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国際海事情報シリーズ83 太平洋諸国(オセアニア諸国)における新規造船需要と経済協力に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


6-2. 政府の海上輸送に関する方針
 2000年のクーデター以来、ソロモン諸島政府は適切な活動を行っていない。政府の各部署はまともに機能しておらず、大臣は方針の整備よりもむしろ生存に焦点を合わせている。
 
 その結果、海上輸送方針の総合的な取り組み方に関しては大きな変化はなく、政府の資金不足が海運業界の実際の経営に悪影響を与えた。
 
 ソロモン諸島政府は、かつては効果的な島間の船舶輸送サービスを優先していた。離島に住んでいるほとんどの人々は、コプラとココアの販売から得られる収入に依存しており、これらの貨物は船舶で首都のホニアラ、あるいは西部州のノロ港に輸送する必要がある。これらの貨物は商品輸出販売局(Commodities Export Marketing Authority (CEMA))が取り扱っており、商業的に存続が可能な船舶サービスと助成金により島間の輸送サービスを提供するため、国有の海運業者、ナショナル・シッピングサービス社(National Shipping Service Limited(NSSL))が設立されていた。
 
 2000年に経済上、政治上の分裂が生じて以来、このアプローチには変化が生じている。貨物の整理統合と輸出におけるCEMAの役割は撤廃され、現在は方針を策定しているにすぎない。コプラの輸出ライセンスが多くの民間企業に発行され、貨物輸送コストに対する補助金は撤廃された。またNSSLは運輸活動の効率性を向上させるために廃止され、現在、島間の海上輸送と旅客サービスは主に数社の民間企業と地方(州)政府が一部所有する海運業者によって運営されている。
 
 ソロモン諸島政府は海運産業の重要性を認識し、台湾から提供された援助金は海運業者数社に対し支援を目的として割り当てられた。しかし全体的に見て、政府の財務状態が芳しくないため、政府の諸政策において明確な方向性が打ち出されていない。
 
 最も注目に値する動きは、欧州連合(EU)が1,000万ユーロをかけて全国的な港の建設とリハビリテーションプロジェクトを推進するという最近の発表である。EUはすでに工事会社を選定しており、このプログラムは2年間かけて国内の小規模な荷揚げ/積み込み設備を改善していく。
 
 海運政策の策定及び実施を管轄する省庁は基盤設備開発省(Ministry of Infrastructure and Development)である。同省の海事課は以下を担当する。
 
(1)捜索救難
(2)安全な航行
(3)船舶調査と認定
(4)船の登録
(5)高級船員と下級船員の登録
 
 1998年にソロモン諸島政府によって船舶輸送に関する法案が可決され、主要な国際海事機構合意が正式に有効となった。しかし、海事課には国内船の点検、監視を行うための十分な人的資源がない。EUは、別の海事当局を設立し海事課の業務を引き継ぐよう勧めているが、援助供与国からかなりの技術支援が受けられなければ、このような海事当局は有効に機能しないと思われる。
 
 ソロモン諸島の2つの輸入/輸出港、ホニアラとノロはソロモン諸島港湾局(SIPA)によって管理されている。SIPAは国有の社団法人であり今後利益を上げることが予測されている。2000年と2001年の経済崩壊に引き続き、2つの港における貨物取扱量が50%以上下がったため、SIPAの収入は減少した。それにもかかわらずSIPAは存続しており、港はかなり効率的に機能している。
 
6-3. 政府による援助と海運産業の振興
 前述したように、ソロモン諸島の海事産業に対する国庫補助はほぼ完全に止まっている。政府の財政状態が悪いため、実用的な援助の提供ができなくなり、公益事業が崩壊したことで産業への援助も縮小した。
 
 いくつかの地方(州)政府は、その地域で船舶輸送サービスを提供する運送会社の株を所有している。これらの州政府も財務状態が非常に悪化しているため、こうした企業の船舶運行に対して実質的な援助を提供することができない。
 
