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平成17年度 セキュリティ強化の環境下における貿易手続簡易化特別委員会報告書

 事業名 セキュリティ強化に伴う貿易手続簡易化措置に関する調査研究
 団体名 日本貿易関係手続簡易化協会  


第3章 船舶の入出港に関するセキュリティー対策(ISPSコード)
 2001年9月11日に米国で発生した同時多発テロ事件は、海事分野(乗客・乗組員、積載貨物及び船舶・港湾施設)の保安に対する規制にも大きな影響を及ぼす契機となりました。国際海事機関(IMO: International Maritime Organization、以下IMOと言う)では、海事分野における保安対策に対する検討を重ね、2002年12月に開催された第55回海上人命安全条約(SOLAS条約)締約国政府会議において、SOLAS条約附属書の一部改正を全会一致で採択し、2004年7月1日に発効致しました。
 本章では、The International Ship and Port Facility Security Code(以下、ISPSコードと呼ぶ)の概要、ISPSコードを取り入れた国内法(国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律)の概要、ISPSコード関連EU Directive(Regulation(EC) No.725/2004)の概要及び今後の課題について記述致します。
 
3.1. 船舶及び港湾施設の保安に関する国際コード(ISPSコード)とは
3.1.1. 2002年12月12日付け決議文
 2002年12月12日に開催されたIMO常設委員会の一つである「海上安全委員会(MSC: Maritime Security Committee)」において、締約政府は、「1974年の海上における人命の安全のための国際条約締約政府会議の決議文」を採択しました。その決議文では、
 海上における安全と保安を高めるための特別手段に関し、現在改定されている1974年の海上における人命の安全のための国際条約に対する修正を採択し(以下、「条約」という)、
 条約の新しい第11章−2では、船舶及び港湾施設の保安の国際コード(ISPSコード)を参照し、船舶、会社及び港湾施設に対してISPSコードの第A部に規定されているように、船舶及び港湾施設の保安の国際コードの第A部の該当する要件に適合することを求めていることを考慮し、
 先述の章の締約政府による実施は、海上における安全及び保安を高め、及び本船と陸上の安全及び保安のセーフガードに大いに貢献するという認識で、
 国際海事機関の第75回、第76回会議で検討、採択された海上安全委員会で用意された船舶及び港湾施設の保安に関する国際コードの素案を考慮して、
1. 船舶及び港湾施設の保安に関する国際コード(以下、「コード」という)を採択する、尚、当コードの文章は、当決議文の附属書に記述してある
2. 締約政府に対してコードの新たな第11章−2が有効となる2004年7月1日にコードが発効することを言及するように頼み、
3. 海上安全委員会が必要に応じて、コードの見直し及び修正を行うことを要求し、
4. 機構の事務総長に、当決議文の認定された写しと附属書に含まれている当コードの本文を条約のすべての締約政府に送付することを求め、
5. 更に事務総長に、条約の締約政府でない当機関のすべてのメンバー国にも決議文の写しと付属書を送付することを求める。としています。
 
