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自閉症・発達障害の行動評価チェックリストとマニュアル2004

 事業名 自閉症児者のための環境整備推進
 団体名 日本自閉症協会 注目度注目度5


PARS研修資料
・辻井正次 (中京大学)
・行広隆次 (京都学園大学)
・安達潤 (北海道教育大学旭川校)
・市川宏伸 (梅ヶ丘病院)
・井上雅彦 (兵庫教育大学)
・内山登紀夫 (大妻女子大学)
・神尾陽子 (九州大学)
・栗田広 (東京大学)
・杉山登志郎 (あいち小児医療保健総合センター)
・小川浩 (大妻女子大学)
・別府哲 (岐阜大学)
 
PARSについて
・PARS(PDD-ASJ Rating Scales)
・広汎性発達障害評定尺度(PARS)は、広汎性発達障害児者の行動理解を進め、彼らの支援を可能にしていくために、日常の行動の視点から、平易に評定できる尺度を作成することを目指して作成した。
 
・PARSの説明の前に、既存の評価尺度を二つ紹介する。(CARSとM-CHAT)
 
既存の評価尺度:CARS(1)
・CARSとは、“Childhood Autism Rating Scale”の略で、邦訳は「小児自閉症評定尺度」である。
・自閉症児と自閉症候群以外の発達障害児とを鑑別するために開発された物で、15項目からなる行動を通して評定する尺度である。
・15項目の各々について、その行動の異常性の程度(正常範囲・軽度・中度・重度)を、0.5点間隔の1点から4点という7段階で評定する。
・15項目の評定値合計によって、1)自閉症ではない、2)軽・中度自閉症、3)重度自閉症、の3タイプを鑑別する。
 
既存の評価尺度:CARS(2)
・CARSの15項目とは、1)人との関係、2)模倣、3)情緒反応、4)身体の使い方、5)物の扱い方、6)変化への適応、7)視覚による反応、8)聴覚による反応、9)味覚・嗅覚・触覚反応とその使い方、10)恐れや不安、11)言語性のコミュニケーション、12)非言語性のコミュニケーション、13)活動水準、14)知的機能の水準とバランス、15)全体的な印象、である。
・これらの項目について、本人の観察や、家族からの聞き取りによっても、評定が可能なように尺度が構成されている。
 
既存の評価尺度:CARS(3)
・評定基準のサンプル[人との関係]
・軽度の異常(部分抜粋)
 子どもは大人とのアイコンタクトを避けるかもしれない。相互交渉を子どもに強く求める場合、大人を避けるか、興奮することがある。
・中度の異常(部分抜粋)
 子どもはときどきよそよそしく見える(まるで大人に気がついていないかのように見える)。子どもの側からの接触は非常に少ない。接触は、たいてい空虚で感情を伴っていない。
・重度の異常(部分抜粋)
 いつも子どもはよそよそしくしているか、大人のやっていることに無関心である。子どもの注意を得るためには、非常に強力な働きかけを持続して繰り返さないと効果がない。
 
既存の評価尺度:CARS(4)
・評定値判断の基準
1点:同年齢の子どもと比べて、正常範囲の行動。
1.5点:〜〜、ごく軽度の異常を示す行動。
2点:〜〜、軽度の異常を示す行動。
2.5点:〜〜、軽度と中度の中間程度の異常を示す行動。
3点:〜〜、中度の異常を示す行動。
3.5点:〜〜、中度と重度の中間程度の異常を示す行動。
4点:〜〜、重度の異常を示す行動。
・総得点による自閉症度の判定
1)15〜29.5点=自閉症ではない。
2)30〜36.5点=軽・中度自閉症。
3)37〜60点=重度自閉症
 
既存の評価尺度:CARS(5)
・評定基準のサンプル[模倣]
・軽度の異常
 子どもは、手を叩くことや単一音のような簡単な行動なら、大抵模倣する。ときどき子どもは、再度促されたり、時間が経ってからでないと模倣しないこともある。
・中度の異常
 子どもは、ごくわずかな模倣しかしないし、それを引き出すためには何回もの指示や手助けなど、大変な努力が要求される。模倣はしばしば遅延する。
・重度の異常
 こちらからの促しや援助があったとしても、発音や言葉や動作の模倣をめったに、あるいはしない。
 
既存の評定尺度:CARS(6)
・CARSの問題点
・古典的な自閉症(カナータイプの自閉症)を想定した評定尺度であり、自閉症スペクトラム全体を視野に入れた評定尺度としては不適切。
・CARS-TV(東大グループのCARS翻訳版)を用いて、高機能の非定型自閉症と高機能の小児自閉症を比較した研究(Kanai et al., 2004)では、高機能非定型自閉症群のCARS得点平均が26.03±3.23であり、高機能小児自閉症群のCARS得点が28.26±3.64であった。
・すなわち、CARSでは自閉症スペクトラムの高機能群をチェックすることはできない。
・なぜなら、自閉症の症状は中核的障害が多面的に表現されたものであり、行動異常の質を問わねばならないから。
 