 ソロモン諸島政府は、海事産業を援助、強化していきたいとしているが、有効な支援プログラムを推進していくだけの財政的、人的資源や制度的資産がない。こうしたプログラムを実施するには、財政的にも技術的にも援助供与国に依存しなければならないだろう。
 
6-4. 海上輸送産業
 2000年以前には、ソロモン諸島には登録船を全て合わせて約2万2,000GRTに上る170隻の船が存在した。ソロモン諸島はパプアニューギニアを除き、太平洋諸島で最大の船舶保有国であった。
 
 ここ数年間にわたって、企業数とソロモン諸島の領海で運行する船舶数の両方が減少してきている。残存している海運業者は次のような背景から、その経営に苦しんでいる。
 
(1)ソロモン諸島の通貨価値が大幅に下がったことにより、各種コスト、特に燃料コストが増大したこと
(2)コプラ売買事業の破綻と全体的な経済の停滞の結果、貨物輸送量が減少したこと
(3)景気の停滞により乗客の数が減少したこと
 
 残存している運航業者の大部分は財務状態が非常に悪化しており、老朽船の適切な整備が不可能である。現在も運行を行っている主な海運業者は以下の通り。
 
州政府が所有する運航業者
(1)マライタ・シッピング・カンパニー社(Malaita Shipping Company)
 同社は3隻の船、すなわちRamos1号、2号、3号を運行している。経営は困難に陥っており、国家準備基金から同社に400万ソロモン・ドルが貸し出されたが、これにより事業の清算が勧告された。
(2)テモツ・シッピング・ライン社(Temotu Shipping Line Limited)
 同社はホニアラとテルマツ州の間で1隻の船を運行しているが、これはもはや収益のあがる航路ではない。同社はホニアラと西部州の間の航路で貨物輸送及び旅客サービスから収益を上げている。
(3)マキラ州
 マキラ州はホニアラとマキラの間で224GRTの客船兼貨物船を運行している。
(4)イサベル開発公社(Isabel Development Corporation)
 同社はイサベル州民によって所有され、ホニアラとイサベルの間で2隻の船を運行している(また時として、西部州への航行も行っている)。
 
民間の運航業者
(1)マークワース・シッピング社(Markwarth Shipping)
 同社は最大の大型貨物船3隻を運行している。同社はCEMAとの長期用船契約があったが、現在はコプラの輸送業務を請け負っていない。
(2)ウイングズ・シッピング社(Wings Shipping)
 同社はマライタ、マキラ、ホニアラと西部州のギゾの間で旅客サービスを取り扱っている。
 
 また、各州間で客船及び貨物船を運航する小規模な運航業者が数多く存在する。ナショナル・シッピング・サービス社は現在運航していない。
 
 1998年以来、船籍は公式に更新されていないが、以下は1998年に運行していた主な船の概要である。
 
表2. ソロモン諸島の主な船タイプのカテゴリ(1998年)
カテゴリ GRT 建造年 船名 所有者
貨物船
+/-300gt
332
297
343
1987
1962
1970
Elisabeth Ann
Marthalina
Mawo 3
Markworth
Markworth
Markworth
+/-140gt 168
154
123
114
1984
1972
1986
1984
Liofai
Regina
Mavara
Sa'alia
Olifasia
Markworth
Mavara/Celestino
Masfaita
+/-50g 63
59
59
50
45
48
1997
1977
1975
1958
1978
1983
Henry Noda
Aeedilyn
Tana
Fern
Tulagi
Memory
Nodosala & Sons
Masfaita/John Fera
Velaviru
Isabel DC
Markworth
Mr Billy Mae
客船/貨物船
+/-100gt
105
105
90
90
86
1970
1970
1987
1987
1961
Kangava
Leili
Vele
Francis Verena
Southern Cross
Guadancanal Prov
NSSL
NSSL
Francis Sawane
Church of Melanesia
+/-50gt 62
58
45
43
43
42
42
41
39
38
1984
1978
1978
1971
1971
1957
1957
1970
1965
1972
Kopuria
Thomasi E
Avi
Akolova
Atawa
Mala Twomey
Ozamu Twomey
Wango
Florida II
Wataro
Ch. of Melanesia
Sasape Marine
Markworth
Akolova Property
Sasape Marina
Ian Gower
United Church
Guadancanal Prov.
Florida Shpg
A Gurusa
客船
+/-200gt
169 1970 Compass Rose Wings
+/-90gt 96
91
90
100
1981
1993
1988
1987
Ramos II
Ocean Express
Ligomo IV
King Solomon
Malita
Ocean Express
Isabel DC
Wings
+/-15gt 17
16
14
12
1987
1968
1987
1994
Sasamola
Azuma No 2
Caroline
Berjaya Star
Allardyce
Solomon Taiyo
Lui Tigita
Star Harbour
 
