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平成17年度 セキュリティ強化の環境下における貿易手続簡易化特別委員会報告書

 事業名 セキュリティ強化に伴う貿易手続簡易化措置に関する調査研究
 団体名 日本貿易関係手続簡易化協会  


(仮訳)
世界税関機構
国際貿易の安全確保及び円滑化のための「基準の枠組み」
2005年6月
1. 序論
1.1. 導入
 国際貿易は経済的繁栄のために欠かせない原動力である。国際貿易システムは、世界経済全体に深刻なダメージを与えるようなテロリストの行為に対し脆弱である。税関当局は、物品の国際的な動きを監視・管理する政府機関として、世界的サプライチェーンの安全確保を強化し、また、税収確保及び貿易円滑化を通じ、社会・経済の発展に寄与するという特有の立場にある。
 
 国際貿易の流れを阻害することなく、逆に円滑化するような方法で、物流の安全を確保するためには、世界税関機構(WCO)によって承認された戦略が必要である。国際貿易サプライチェーンの安全確保は、税関当局を強化し21世紀へ備えるための全過程における一段階でしかない。従って、既存の計画及び慣行を強化し、それらを超えるために、WCOメンバーは国際貿易の安全確保及び円滑化を向上する体制を築き上げてきた。これが「国際貿易の安全確保及び円滑化のためのWCO「基準の枠組み」」(以後、WCO「枠組み」又は「枠組み」)である。国際貿易の安全確保及び円滑化のためのWCO「枠組み」は、原則及び基準を示し、それらをWCOメンバーによって実施されなければならない最低ラインとして採用するよう提示している。
 
 WCOがこのイニシアティブを取るため適切な組織であることは明白である。WCOには、166の税関当局のメンバーシップ・参加があり、これは国際貿易の99パーセントをカバーしている。税関当局は、国に入って来る、国を通過する、そして国を出て行く貨物及び物品を検査する権限という、他の政府機関には存在しない重要な権能を有している。また、税関は、輸入又は輸出を拒否し、輸入を促進する権限をも有している。税関当局は、輸入されつつある貨物の情報を要求し、大抵の場合、輸出される貨物の情報も要求する。税関当局は、適切な法制があれば、それらの情報を事前かつ電子的に提供するよう要求出来る。税関は、その特有の権限及び専門性から、国際貿易の安全確保及び円滑化に中心的な役割を担うことが可能であり、そうするべきである。しかしながら、国際貿易サプライチェーンの安全確保を最大化しつつ、貿易円滑化を継続的かつ確実に進めるためには、包括的なアプローチが必要である。税関は、それゆえに他の政府機関との協力的な取極めを開発するように努めるべきである。
 
 全ての輸送貨物を検査することは、容認出来るものではなく、また、不必要な負担となる。実際、そうすることは国際貿易を停止させるであろう。これに対処するため、近代的な税関当局は、様々な問題についてリスク管理を行うための電算システムを使用する。このような環境にあって、税関当局は、商業の安全確保及び円滑化のためとは言え、異なるいくつもの要求によって国際貿易業界に負担を強いないようにすべきであり、他の国際基準を認証するべきである。WCOによって開発され、他の政府の要請と重複したり矛盾したりしない一組の国際的な税関の基準が存在すべきである。
 
 WCO「枠組み」は、キャパシティ・ビルディング及び必要な法的権限という重要な要素についても考慮する。「枠組み」のある側面はキャパシティ・ビルディングなしで実施することが出来る一方、多くの税関当局が基準の実施のための支援を必要とするであろう。WCO「枠組み」は、この「枠組み」を採択する税関当局のために、キャパシティ・ビルディングを伴う適切な支援を検討する。
 
1.2. 「枠組み」の目的及び原則
 「枠組み」は以下のことを目指す:
■確実性及び予見可能性を促進するために、世界レベルでサプライチェーンの安全確保及び円滑化につき規定する基準を定める。
■全ての輸送手段について統合されたサプライチェーン管理を可能にする。
■21世紀の課題及び機会に適合する税関の役割、機能及び能力を高める。
■ハイ・リスク貨物を検知する能力を向上させるために、税関当局間の協力を強化する。
■税関及び民間の協力を強化する。
■安全な国際貿易サプライチェーンを通じて物品のシームレスな流れを促進する。
 
1.3. WCO「枠組み」の4つの中心となる要素
 WCO「枠組み」は、4つの中心となる要素からなる。第1に、「枠組み」は、輸出入及び通過貨物に関する事前電子貨物情報要件を調和化させる。第2に、「枠組み」に参加する各国は、安全確保に関する脅威に取組むために、整合的なリスク管理アプローチの利用にコミットする。第3に、「枠組み」は、同等のリスク絞込み手法に基づいた受入国の妥当な要請により、仕出国の税関当局が、望ましくは大型X線装置、放射線検知器のような非破壊探知機器を使用し、ハイ・リスクなコンテナー及び貨物の輸出検査を行うことを必要とする。第4に、「枠組み」は、最低限のサプライチェーン安全基準及びベスト・プラクティスに適合する民間に対して税関が与えるベネフィットを明確にする。
 
1.4. 「枠組み」の2つの柱
 前述された4つの中心となる要素に基づいた、WCO「枠組み」は、税関相互の協力及び税関と民間とのパートナーシップという2つの柱に依っている。2つの柱の戦略は、多くの利点を有する。その柱は、容易な理解と迅速な国際的な実施を保証するために、統合された一組の基準を含んでいる。更に、「枠組み」は、メンバー当局によって開発された、既存のWCOの安全確保及び円滑化にかかる措置や計画を直接取り入れている。
 