既存の評価尺度:M-CHAT(1)
・M-CHATとは、“The Modified Checklist for Autism in Toddlers”の略で、主に18ヶ月から36ヶ月の乳幼児を対象として自閉症スペクトラムとしての特徴を持っているか否かをスクリーニングするためのツールである。
・M-CHATは、質問紙だけでなく、電話面接、構造化フォロー面接も含まれており、家族との連携による家族教育、また心理援助の要素を十分に配慮している。
・スクリーニング質問紙の内容項目には、これまでにない優れた特徴がある。すなわち、言語発達より早い時期の対人行動に関わる早期兆候(すなわち、乳幼児期の自閉症スペクトラム障害に見られる社会性障害の現れ)を含んでいる。
 
既存の評価尺度:M-CHAT(2)
・M-CHATの質問項目(資料:付録1)
・23項目の中の重要6項目:
項目2、項目7、項目9、項目13、項目14、項目15
・23項目の不通過回答:
項目8、項目11、項目18、項目20、項目22 は「はい」が不通過。それ以外は「いいえ」が不通過。
・重要6項目の中の2項目以上が不通過。または全23項目の中の3項目以上が不通過ならば、診断面接が必要。
 
PARSの位置づけ(1)
・高機能自閉症やアスペルガーも含む、自閉症スペクトラム全体に利用可能な評定尺度として作成した。合併する知的障害の程度に関係なく、広汎性発達障害の程度が評定可能なものとした。
・各項目の評定ができるだけ簡便になるよう、3段階評定とした。
・広汎性発達障害の多面性を捉えられるように項目を構成した。CARSのように、障害を構成する各領域の困難度評定ではなく、各領域の障害が多面的現れ方それぞれについての顕著さの評定とした。
 
PARSの位置づけ(2)
・乳幼児期だけでなく、すべてのライフステージに渡って利用可能な尺度構成を試みた。
・社会性障害に関わる項目だけでなく、広汎性発達障害の程度および広汎性発達障害であることから来る適応困難度が評定可能なように、広汎性発達障害に関わる複数の障害領域からの尺度構成を試みた。
・PARSは診断ツールではなく、スクリーニングツールでもない。むしろライフステージに渡って、広汎性発達障害に由来する適応困難性の有無とその困難性の程度を評価するツールであり、その人がPDDとしての支援ニーズを持っているかどうかを把握するものである。
 
PARSの尺度構成
・項目の選定には、8名の自閉症・広汎性発達障害の臨床研究を専門とする10年以上の経験を持つ児童精神科医または発達臨床心理学者が担当し、対人、コミュニケーション、こだわり、常同行動、困難性、併発症、過敏性、その他(不器用)の8つの領域から、幼児期、児童期、思春期、成人期の4つの年齢段階に分けて、広汎性発達障害に特徴的と考えられる項目と、そうした行動があった場合に、支援の必要性や要介護度が高くなる項目を選択した。
 
項目数
・幼児期34項目、児童期34項目、思春期(以降)32項目を選んだ。そのうち、10項目は3つの年齢段階全てに重複する項目である。14項目は幼児期と児童期で重複する項目、19項目は児童期と思春期で重複する項目であり、重複を除くと、項目総数、計57項目をPARS尺度項目として選んだ。
・評定の仕方については、項目に示された行動の見られる頻度を、なし(0点)、多少目立つ(1点)、目立つ(2点)の3段階評定で評価を行なう。幼児期の場合は、幼児期のみを、児童期の場合は、幼児期と児童期の、思春期以降の場合は幼児期・児童期・思春期の3つの年齢段階全ての項目の評定を行なう。よって児童期・思春期では「回想による評定」を含む。
 
手続と現段階(1)
・小規模調査の実施:
・幼児期症例21名、児童期症例30名、思春期症例12例、計、63名を対象とした。
・評定者間信頼性の検討:評定者間の一致度を検討したところ、十分な一致度があった。
・尺度全体についての、評定者間信頼性を算出したところ、実質的な実施機関ごとの信頼性係数で .620から .970と、十分な信頼性係数を示した。
 
手続と現段階(2)
・調査II:
 PARSの尺度としての、信頼性、妥当性を検討し、PDD群と非PDD群とでの判別が可能であるか、可能な場合、カットオフスコアをどのように設定するかといった点について、検討を加えた。
・PDD群:幼児期62名、児童期143名、思春期(以降の)123例、計328名を対象とした。全国の5つのエリアにある医療機関に通院している、もしくは親の会に参加している広汎性発達障害児者で、調査の主旨を理解して協力した方を対象とした。
・非PDD群:幼児期31名、児童期70名、思春期45名、計155名を対象とした。非PDD群は定型発達とPDD以外の疾患を持つ非PDD臨床群で構成されている。
 
調査IIの結果[抜粋]
(幼児期データでタイプ分けしたもの)
・1)非PDD群では「該当なし」が大多数またはほとんどで、PDD群では「多少目立つ・目立つ」が多数の項目。
・2)非PDD群では「該当なし」が多く、PDD群では評定にバラツキが見られる項目。
・3)非PDD群で「多少目立つ」が少しあり、PDD群では「多少目立つ・目立つ」が多数の項目。
・4)非PDD群では「該当なし」がほとんどだが、PDD群でも「該当なし」が半数程度見られる項目。
・5)非PDD群とPDD群とであまり違いがはっきりしない項目







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更新日: 2020年11月21日

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