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国際海事情報シリーズ80 天然ガスの新たな輸送方式に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


3.5 CNG Solutions社
 CNG Solutions社はニューオリンズのプロジェクト開発、エンジニアリング・グループであり、モジュラー格納システムを組み立て、半没水型船体に搭載するCNG輸送コンセプトを設計している。このコンセプトのユニークな点は、初期プロジェクトに既存のLASH型の船体を利用しようとしている点である。
 
 格納システムは一本の連続したチューブとして設計されており、端から端までピギング12が可能である。基本的に、42インチ(約1m)口径パイプ42,000ft〈約13,000m)を四角くゼンマイ状に巻き重ねた設計となっている。誘導曲げ加工したベンド管と直線パイプを交互に組み合わせ、らせん状のパイプ層を構築する。パイプは高強度、低比重の強化プラスチックから成型したパイプ棚で個別に支えられる。ガスは-20℃に冷却され、125気圧で貯蔵される。格納ユニット本体は金属性の被覆内に収められ、進水させて、モジュール取り付けのためにバラスト状態にした既存の半没水型520ft(約160m)LASH船と合体する。搭載後モジュールは最大5年間船上に搭載される。
 
 開発者によれば、既存の船体と、誘導曲げ加工と直線パイプの自動溶接という確立された組み立て技術を使うことにより、船体の新造やパィプ組み立てに新しい技術を利用する必要がある他のCNG輸送コンセプトよりも、資金のハードルはかなり低くなるという。加えて、格納システムの重量に占める輸送ガスの割合も、他のアプローチよりも高いと主張している。
 
CNG Solutionsの格納設計
出典:CNG Solutions
 
 CNG Solutions社のシステムは約1億cf(約280万m3)のガス輸送を想定している。開発者によれば、この供給レベルは、採算のとれる輸送手段がなかったために今まで開発されていなかった小規模なガス田の商業利用、または孤立した、小規模なエネルギー市場への供給に最も適している。
 
 同コンセプトの魅力は、重量効率がよいことと、既存の船体を使用することが可能である点である。同コンセプトのもう一つの長所は、船体と格納システムを別々に組み立てることができる点である。これにより、メキシコ湾の超大水深市場向けユニットの建造において、船体を米国内で建造し、格納システムをコストが安い別の国で組み立てることができるかもしれない。格納モジュールを浮上させて船舶に積み込み、また船舶から積みおろすように設計されていれば、モジュールは船体の一部または上部構造物ではなく貨物とみなされる可能性がある。
 
 初期プロジェクトに引き続いて、開発者は連続生産に向けた船体と格納部の設計の最適化を計画している。
 
 既存の輸送船と組み合わせた標準オフショア・パイプライン組み立て技術に基づいたモジュラー格納システムの特許が現在審査中となっている。開発者は設計に関心を持つ顧客を探している。
 
3.6 TransCanada Pipelines(GTM)
 TransCanada Pipelinesはカナダのカルガリーに本社を置く、株式時価総額約90億ドルのガス輸送会社であり、同社は天然ガスをカナダ西部からカナダや米国の顧客に届けている。同社はConocoPhillipsとともにメイン州にLNG再ガス化施設を開発することにより、パイプライン事業を拡充することを検討してきた。TransCanadaはまたCNG部門にも積極的な関心を示している。
 
 同社は強化複合素材ガス輸送モジュール(GTM)を河川バージに搭載してCNGを輸送する設計を開発している。同設計は、全長80ft(約24m)、直径42インチ(約107cm)のGTMを使用することとしている。42インチ口径のGTMの重量は38,135ポンド(約17.3t)である。最大60インチ(約152cm)の口径が検討された。バージは無蓋で、180本のGTM管を搭載する能力を有する。200気圧、常温で3,000万cf(約85万m3)のガスを輸送する。シリンダー状の容器は、ASME(米国機械学会)Section VIII、Div.3 Alternative Rules for Construction of High Pressure Vessels(高圧容器製造の代替規則)のラミネート利用の明細事項に従った強化複合素材繊維のラミネート層により取り巻かれた高強度低合金鋼製のシェルで構成されている。複合素材とスチールの割合は、圧力、External Load等の要素により変化する。
 