1.5. ベネフィット
 「枠組み」は、世界貿易を強化し、テロに対する安全性をより高め、国家の経済的及び社会的繁栄に資する税関及び貿易パートナーの貢献を増大させる新しく統合された基盤を提供する。「枠組み」は、ハイ・リスク貨物を検知・処理し、物品管理の効率性を高めるための税関の能力を向上させることで、物品の通関及び引渡しを迅速化する。
 
1.6. キャパシティ・ビルディング
 効果的なキャパシティ・ビルディングは、「枠組み」の広範な採用及び実施を確保するために、重要な要素であると認識されている。しかしながら、「枠組み」のいくつかの部分は、直ちに実施されることが出来るともまた認識されている。このため、「枠組み」の実施を可能とするために、メンバーに供与されるキャパシティ・ビルディングを強化するための戦略が必要とされる。キャパシティ・ビルディングが成功するためには、政治的意思及び職員規律の基盤が既に存在していなければならない。それゆえ、「枠組み」の実施へのコミット及び必要な政治的意思を表明する国は、WCOや各国及びその他の協力的なパートナーの共同体によって支援されるべきである。
 
1.7. 実施
 「枠組み」が実施されるためには、キャパシティ・ビルディングだけではなく、段階的なアプローチが必要であるという理解も必要となる。全ての税関当局が、「枠組み」を直ちに実施出来ると期待することは不合理である。「枠組み」は、最低限の一組の基準と見なされる一方、各税関当局の能力及び必要な法的権限に応じて、様々な段階で実施される。WCO事務局は、ハイレベル戦略グループと共同して「基準の枠組み」のための実施計画を開発する。
 
 「枠組み」は、以下のような構成となっている。
 
・採択及び実施によるベネフィットの説明
・税関相互の協力及び税関と民間とのパートナーシップに関する柱
・詳細な実施事項を含む附属書
 
 「枠組み」は、今後更に開発される。
 
2. ベネフィット
 「基準の枠組み」の採択は、国/政府、税関当局及び民間業界にベネフィットをもたらす。
 
2.1. 国/政府
 「枠組み」の主要な目的の一つは、国際貿易の安全確保及び円滑化である。このことが、国際貿易を経済成長及び開発に貢献することを可能とする。このことが、国際テロの脅威に対する貿易の安全確保を助け、同時に「枠組み」は、税関当局が正規貿易の流れを円滑化し、税関業務を向上させ近代化することを可能とする。このことが、結果として、税収確保や国内法及び規定の適切な適用を向上させる。「枠組み」は、それゆえに経済及び社会保護を支援し、海外直接投資を可能とする。
 
 「枠組み」はまた、税関と他の政府機関との間の協力的な取極めの構築を奨励する。既存の他の国際基準について認識するべきである(1.1参照)。このことは、政府が統合された国境管理や監視を確保することを支援する。必要な手段を講じることによって、「枠組み」はまた、この分野における税関当局の任務や責任を拡大するために政府に権限を与える。
 
2.2. 税関
 「枠組み」の主要な目的の一つは、安全な国際貿易サプライチェーンを通じて、物品のシームレスな流れを促進するために税関相互の協力を構築することである。これらの相互協力は、特に、税関当局がより効果的にリスクを管理しうる、時宜を得た正確な情報交換をもたらす。このことは、ハイ・リスク貨物を検知する税関の能力を向上させるだけでなく、税関当局が、国際貿易サプライチェーンにおける監視能力を向上させ、税関リソースのより良い効率的な配置を可能にする。税関相互の協力は、税関当局間の協力を強化し、例えば、輸入国の当局が輸出国の当局に対し代わりに検査を実施するように要請するような場合に、当局がサプライチェーンの早い段階で監視を行うことを可能とする。「枠組み」はまた、一定の状況下における監視の相互認証についても規定する。「枠組み」の適用は、税関当局が世界的なサプライチェーンのより広範で包括的な視点を取入れ、重複し複数ある報告要件を取除く機会を作り出すことを可能とする。
 
 上述したように、「枠組み」は、税関当局が、税関改革及び近代化に取組むための土台を構築することによって、新しい国際貿易環境の課題に対処することを可能とする。「枠組み」はまた、税関当局が、異なるスピードで対応出来るよう柔軟に構成されている。このことは、税関当局が、独自の発展、状況及び要件のレベルに沿って「枠組み」を実施することを可能とする。
 
2.3. 民間
 「枠組み」は、とりわけ国際貿易の安全を確保するための状況を作り出すだけではなく、国際貿易を円滑化し促進する。このことは、売手及び買手の両国間の物品移動を促進し、容易にする。「枠組み」は、近代的な国際生産及び流通モデルを考慮し、かつそれに基づいている。
 
 認定された経済関連業者(AEOs)1は、例えば、検査率の減少を通じて、税関による物品のより迅速な処理のようなベネフィットを享受する。このことは、結果として、時間及びコストの削減につながる。「枠組み」の中心となる原則の一つは、一組の国際基準を作成することであり、このことが、統一性及び予見可能性を構築する。また、複数かつ複雑な報告要件を軽減する。
 
 これらのプロセスは、AEOが、優れた安全確保システムと業務に対する投資に対して、リスク絞込み評価と検査の減少、迅速な物品の処理を含むベネフィットを享受することを確保する。
 
1 “認定された経済関連業者”とは、どのような機能であれ物品の国際移動に携わり、WCOや同等のサプライチェーン安全基準を遵守しているとして国家の税関に承認されるか又はそれを代行する者を言う。認定された経済関連業者は、特に、製造業者、輸入者、輸出者、通関業者、運送業者、混載業者、仲介業者、港湾、空港、ターミナルオペレーター、総合オペレーター、倉庫業者、卸業者を含む。


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