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平成17年度 便宜置籍船における海事保安事件(船内殺人・障害事件等)の処理と問題点 調査研究報告書

 事業名 「便宜置籍船における海事保安事件の問題」調査・研究
 団体名 日本船長協会 注目度注目度5


第2回委員会議事次第
(1)日時・場所
平成17年11月16日(水)14:00〜16:30
於 海事センタービル 8階会議室
 
(2)出席者
委員
相原 隆  関西学院大学法学部 教授
根本 到  神戸大学海事科学部 助教授
廣瀬 肇  呉大学社会情報学部 教授
井沢 文明  UK P&I CLUB 取締役
山田 吉彦  日本財団 海洋グループ 海洋教育チームリーダー
進藤 航  日本郵船(株)安全環境グループ危機管理チーム
林 昌徳  (株)商船三井船舶部海務・安全グループ マネージャー
門野 英二  川崎汽船(株)安全運航グループ 安全運航チーム長
関係官庁(オブザーバー)
鈴木 史朗  国土交通省海事局船員政策課 国際企画室長
九鬼 令和  国土交通省海事局外航課 国際第一係長
田中 祐美子  (財)海洋政策研究財団
事務局
森本 靖之  (社)日本船長協会 会長
赤塚 宏一  (社)日本船長協会 副会長
江本 博一  (社)日本船長協会 常務理事
福留 聖司  (株)エム・オー・マリンコンサルティング
 
(3)議事次第
1. 日本郵船(株)からの出席委員変更の連絡、及び進藤委員の紹介 (事務局)
2. 委員長による資料説明 (委員長)
3. 自由討論 (事務局)
4. 今後の予定について (委員長)
以上
 
配布資料
(委員長作成資料)
1. 船主協会プレスリリース 5枚
2. 外務省 APEC・テロ対策・タスクフォース 4枚
3. 国土交通省 「日本関係外国籍船内における犯罪に関する諸問題検討会」について 5枚
(事務局作成資料)
4. 便宜置籍船における海事保安事件の処理と問題点の調査研究委員会(第一回)議事次第 1部
5. 「ワールドガード号」船内殺人事件 1枚
6. 「ドースベイ号」船内殺人捜査共助事件 1枚
7. 「オーシャンモナク号」船内殺人事件 1枚
8. 船内犯罪事例のまとめ 1枚
9. 便宜置籍船における船内犯罪と刑事裁判管轄権の関係 5枚
10. 船内犯罪発生時の連絡先について 1枚
11. 各国における、公海上の外国船への管轄権の考え方 1枚
12. 各国船員関係法規における船長権限のまとめ 1枚
13. 各国船員関係法規抜粋 17枚
 
(4)議事概要
1. 委員長による資料説明
;“船主協会プレスリリース”の解説
・この資料中に、以下のようにTAJIMA号事件の論点が出ているのかと思う。
―被疑者を速やかに上陸させるための措置
―被疑者上陸までの間、わが国当局による被疑者の拘束・監視
―「航空における東京条約のような、到着地国が一定期間被疑者を拘束できる条約等の整備とわが国による批准
―フィリピン等船員供給国に対する国内法整備の働きかけ
―パナマ等船籍国に対する手続きの迅速化の働きかけ
;“外務省 APEC・テロ対策・タスクフォース”の解説
・資料中にSUA条約についての言及がある。これに関して、検討すべき課題を明らかにするため、航空機に関する類似の条約との対比、条約の概要の理解が一つの視点になると思う。
;“国土交通省「日本関係外国籍船内における犯罪に関する諸問題検討会」について”の解説
・TAJIMA号事件に関して以下のような論点を指摘している
―わが国刑法の適用について
―犯罪人引渡条約について
―フィリピンの国外犯処罰規定について
 