GTM 河川バージ
出典:TransCanada
 
 これはCNGプロジェクトよりもかなり単純な輸送コンセプトであり、いくつかの長所がある。同コンセプトは、比較的シンプルな無蓋バージを使用するため、建造コストが低い。常温輸送であるため冷却装置を搭載する必要がない。複合素材強化圧力容器を使用することにより、スチール製の圧力容器よりも輸送量あたり重量は40%減になるとされている。TransCanadaによれば、複合素材ライン・パイプ技術を使用したGTM圧力容器は、世界的なASME規格に従うように設計されている。破裂についての安全率は2以上であり、容器は破裂する前に漏れるようになっている。しかし、複合素材の容器に加圧した3,000万cfのガスを詰めた無蓋バージが河川システムを航行するというアイデアには、安全上の不安が残る。
 
 TransCanadaはGTMモジュールを利用したCNG船の概念設計を開発したJournal of Petroleum Technologyは最近「GTMを利用して約3億5,000万cfの天然ガスを輸送するCNG船の建造には約1億〜1億2,500万ドルかかり、チューブの重量は35,000t未満になるであろう」と報じている。CNG船の設計は、CNGバージ開発ほどは進んでいないように見える。しかしながら、河川バージで利用する技術を航洋船に拡大するのは、それほど困難なことだとは思われない。
 
 TransCanadaはNCF Industries社の複合素材ライン・パイプ技術特許の世界的な実施許可を保有している。NCF、正確にいえば同社の社長であるNorman Fawley氏は、複合強化ライン・パイプ技術で数多くの特許を取得している。
 
CNGシリンダーのプロトタイプ
出典:Trans Canada
 
 TransCanadaは推定船価についての数字は公表していない。しかし、GTMバージは他のCNG輸送コンセプトと比べて比較的低価格となると考えられる。TransCanadaによれば、GTM技術は最大300海里(約560km)の距離、生産日量3,000〜6,000万cf(85万〜170万m3)のガス田からの輸送で競争力を発揮するとしている。TransCanadaは、この距離と生産量を想定すれば、GTMによるガス輸送は100万cf(約28,300m3)あたり2.5ドルのコストで提供できると考えている。
 
 ABSがGTMコンセプトの内陸河川バージ利用に条件付承認を出している。航洋船向けGTM技術の基本承認はロイズ・レジスターが出している。圧力容器設計についてASMEの承認も受けている。
 
3.7 C-Natural Gas(Oceanic CNG)
 C-Natural Gasはニューオリンズの小さな開発グループで、数年間にわたってCNG輸送コンセプトを推し進めている。同社の当事者2人は石油・ガス産業で経験をつんだパイプライン・エンジニアである。
 
 コンセプトはスエズマックス船で8、10、12インチ口径の高強度ライン・パイプのスプールを運ぶというものである。各スプールは直径32m、長さ9mで、7,100万cf(約200万m3)のガスを貯蔵することができる。船首から船尾まで全部で22個のスプールが並べられ、15億cf(約4,300万m3)のガスを-10℃、230気圧で貯蔵する。
 
 CNGスプールコンセプトでは、Arthur Agnewが特許番号6,260,501を取得している。特許は2000年3月に発行された。Agnew氏はC-Natural Gasの当事者の一人である。
 
 同コンセプトの長所には、スプールのモジュラー性と、船舶の大きさにかかわらず標準のスプールが使える点がある。また、スプールを船体に搭載する作業も、かなり単純なものとなるはずである。欠点はシステムの重量である。数字は明らかになっていないが、このシステムはCoselleコンセプトと同様の重量となると考えられる。加えて、ガスを-10℃に保つための冷却装置が必要となる。
 
