廃棄物を破壊する手段として、プラズマアーク技術を研究してきた。そしてDr. Eugene NoltingとJon Cofieldが、小型で高速かつ効率的に動作し多様なゴミを焼却できるPlasma Arc Waste Destruction System(PAWDS)を開発した。気体内で電気アークを発生させることによって(太陽表面よりも高い温度を生成するプロセス)、システム内で使用されるプラズマが生成される。このプラズマを使用すると、環境に汚染物質がほとんど放出されないような超高温で材料を燃焼できる。
 チームはこの特許技術について、CRADA(Cooperative Research and Development Agreement)や、PyroGenesis Inc.とのライセンス契約を締結した。PyroGenesis社はPAWDSを製造し商用クルーズ船に搭載する計画である。
 
(3)軍事及び商業上の重要性
 PAWDSの主要な受益者は、厳しい汚染管理規定を課せられているクルーズ業界である。国際法によって、船舶は海洋に無差別にゴミを捨てることを禁じられている。したがって、廃棄物の多くは従来型の焼却炉で焼却するか、貯蔵しておいて、あとで除去する必要がある。焼却炉ではプラスチックは燃やすことができないので、ゴミを机上に広げて手作業で選別しなければならない。
 PAWDSを使用すれば、ゴミを手作業で選別したり汚染プラスチックを貯蔵しなくても済むようになる。PAWDSを使用することによって、人件費が削減されるだけでなく、ゴミのサイズが小さくなるため、居室等に利用可能な空間が増える。船舶は空間が限られているので、こうした利点は非常に重要である。さらに、この技術による処理から生じる排ガス流は汚染されていないので、昼間にシステムを動作させても、乗客の生活の質に影響を及ぼすことはない。







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