3. フリーディスカッション(敬称略)
 相原委員長が持参してきた本研究会で使用する資料と弊事務局で事前作成した資料両方を参考に検討を進めることなった。
 
事務局;外務省の資料の中で言及されていた「東京条約」における、航空機の機長の権限について、洋上の船長に与えられた権限とどう違うのか。
委員長;東京条約第13条に規定される、航空機内の安全阻害行為に対する機長の抑止措置は、
・航空機、搭乗者及び財産に損害を与えている者又は与えようとする者
を対象とし
・拘束等によりこれを抑止する権限
・その者を降機される権限
・機内にある者に対し必要な援助の要請をする権限
が与えられており、権利の内容がより限定的である点が異なる。
事務局;ということは、東京条約の機長の権限に当たるものは、船長には船員法で既に与えられているものという理解で良いのか。
委員長;東京条約は、機長に安全を阻害する者を降機させる権限を与え、最初に着陸した地で引き渡すことができ、更に当該国に引き取りの義務が発生することに重要性がある。密航者の問題についても、法律上の規定として定まっていれば、最初の寄港地で引き渡すことが可能となる。
 さて、事務局作成の資料が配布されたので、当該資料について、事務局説明を願う。
事務局;(事務局作成資料を一通り説明)
委員長;船内事件において日本人が犯人の場合、外国の寄港先でその国の官憲に引き渡し、更に日本が外国の官憲に引き渡しを求めるものなのか。
委員;公海上でおきた事件だけにしぼると、船は船内秩序の回復、死体の処理等の問題があるため、実際はどこの国へでも援助要請をする。その際、援助した国の警備がどうなってるのかよくわからないのが問題。日本船の船内犯罪の場合、通常は沿岸国が犯人を拘束して、日本の海保が引き取りに行く。
委員長;そのような手続きは本船の誰かが、代理店を通すなどして海保に指示を仰いでいるのか。
事務局;日本籍船の場合その点は明確であり、船長は船内で事件が発生した場合には管海官庁(海外では大使館、領事官、国内では海保)に報告する義務を負っている。
委員;実際の過去の事例では、スエズから地中海に入ったばかりの日本船社の便宜置籍船で機関士が死亡し、犯罪の可能性のあるケースがあった。その際、まず船から船社に連絡があり、船社から奥さんに、奥さんから私に、私から海保に、そして海保からエジプト大使館に連絡が行った。
 実際の犯人取り扱いの手続きでは、外交関係が一番動いているのではないか。
委員長;最終的にマニュアルをつくる際には、事件発生時にどこに連絡するか等、一つ一つの手続きをどこまで追うかが問題となると思う。
オブザーバー;(資料;“船内犯罪ケース毎の刑事裁判管轄権のまとめ”*について)事件に日本の刑法が適用されるか国際法に基づく法規が適用されるかの区分けはあまり意味がない。国際法における適用法規とは執行管轄権の部分を明確に規定したものであって、裁判管轄権となると事案毎に取り扱いが異なる。
事務局;実際にはそうだと考える。この資料は、便宜置籍船で発生した事件では高い確率で刑事裁判管轄権の競合が発生することを示す意味で作成した。
委員;海域の区分けは、地理的な基準をもって、日本の内水、領海、公海、外国の領海、内水と分けた方が分かり易いのではないか。
委員;裁判管轄権、執行管轄権を分けて議論した方が良いのではないか。裁判管轄権、執行管轄権、船長の権限、それらの議論を一度にやっているから論点が不明瞭になっている。それぞれの論点に分けて、残された論点を整理していくのが良いと思う。
事務局;最終目的は現場の船長用のマニュアルを作ることなので、何か起こった際の本当に事件なのかの見極め、犯罪ならこういう証拠保全をするといった観点も必要である。しかし、事務局としては、「便宜置籍船における海事保安事件の問題の調査研究事業」と銘打っているので、特定された条件で考えていきたいと思う。
委員長;事件時における船長の視点としては、例えば、まずそこに死体が横たわっている、という事実からスタートし、最終的には船の不稼働回復、補償を得ることまで考えると思う。でも、実際の現場では、まず最初はどういう手順が想定されるのか。
事務局;死体を見たなら、まず怪我か争いか暴行か、どういう原因か考える。