 島間を結ぶ船舶が輸送した貨物に関する最新の統計は発表されていない。しかし、商品取引が破綻し全体的に景気が停滞しているため、2000年以来、取扱量が60%以上減少したと見られる。
 
 1998年の乗客輸送及び貨物輸送に対する1年間の需要予測は以下の通り。
 
(1)乗客輸送 231,000人
(2)一般貨物輸送 9万6,000t
(3)コプラ輸送 2万5,000t
(4)石油製品輸送 18万5,000個のドラム缶
 
 州ごとにまとめた島間の交通量の分布は以下の通り。
 
表3. 各州の交通量の分布
州名 乗客輸送(%) 一般貨物輸送(%) コプラ(%) ドラム缶入り石油(%)
西部州 25.3 17.0 20.9 24.1
ガダルカナル州 9.4 7.4 8.1 7.8
マライタ州 39.1 25.4 25.8 24.9
他の内側の島 24.1 42.2 38.0 37.9
離れ島 2.1 8.0 7.2 5.3
 
 1998年のソロモン諸島の主要ルートにおける旅客輸送量は以下の表に記載されている。また、これらの数字は2002年までに少なくとも50%減少したと思われるが、経済や治安が回復すれば、以下と同様の旅客輸送量が期待できるであろう。
 
表4. 主な島間ルートにおける現在の旅客輸送(1988年)
ルート 企業 乗客数
見込み/年
ホニアラ・アウキ マライタ・シッピング Ramos 1 65,268
ホニアラ・西部 ウィングス・シッピング
マライタ・シッピング
Luminau
Ramos 1
42,200
5,016
48,216
ホニアラ・南部マライタ マライタ・シッピング
NSSL
Ramos 1
Butai
5,328
1,942
7,270
ホニアラ・北東マライタ マライタ・シッピング
ウィングス・シッピング
Ramos 1
Solomon King
4,176
5,520
9,696
ホニアラ・オントジャワ NSSL Belama 660
ホニアラ・シカイアナ NSSL Baruku/Belama 126
ホニアラ・レンネル/ベローナ NSSL Leili 1,132
ホニアラ・イサベル
(ブアラ)
ホニアラ・イサベル
(キア)
ホニアラ・イサベル
(ババヘイロ)
イザベル・シッピング

イザベル・シッピング

イザベル・シッピング
Ligomo 4

Logomo 4

Ligomo 4
5,500

4,000

4,000
ホニアラ・イサベル ウィングス・シッピング King Solomon 3,120
16,620
ホニアラ・ショアズール
ホニアラ・ショアズール (北)
ウィングス・シッピング
NSSL
NSSL
King Solomon
Baruku/Beloma
Baruku
4,320
363
1,055
ホニアラ・ショアズール
(南)
    5,738
ホニアラ・ガダルカナル ウィングス・シッピング
ガダルカナル
ガダルカナル
King Solomon/Compass Rose 2
Kangava
Wango
1,560
2,240
1,400
5,200
ホニアラ・マキラ
ホニアラ・マキラ1周
ホニアラ・マキラ(南)
ホニアラ・マキラ(北)
ウィングス・シッピング
NSSL
NSSL
NSSL
Compass Rose 2
Various
Various
Vele
2,760
2,078
883
938
6,659
ホニアラ・テモル NSSL Baruku 3,175







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