日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

国際海事情報シリーズ83 太平洋諸国(オセアニア諸国)における新規造船需要と経済協力に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


2. ミクロネシア連邦
(拡大画面:105KB)
 
2-1. 概況
 ミクロネシア連邦は、赤道のすぐ北側、ハワイの西約5,000kmの西太平洋に位置する607個の島々から成る国である。1947年以来、マーシャル、パラオ、北マリアナとともに、米国を施政権者とする国連の太平洋諸島信託統治地域の一部を構成していたが、1986年に米国との自由連合国家に移行し、独立国家となった。
 
 ミクロネシアは現在、ポンペイ、チューク、ヤップ、及びコスラエの4つの州で構成されている。これらの州は、言語、習慣等を異にしていることもあり、それぞれが港や他の経済基盤の管轄を含め、独自に各領域を統治しているため、政府による雇用、議会の委員長の配分等は総て州の人口比に応じて行われている。大統領も、紳士協定により、各州の輪番制とされているが、必ずしも厳格に適用されているわけではない。政府の課題は種々の面で各州間の利害関係を調整しつつ、如何に経済開発を進め、自立可能な経済を構築するかにある。
 
 ミクロネシア連邦政府に与えられている権限は、他国との契約の調印、海外及び各州間の商業活動の管理等である。環礁内のみで行われる航行や船舶輸送は各州の管轄となる。例えば、チューク州では水先案内料は他の3州よりはるかに高くなっている。こうした連邦政府、州政府による分業体制は、各州の利益のバランスをとる上で重要であるが、問題も生じている。それは、海洋汚染防止に関する国際的な海事協定に関するものである。ミクロネシア連邦政府による交渉が行われてきたものの港は依然として州政府の管轄となっており、ミクロネシア連邦政府が同意した政策を実施するにあたって州政府からの抵抗が生じている。
 
 経済面では、ミクロネシアは農業(コプラ)と漁業を除き見るべき産業は存在していない。貨幣経済と伝統的自給経済が混在。国内の生産性は高くなく、生活必需品の多くを輸入に依存しており、貿易収支は恒常的に赤字。連邦政府歳入の約5割(連邦・州合計歳入の約7割)は自由連合盟約に基づく米からの財政援助に依存している。しかし、2001年以降、自由連合盟約の改定に伴う援助の段階的削減されているため、アジア開発銀行(ADB)の指導の下、政府部門の縮小、民間セクター育成等経済構造改革に努めている。
 
一般事情
1. 面積 701km2 (奄美大島とほぼ同じ)
2. 人口 122,400人 (2002年、世銀)
3. 首都 パリキール (1989年11月、コロニアより遷都)
4. 人種 ミクロネシア系
5. 言語 英語及び原地の8言語
6. 宗教 キリスト教 (プロテスタント及びカトリック)
政治体制・内政
1. 政体 大統領制
(各州1名ずつ選出の4年任期議員4名の中から全議員により選出)
2. 元首 ジョセフ・J・ウルセマル大統領 (Joseph J. Urusemal)
2003年5月11日選出(1期4年)
3. 議会 一院制 (4年任期議員4名、2年任期議員10名 (チューク (旧称トラック) 州5名、ポンペイ (旧称ポナペ) 州3名、ヤップ州・コスラエ州1名) (前回選挙は2003年3月4日)
4. 行政府 (閣僚は大統領が任命、議会が承認)
(1)大統領 ジョセフ・J・ウルセマル(Joseph J. Urusemal)(ヤップ州出身)
(2)外務大臣 イエスケ・K・イエシ(Ieske K. Iehsi)(ポンペイ州出身)
経済(単位:米ドル)
1. 主要産業 農業 (ココナツ、タロイモ、バナナ等)、水産業
2. GDP 232.1百万ドル (2002、世銀)
3. 一人当たりGDP 1,896ドル(2001年、世銀)
4. 経済成長率 1998年:-2.3% 2001年:0.9%。2002年:2.0% (世銀)
5. 物価上昇率 -0.5% (1998年、ミクロネシア政府統計)
6. 総貿易額(ミクロネシア政府統計) (1)輸出 212.8万米ドル(99年)
(2)輸入 1,232.8万米ドル(99年)
7. 貿易品目(99年) (1)輸出
魚類、バナナ、コプラ、ココナッツ製品
(2)輸入
食料品、機械・車輌、工業製品、石油製品
8. 貿易相手国(96年)
(99年)
(1)輸出 日本(79.0%)、米(18.3%)
(2)輸入 米(43.8%)、豪(19.8%)、日本(12.4%)
9. 通貨 米ドル
日本との関係
1. 政治関係 1988年12月 日本との外交関係開設
1989年5月 在本邦ミクロネシア連邦大使館開設
1995年1月 在ミクロネシア日本大使館開設
(大使は駐フィジー大使が兼任)
2. 日本との経済関係 (1)日本の対ミクロネシア貿易(2001年財務省)
(イ)貿易額
 輸出 8.87百万ドル
 輸入 20.99百万ドル
(ロ)主要品目
 輸出 自動車、機械類、食料品
 輸入 魚介類
(2)進出日系企業 12社(2002年7月現在)
3. 在留邦人数 137名 (2001年10月現在)
 