委員長;死亡者の死因の特定はどうする。
委員;それは船長として重要。最寄りの港で検視を行うことになる。
委員長;もし犯罪によるものだったらどうするのか。
事務局;船長としては、信頼できる部下を集め、犯人の身柄をどうやって拘束するか考え、犯人を隔離、船舶管理会社へ電話、自分でできる範囲で沿岸国へ要請を行う。
委員長;その際、船長権限とはどのように生きてくるのか。
事務局;船長権限に基づくどのような根拠で犯人を拘束できるかは議論に上がった。外国の船員関係法規では、犯人を拘束できるとはっきり定められている。
事務局;今回の資料では、英国の1970年のMerchant shipping actの言及があるが、最新のものでは1995年のMerchant shipping actがある。その中のsection 105のmaster's power of arrestで船長の権限について定めているので調べておく必要がある。
 SOLAS条約のIMSコードでも船長の権限について定めている。ISPSコードでも船長の権限について定めているはず。
事務局;lawとcodeでは、法的効力、実質的効果としてどのような違いがあるのか。
委員;一般的に、何も法規がなければ、規律を書くことはできても人を拘束する権限までは持てない。日本の船員法では拘束の権限を与えているので、かなり強力な権限を与えているといえる。つまり、就業規則による規定は一般契約法でもできるレベルであるが、公法での定めがあれば強力な権限が与えられ、罰則を課すこともできるという違いがある。
委員;日本と英国では条約の取り扱いが異なる。条約に批准したら、日本ではそれに基づく国内法を整備するが、英国では条約をそのまま取り入れる。そのため、英国では船長権限についても国際法のコード上のものがそのまま適用される可能性がある。
事務局;IMOでは、コードについては、条約上でどのように規定がなされているかということがいえるのではないか。IMOが今作成している条約でも、Part AとPart Bがあり、Aは強制規定、Bは勧告であるとregulationに記されている。文言も、強制規定はshall、勧告はshouldを使う。
オブザーバー;国際条約に批准しても、単純に国内法と同様の効果を持つとは限らない。
委員長;アプローチ法としては、
・船長にどんな権限があるのか。
・船長として何をしなければならないのか。それは何の根拠に基づくのか
の二つがあると思う。後者のアプローチ法により、船長が現実に何に直面するのか、それにどのように対処するのかを考える方が論点がより明かになると思う。できるかどうか根拠が不明確なことについては、どのように裏付けを与えるか考えることが重要ではないか。
事務局;マニュアルの方向性については、
・完璧な法的手続きを熟知した上で事態に対処していく方向
・新たなシステムづくりとして、法的整備のできていない部分は整備するよう提案していく方向
の二つが考えられる。
委員長;殺人犯がいて船長がそれを拘束した場合、あとからそれが違法だったと言われると困るので、その場合の裏付けとなる根拠を与えていけばいいと思う。我々も日本に住んでいながら、日本の法律全てを熟知しているわけではないが、良心、公平、正義を基準として行動すれば取り敢えず問題は発生しない。だから、ポイントをいくつかに絞って、それについて裏付けをしていく方が生産的ではないか。逆にいえば、船長のとらねばならない行動で法的裏付けを欠くものがあれば問題である。それを探した方が良いのでは。
委員;日本の場合は、船長の権能について法律に細かく規定されており、国際的に見ても非常に常識的な範囲で法律を作っていると思う。しかし、もし国際的に見ておかしいものがあるならば、マニュアルの中で日本の船長に教えねばならないかもしれない。
委員;日本船社の便宜置籍船内で起こった犯罪については、日本の海保が処理するのが一番だが、外地から日本まで被疑者を輸送する際の船内秩序等の問題もあるので、実際には入港国の官憲に引き渡すことになると思う。しかし、取り調べが長く出港できないなら商船は困ることになる。