開発者はこの技術の利用に関心を持つ企業を探している。
 
3.8 プロジェクトの要約
 7つのCNG輸送プロジェクトについて、主張な点を比較した要約を以下に示す。
 
CNGプロジェクト比較
CNGプロジェクト 格納システム 格納
温度
/圧力
特許 主な長所 主な
短所
パートナー 開発の進捗状況
Williams 薄壁の6.625インチ口径パイプをコイル状に巻き、直径47〜50ft、高さ11.25〜16ftのカルーセルにして、これを連結する 常温
275気圧
取得 標準型ライン・パイプを使用 巨大な重量 なし ABSが基本承認、試験用プロトタイプ・カルーセル建造の資金提供者を探している
EnerSea 窒素を充填した格納システム内に36〜42インチ口径のスチール・パイプを収納 0〜-25℃
140気圧
取得 パイプ重量に対して貯蔵ガス量が大きい 冷却装置が必要 Hyundai/K Line ABSが基本承認、ガスの販売・購入契約を探している
Knutsen 標準的なオフショア用42インチ口径パイプを使ったスチール製シリンダーを縦に並べて連結 常温
250気圧
不明 標準型オフショア用パイプを利用したシンプルな設計 重量、船上での溶接作業 Europipe DNVの審査が起案中、2004年に第一船の発注が暫定的に予定されている
TransOcean 繊維強化プラスチック製44インチ口径、長さ40ftのシリンダーをカセットにまとめる 常温
250気圧
取得 軽量格納システム この種の利用が立証されていない General Dynamics ABSからの基本承認待ち
CNG Solutions 着脱型全長400ftのモジュール。16〜42インチ口径の高降伏点鋼管を連続的に環状に巻いたもの。 -20℃
125気圧
出願 格納システムと船舶コストが低い 冷却装置が必要 なし コンセプトを売り込み中
TansCanada 長さ80ft、42インチ口径の複合強化シリンダーで構成されるガス輸送モジュール 常温
200気圧
取得 軽量格納システム この種の利用が立証されていない、 NCF Industries ABSが内陸河川用バージ向けGTMシステムを承認。Lloydsが船舶用基本承認
C-Natural Gas 高強度の標準型8、10,12インチ口径ライン・パイプを直径32mのスプールに巻いたユニット -10℃
230気圧
取得 様々なサイズの船で利用できるモジュラー性 格納システムの重量 なし 技術に関心のある企業を募集中
 
4. 石油・ガス田におけるFPSO上での液化、またはGTL生産
 本章では、FPSOと石油/LNGまたは石油/GTL生産のコンビネーションの開発に関して現在進行中のプロジェクト2件を概説する。
 
4.1 Shell FONGプロジェクト
 浮体式LNG(FLNG: Floating Liquefied Natural Gas)生産技術開発の先駆者であるShellは、陸上の液化設備までのパイプライン輸送が経済的ではない大型の海洋ガス田での利用をめざした大型浮体式LNG生産施設の設計開発を行っている。同社は1990年代初期からこのコンセプトの開発を手がけている。現在、浮体式LNGプラント設計を利用したいくつかのプロジェクトが進行中であり、そのうち最も注目に値するのがティモール海のSunriseプロジェクトである。
 
 最近、Shellはオフショア石油・ガス田で兼用システムとして石油とLNGの両方を生産する能力のある大型浮体式生産施設の開発、建造計画を発表した。FONG(Floating Oil and Natural Gas: 浮体式石油・天然ガス生産施設)コンセプトは独立型浮体式LNG生産施設コンセプトのバリエーションのひとつである。Shellは1999年にFONGコンセプトの開発に着手した。
 
 FONG開発の動因のひとつとして、設計研究の結果、液化用の処理装置を大幅に小型化することができたことが挙げられる。また、随伴ガスを伴う遠隔大水深油田からのガスを出荷するための輸送手段を開発する必要性が高まったこともある。Shellは液化に必要な装置が新しい設計プロセスにより約30%減ったとし、西アフリカ、ブラジル沖、カリブ海、南シナ海の随伴ガスを伴う油田が当該技術の利用に適していると考えている。
 