2-2. 政府の海上輸送に関する方針
 ミクロネシア連邦の海事産業を管轄する主要部署は通信建設・運輸省であり、その中で海事運輸部が主管部署となっている。また、ミクロネシア連邦政府には水産庁がある。
 
 ミクロネシア連邦には4つの州政府があるが、海運については運輸省あるいは公共事業部のいずれかにより管理されている。これらの部門には海運部あるいは州港湾局があり、領域内の港及び波止場を管轄している。
 
 ミクロネシア連邦政府は2000年に、国の経済振興のための長期計画を策定した。この長期計画には貨物、渡船運行及び国有漁船を含む、海洋資源産業の開発と輸送部門の民営化が盛り込まれている。
 
 しかし、政府はこれまで、小規模市場では収入が見込めない荒廃した施設や中古船等を高い料金で売却しようとしていたため、民営化政策はほとんど実施されていない。
 
 ミクロネシア連邦政府はマグロの豊かな200マイルの排他的経済水域(EEZ)で捕獲を行う外国漁船への免許発行を行っている。現在、100隻以上の巾着網漁船と300隻の延縄船がこの水域で漁業を行っている。
 
 ミクロネシア連邦の国家目標の1つは、同国が今後その資源の開発と管理により深く関与していくことである。この目標を達成するために、ミクロネシア連邦漁業公社(National Fisheries Corporation)は、合弁事業や他国政府及び水産業界と、より緊密な協力関係を求めている。
 
 またミクロネシア連邦漁業公社は、外国漁船による捕獲したマグロの積み替えをミクロネシア連邦で行うよう促進している。ミクロネシア連邦漁業公社では、ミクロネシア連邦の各州に対して合理的かつ画一なアレンジメントを提供している。
 
2-3. 政府による援助と産業促進
 ミクロネシア連邦政府は、「統治の緩い」と言われているが、これは経済や産業開発援助及び促進活動の大部分が、実際には比較的小規模の州政府によって実施されていることを意味する。
 
 これらの州政府には大型予算がないため、海上輸送産業への直接援助は限られている。各州の政府は島間の貨物輸送や旅客サービスについては州政府の所有する船を使用しているが、これは実質的に海上輸送産業においてこれ以上の関与が限界であることを示している。
 
 ミクロネシア連邦政府は島間の船舶運行を含め、国有の事業を民営化していく方針である。しかしこれら資産の相場は低く、むしろ政府が地域社会及び経済振興のためのサービスとして船を運行し続けた方が良いと感じているため、この方針は積極的には実施されていない。
 