 大体、日本人の船長なら事態に対しとる対処については共通理解があると思うので、注意すべき点についてもバックグラウンド的なものに基づいたものがあればと思う。船長は後で被疑者に訴えられないために何をすべきか、どのように連絡して援助を求めるかのマニュアルがあれば良いと思う。
委員;船長の船内における拘束は、あまり大きな論点ではない。むしろ、引き渡しのときどういう問題が起きるか整理していくべき。
委員;便宜置籍国は、TAJIMA号のようなケースを他人事のように見ており、ただ登録隻数を増やして税収を上げることだけを考えている。よって、旗国の国内法よりは、条約に則って船長権限を考慮した方が良いと思う。
事務局;この委員会は、船長が日本人という前提で話をしているのか。日本船社の船の8割の船長は外国人なので、彼らにも参考になるマニュアルとしたらどうか。
委員長;前提は日本人だと思うが、船長の国籍というのは事件処理に何か影響を及ぼすのか。直感としては、船長の国籍は事件処理に何ら意味を持たない。しかし、船長が日本人で、日本国民としてどのような保護を受けるかというのは、また別の問題である。
委員;マニュアルは基本的に、日本人船長だけではなく日本の船社で働く外国人船長にも適用されていくのだろうと思った。資料の“船内犯罪ケース毎の刑事裁判管轄権のまとめ”*の中で、外国人対外国人の犯罪についても記載されているが、実際そういうことも起こり得ると思う。日本人が被害者で外国人が加害者のケースでは、刑法3条の2が関係するが、実際には犯人の引き渡し等の問題が発生する。先程、スペインがなかなか面倒な国だとの話がでたが、実体験でこの国が面倒だったという経験があったら聞かせて頂きたい。
事務局;船員の不当な拘禁としては、パキスタンの例で、港内で油を流した船の船員を拘束し、更に救助に来たサルベージ船に対しても、適切な救助に失敗して汚染を拡大させたとして、船員の拘束を行った。また、フランスもペリカ号事件においては強硬な姿勢をみせた。
委員;船内犯罪の問題を考える上で、ISPSの問題は避けられないと思う。TAJIMA号のような事件の発生した船は、保安上の問題がある船と見なされ、入港国としては保安上問題のある船が入港してくることとなる。
事務局;ISPSの関連から、海上テロに対して沿岸国が非常にセンシティブになっているので、ISPSに準拠しない事態よりは、捜査協力等に沿岸国の協力を得られると思う。逆にいうと、ISPSに手助けされていると考えられるのではないか。
委員長;ISPSは船世界の全ての船が加盟しているわけではなく、漏れてくるものもある。船内犯罪の問題と平行してISPSの議論をしていく必要がある。各国がISPSに対してどのような対応をとっているかについて調べ、紹介するのはマニュアルとして必要ではないか。
事務局;ISPSはSOLAS条約の1 Chapterであり、IMOのメンバーは現在156ヵ国で、SOLAS条約には136ヵ国が加盟しているので、ほとんどの国をカバーしているといえる。
事務局;また別に、SUA条約においても船内で殺人が発生した場合の対処について書かれていて、当初一船内犯罪の処理に使えると考えたが、基本的に同条約はテロ対策を目的としたものであった。このSUA条約を、海上テロ対策のみではなく、船内犯罪般に適用しようという議論は考え得るか。
委員長;基本は、船長がやりたいように対処できるのが一番いい。条約ありきではなく、船長の行動に対して法律の裏付けのないものがあったら、立法的手当て、条約の改定を考えるべき。
オブザーバー;船内犯罪の現場で、犯人をどうするか、どこに引き渡したらいいのか等、現場のレベルに落として考えた方が役に立つマニュアルができるのではないか。
 
4. 今後の予定について
 本年度のまとめとして、マニュアルの下書きができた時に各委員に参集して頂き、承認を得ることとした。その前に、委員長と事務局で概略的な枠組みを決め、その中で検討すべき問題について適する委員に個別に協力を依頼することとした。
以上


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更新日: 2020年9月19日

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