 FONG生産ユニットのサイズは、全長約400m、幅70m、型深さ36mである。初期の設計では、日量85,000バレルの石油を生産し、8,500万cf(約240万m3)のガスをLNG化する能力を有することとされている。船上の貯蔵能力は石油150万バレル、160,000m3のLNGである。LNG貯蔵は積み出しサイクルの間、3〜6週間の生産分を貯蔵するようになっている。
 
 生産ユニットは、様々な油・ガス田で使用することができるように設計されており、特定の油・ガス田の要件にあわせて生産モジュールを追加することができる。特定のフィールド向け仕様設計ではないため、利用されている油・ガス田が涸渇した後は別のフィールドで再利用することができる。
 
FONG
出典:Shell
 
 暫定的な計画では、エンド・ツー・エンド・タンデム方式ではなく、横づけドッキングでFONGから積み出しを行うことになっている。Shellは縦タンデム方式は複雑でコストがかかると考えている。予定されているFONGユニットのサイズであれば、穏やかな海象においてLNGの横づけ積み出しができる。Shellは、横付け積み出し用シャトル・タンカーはドッキング時においてFONGユニットに最大波高2.5mまでタイ・アップ可能であり、ドッキング後、最大波高3.5mまでタイ・アップを維持できると主張している。しかし、厳しい海象でのタンデム積み出し用LNG積み出しアームを設計したSBMによれば、エンド・ツー・エンド・タンデム積み出しシステムの方がFONGオペレーションの信頼性と安全性を高めるとしている。
 
 Shellによれば、FONG生産ユニットは同等の能力のFPSO船よりも20%コスト高になる。しかし、5章で示すように、この数字は非現実的である。石油とLNGの両方を生産する能力のある船舶のコストは、石油だけを生産するユニットよりも大幅に高いものとなると考えられる。
 
 ShellのFONG開発プロジェクト責任者によれば、FONGユニットは随伴ガスの割合の大きい遠隔海域の限界生産油田を開発するのに理想的とのことである。
 
 最初の計画では、FONG生産施設の建造と設置に4〜5年のリードタイムを取っている。コンセプトの発表にあたって、ShellはFONG第一号は2007〜2008年には稼動することを期待している。しかし、この予定は非常に強気だと考えられる。
 
4.2 Izarの石油及びGTL製品FPSO
 Izar Feneは大量の石油及びGTL製品を生産、貯蔵することのできるFPSOコンセプトを開発し、広く宣伝している。このコンセプトは開発のごく初期段階にあるが、随伴ガスを伴う油田に商業化の解決策となる可能性がある。
 
 このコンセプトは、350m×100m×32mの超大型浮体式生産システム(ULFPS)構想である。この規模のULFPOならば、石油とGTLの両方の生産用処理装置を搭載するのに十分な60,000m2のデッキ面積と、450万バレルの貯蔵能力を供給することが可能である。Izarは当該ユニットの上部構造物の重量は約60,000tとなると推定している。ユーティリティは石油とGLTの生産施設で共有する。生産ユニット上では船首外付けタレットを利用する。
 
超大型浮体式生産システム
出典:Offshore Magazine
 
 本コンセプトのバリエーションは、2つの個別のユニットを建造し、前方ユニットにエクスターナル・タレットを搭載して、タンデムに係留するものである。それぞれのユニットは約300m×58m×32mであり、デッキ面積は30,000m2となる。一方のユニットで原油を処理し、もう一方のユニットでGTLの生産を行う。2つのユニットは、すべての海象で衝突しない距離を保てるように設計されたarticulated arm spring linkで連結される。
 
 Izarは、オランダのMarin Research Instituteが本コンセプトのコンピューター・シミュレーションを実施したとしている。しかし、本プロジェクトがコンセプト開発のごく初期段階にあることは明らかであり、プロジェクトのフィージビリティを判断するために十分な技術的、経済的評価を実施する段階に達するまでには、さらに多くの作業が必要となるであろう。
 
Articulated arm spring link
出典:Offshore Magazine
 

12 Pigging: パイプライン洗浄方法のひとつ。ゴム製の弾丸状の器具を管内に挿入、水圧、または空気圧で発射することにより、パイプ壁を洗浄する。







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