2-4. 海上輸送産業
 ミクロネシア連邦の全4州が、ほぼすべての商業船舶に対応できる喫水の深い港を擁している。港の水深は40フィートから160フィート。それぞれの港ではコンテナ貨物の取扱いが可能であり、倉庫や積み替えに必要な施設を備えている。各種船会社が運行しており、通常月に1回の頻度で世界各地への輸送を行っている。
 
 ミクロネシア連邦では、マニラ及び米国からのフィリピン・ミクロネシアライン(PMO)、オーストラリアからのチーフ・コンテイナー・サービス、そして米国からのマトソン・ライン等、多数の国際船便が利用可能である。日本からは協和ラインが直行の船便を運行している。
 
 これらの船会社は21日ごとに4州全ての港に寄港する。また他の多くの船会社は、ミクロネシア連邦向け商品あるいは及びミクロネシアからの輸出品をグアムで積み替えている。
 
 ミクロネシア連邦には数多くの島が存在するが、人口が少ないということは、収益が見込まれる国内の島間航路は限られているということを意味する。これらの島々で商業船便あるいは政府の行政サービスとしての船便に使用されている伝統的な貨物船が4隻ある。これらの船はそれぞれ125人の乗客を収容できるが、今のところこれでは不十分である。一方、貨物積込用のスペースに関しては十二分であり、現在これらの船は多くの場合3分の1が空の状態で運行している。
 
 ミクロネシア連邦の船舶登録には35隻の船舶名が記録されており、そのすべてが州政府あるいはミクロネシア連邦政府が所有しているものである。内訳は以下の通り。
 
(1)ミクロネシア連邦、ソロモン諸島、ナウル、マーシャル諸島共和国、日本、韓国、フィリピン及びニュージーランドの領海外でミクロネシア連邦政府によって運用されているバラ積み貨物/客船4隻、及び上陸用舟艇1艘
(2)チューク州政府の海洋資源局(Marine Resource)が運行する貨物/客船1隻
(3)コスラエ政府が運行する貨物/客船1隻
(4)チューク州政府が所有し、主にトラック環礁で利用されている上陸用舟艇1艘
(5)ヤップ巾着網漁船公団(Yap Purse Seiner Corporation)が運行する巾着網漁船
(6)ミクロネシア連邦漁業公社ミクロネシアマグロ事業部(Micronesian Fresh Tuna Division)が運行する延縄漁船
(7)沿岸/巡視船4隻―その内3隻はミクロネシア連邦政府が運行、残り1隻はヤップ州政府が運行
 
各州の海上輸送産業
(1)チューク州
 チューク州では、900GRTの定員125人乗りの国有の貨物/乗客用超小型船が、需要に応じて月に4、5回、離島間を航行している。民間企業は、定員40人から50人のダイビングボート(日帰りのみ)を3隻所有、運行している。マグロ漁に使う延縄船は給油のためにチュークに寄港している。
 
(2)ヤップ州
 ヤップ州には172フィートの国有船「Micro Spirit」があり、定員125人及び250tのバラ積貨物を運ぶ能力を有している。ポンペイまで(約600マイル)の船賃は甲板船客1人あたり20米ドルであるが、貨物輸送に関しては1tあたり40米ドルとなっている。この船は定期運行をしておらず、その航路も純粋に貨物や乗客輸送の需要と供給の関係に基づいて決定される。
 
 しかし、この船は通常2カ月に1度、ヤップ沖の離島16島へ航行している。もう一隻の国有船「MV Caroline Voyager」は、2カ月毎に最高150人の乗客と少量の貨物を乗せ、ポンペイとチューク、ヤップ間を航行している。
 
 また、ヤップを母港とする3隻の小型ダイビング船がある。これらの双胴型アルミ船は、最大20人の乗客を運ぶことができ、チャーターベースで運行している。
 
 ミクロネシア連邦漁業海事協会(FSMFMI)は、1960年代後半に合衆国沿岸警備隊によってヤップ島内に建設され1985年にグアムに移転した、前ロラン詰所に位置している。FSMFMIでは基本的な安全管理レベルから、超小型船の配乗では最高レベルの4級マスターや4級エンジニアレベルまで、様々なコースを提供している。
 