 参考までに、資料―1に改正SOLAS条約施行に伴う保安概要を図示します。
 
3.1.2 ISPSコードの概要
 2002年12月12日の海上安全委員会で採択されたSOLAS条約附属書(第11章−2: 海上の保安を高めるための特別処置)の概要は以下のとおりです。
 
第1規則−定義
 各種語句の定義を行っている。第1規則12ではISPSコードを次のように定義している。
12.「船舶及び港湾施設の保安の国際(ISPS)コード」とは、2002年12月12日に1974年の海上における人命の安全のための国際条約の締約政府会議の決議2により採択された、第A部(強制要件として扱われるべき規定)及び第B部(勧告要件として扱われるべき規定)から構成される船舶及び港湾施設の保安のための国際コードをいう。
第2規則−適用
 本コードが適用される船舶及び港湾施設は次の通りである。
1. 国際航海に従事する次の種類の船舶
1.1. 高速旅客船を含む旅客船
1.2. 総トン数500トン以上の高速船を含む貨物船及び
1.3. 移動式海底資源掘削ユニット 並びに
2. 国際航海に従事する船舶に供する港湾施設
 尚、軍艦、軍の補助艦又は締約政府が所有若しくは運航する他の船舶であって、政府の非商業的業務にのみ使用されるものには適用しない。
第3規則−保安に関する締約政府の義務
1. 主管庁は、保安レベルを設定し、自国を旗国とする船舶に対する保安レベル情報の提供を確保しなければならない。保安レベルの変更が発生した場合には、状況に応じて、保安レベル情報は更新されなければならない。
2. 締約政府は、保安レベルを設定し、その領海にある港湾施設及びその領海内のある港に入ろうとする又は港内にいる船舶に対する保安レベル情報の提供を確保しなければならない。保安レベルの変更が発生した場合には、状況に応じて、保安レベル情報は更新されなければならない。
第4規則−会社及び船舶の要件
1. 会社は、ISPSコード第B部に与えられる指針を考慮して、この章及びISPSコード第A部の関係要件に適合しなければならない。
2. 船舶は、ISPSコード第B部に与えられる指針を考慮して、この章及びISPSコード第A部の関係要件に適合しなければならず、また、その適合は、ISPSコード第A部の規定により検証し、証明されなければならない。
第5規則−会社の特別な責任
 会社は、締約政府から正当に権限を与えられた職員が以下の事項を立証できる情報を船長が船内でいかなる場合でも提供できることを確保しなければならない。
1. 船員又はその他資格の如何を問わず乗船して当該船舶の業務に現在雇用され又は従事する者の任命に誰が責任を有するのか。
2. 船舶の雇用の決定に誰が責任を有するのか。
3. 船舶が傭船契約の下で使用される場合には、誰が当該契約の当事者なのか。
第6規則−船舶保安警報装置
 全ての船舶は、次のとおり船舶保安警報装置を備え付けなければならない。
1. 2004年7月1日以後に建造された船舶
2. 2004年7月1日以前に建造された高速旅客船を含む旅客船にあっては、2004年7月1日以後最初の無線設備の検査までに
3. 2004年7月1日以前に建造された総トン数500トン以上の油タンカー、化学薬品タンカー、ガス運搬船、バルクキャリアー及び高速貨物船にあっては、2004年7月1日以後最初の無線設備の検査までに、かつ
4. 2004年7月1日以前に建造された総トン数500トン以上の他の貨物船及び移動式海底資源掘削ユニットにあっては、2006年7月1日以後最初の無線設備の検査までに。
第7規則−船舶への脅威
1. 締約政府は、保安レベルを設定し、その領海内を航行する又はその領海に入る意図を通知している船舶に対する保安レベル情報の提供を確保しなければならない。
2. 締約政府は、当該船舶が助言又は援助を要求することができ、かつ、当該船舶が他の船舶、航行又は通信についての保安関連事項を報告することができる連絡先を提供しなければならない。
3. 攻撃の危険が特定された場合には、関係締約政府は、関係船舶及びその主管庁に対して次の助言を与えなければならない。
1. 現在の保安レベル
2. ISPSコード第A部の規定に従い、攻撃から自船を防護するために当該関係船舶によって実施されるべきすべての保安措置及び
3. 必要に応じて、沿岸国が実施することを決定した保安措置
第8規則−船舶の安全及び保安のための船長の裁量
1. 船長は、船長の専門的な判断に基づき船舶の安全及び保安を維持するために必要なすべての決定を行い実施することを、会社、傭船者又は他のいかなる者によっても、強制されてはならない。これには、人(締約政府から正当な権限を与えられた者を除く)又はその携行品へのアクセス禁止及びコンテナ又は他のクローズドカーゴ輸送ユニットを含む貨物の積載の拒否が含まれる。
2. 船長の専門的な判断において、船舶に適用される安全と保安の要件との間に船舶の運航中に何らかの矛盾が生じた場合には、船長は、船舶の安全を維持するために必要な当該要件を実施しなければならない。そのような場合には、船長は、暫定保安措置を実施することができ、かつ、主管庁及び必要に応じて船舶がいる港又は入港しようとする港の締約政府に直ちに通知しなければならない。この規則に基づくすべての当該暫定保安措置は、可能な限り高い程度で、その時の保安レベルに相応するものでなければならない。そのような事態が明らかになった場合には、主管庁は、当該矛盾が解決され、かつ、再発の可能性を最小限にすることを確実にしなければならない。
第9規則−監督及び適合措置
1. 港内の船舶の監督
 この章が適用されるすべての船舶は、他の締約政府の港内にある場合には、当該締約政府から正当に権限を与えられた職員による以下の監督に服す。
・船舶の検査、
・船舶の遅延、
・船舶の抑留、
・港内での移動を含む航行の制限又は港からの船舶の退去
2. 他の締約政府の港に入ろうとする船舶
 締約政府は、その港に入ろうとする船舶が当該政府から正当に権限を与えられた職員に対して次の情報を提供することを要求することができる。
1. 船舶が有効な証書を所持していること及び発給機関の名称
2. 船舶がその時点で運用している保安レベル
3. 最近10回船舶と港湾のインターフェースを実施したすべての以前の港において船舶が運用した保安レベル
4. 最近10回に船舶と港湾のインターフェースを実施したすべての以前の港において船舶がとった特別又は追加のすべての保安措置
5. 最近10回船舶と船舶との間で行った業務中に維持した適当な船舶の保安手順が維持されていること、若しくは
6. ISPSコード第B部に示す指針を考慮した他の保安関連情報(船舶保安計画の詳細は含まない)
 締約政府から要求された場合には、船舶又は会社は、要求された上記情報について締約政府が受諾し得る確認資料提供をしなければならない。
 尚、当該連絡によって是正されない場合、又は職員が、船舶がこのISPSコードの要件に適合していないと認める明確な根拠がある場合には、当該職員は下記のような当該手段をとることができる。
1. 不適合の是正の要求
2. 締約政府の領海又は内水の定められた場所へ船を移動する要求
3. 船舶が入港しようと意図している港の締約政府の領海内にいる場合には、船舶の検査、若しくは
4. 入港拒否
 いずれかの措置が行使されることに先立ち、船舶は、その意図を通知されなければならない。この情報を得た後船長は、当該港に入港する意図を放棄しても良い。この場合は、本規則は適用されない。
3. 追加規定
1. 船舶の検査、船舶の遅延、船舶の抑留、港内での移動を含む航行の制限又は港からの船舶の退去、不適合の是正の要求、締約政府の領海又は内水の定められた場所へ船を移動する要求、船舶が入港しようとしている港の締約政府下の領海にある場合には、船舶の検査、入港拒否を行った場合:
 締約政府から権限を与えられた職員は、直ちにいかなる監督措置が課せられたか又はいかなる手段がとられたか及びその理由を主管官庁に書面で通報しなければならない。また、何らかの監督措置が課された場合又は何らかの手段がとられた場合、当該監督措置又は手段を課した締約政府は、当該船舶について証書を発給した認定保安団体及び機関に対しても通報しなければならない。
2. 入港が拒否された場合、又は船舶が港から退去させられた場合:
 機関が作成する指針を考慮して、寄港国の当局は、判明している場合には適切な次の寄港国の当局及び適切なすべての沿岸国に対して、適切な事実関係を通報する。当該通報の秘密性及び保安は確保されなければならない。


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更新日: 2019年12月7日

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