(3)コスラエ州
 コスラエ州では、国有の客船や貨物船はなく、1980年代に建設された500フィート(喫水10m)の波止場は、主に3週間毎にこの地域を通過する国際航海船舶(PMOや協和ラインズの船舶等)に使用されている。
 
 国内の航空便は乗客の輸送に関しては船舶輸送を超えたが、各州間の貿易、特に過去にその販売が非常に成功していたオレンジやタンジェリン等の生鮮果物の取り扱いについては、国内の貨物船が重要であると思われる。国有のマグロ加工企業である「パシフィック・ツナ」は、船便の不足とコスラエからポンペイまたはその先まで運行している旅客機に十分なスペースがないため、現在閉鎖している。
 
(4)ポンペイ州
 首都パリキールが立地しているポンペイ州には2つの波止場がある。この波止場は両方とも長さ500mで、1つは一般商船に使用されている。2001年に建造されたもう1つの波止場は、ポンペイ漁業公社の加工場で、マグロの積み下ろし専用ドックとして使用されている。ポンペイ州政府の管轄下にあるポンペイ漁業公社は船舶を全く所有しておらず、延縄で捕獲されたマグロの加工のみに携わっている。米国食品医薬品局から認定を取得した後、同公社は現在3週間毎に干肉を米国へ輸出しており(約12tあるいはコンテナ1個)、冷凍マグロ干し肉の処理、包装を行っている。日本人バイヤーからこれらの製品、特に冷凍干し肉に大きな関心が寄せられたが、ミクロネシア連邦からの貨物輸送費用が高く、日本市場における競争力はなかった。州政府は過去3回にわたって船舶の運航を民営化するための積極的な努力を展開したが、このプロジェクトから最大の利益を確保しようとしたため、また、入札価格が低かったため、実現しなかった。
 
 現在、チューク州から運行されている船上生活が可能なクルーズ/潜水船が1隻ある。この船「MV Thornfinn」は1100GRT、2名用船室を使用して22名の乗客を宿泊させることができる。これは、チュークのトラック環礁から6泊7日のクルーズを催行しており、1日に3回のダイビング、全食事、ダイビング器材のレンタルと空港までの送迎が含まれている。このクルーズの1人あたりの費用は1,195米ドル。この船の詳しい仕様については付録3を参照







サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
1,066位
(32,233成果物中)

成果物アクセス数
9,264

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2020年5月23日

関連する他の成果物

1.Shipbuilding in Japan 2003
2.中国造船業の概要<2002年>
3.中国造船業の概要<揚子江流域>
4.2003年度 欧州造船政策動向調査
5.中国主要海運企業の概要と事業展開に関する調査
6.中国主要造船企業の概要と事業展開に関する調査
7.国際海事情報シリーズ76 タイ国におけるフェリー網整備に関する調査
8.国際海事情報シリーズ77 米国における次世代水上交通システム構築に関する調査
9.国際海事情報シリーズ78 米国における舶用ベンチャーの事業化支援制度に関する調査
10.国際海事情報シリーズ79 欧州における航海機器のシステム化の現状と動向に関する調査
11.国際海事情報シリーズ80 天然ガスの新たな輸送方式に関する調査
12.国際海事情報シリーズ81 欧州の国家造船業を支援するEUの諸政策
13.国際海事情報シリーズ82 欧州舶用関連企業による対中国戦略に関する実態調査
14.国際海事情報シリーズ84 欧州造船業を巡る知的財産権とその保護-英国を中心として-
15.国際海事情報シリーズ85 最近の米国の海洋政策策定の動向
16.国際海事情報シリーズ86 東南アジアにおける内航船の安全・環境規制に関する調査
17.国際海事情報シリーズ87 アフリカ諸国造船需要動向調査
18.国際会議「地球未来への企画“海を護る”」
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から